Waving Life ~波瀾万丈の日常~
42話 頼みの綱
頼みの綱
放課後。
さぁ帰ろうかと思っていた時だった。
「あ、蔭山君!」
「?」
声の主は、このクラスの学級委員長であり学年で3本の指に入る頭の良さを誇る西島 洋介である。
優等生独特の締まった雰囲気に包まれている。
同じく優等生、俺の幼馴染は例外だが…。
その3本の指に入る人が、僕のような落ちこぼれに何の御用でしょうか?
「玄関で人を待たせているから、用があるなら手短に頼む」
もちろん、待たせているのは蘭華だ。
すると、西島は輝くスマイルでこう答える。
「分かった。じゃあ玄関まで一緒に行こうか。その間に話を済ませるよ」
「そうか。じゃあ行くか…」
俺たち2人は学生鞄を持って、玄関まで歩き始めた。
3階にある俺たちの教室から玄関まではそれなりの距離がある。話すには丁度いいくらいの時間がかかる。
「で、要件は?」
「あ、そうだったね」
自分から言い出しておいて…。
まぁいいっか。
俺たちは、3階の静かな教室の横を通り抜けていく。
もう既に、殆どの生徒が部活か帰宅をしている。
「蔭山君は、今回の学校祭に特別なゲームが設定されているのは知っているかい?」
「ゲームって?」
「1学年の先生方が模擬店のやる気を高めようということで、クラス対抗売上大会をすることにしたらしいんだ」
「で、その大会に勝てばどうなる?」
「当然、景品が貰えるよ」
まぁ、先生たちが考えることだ。所詮景品なんて文房具出しとけばそれでいいとでも考えているに違いない。
「あ、でも先生は豪華景品って言ってたから、恐らく文房具類とかではないと思うよ」
こいつ、心読めるのか?
是非ともやり方を教えて欲しいものだ。
俺たちは階段に差し掛かった。
「そうか…」
「なんだか、嬉しそうじゃなさそうだね」
「いや、話が逸れていっている気がしてな…」
「ごめん…」
「いや、別に謝らなくてもいいのに」
礼儀正しいのは、さすがだ。
でも礼儀正しすぎる人は苦手だ。
「で、そのゲームがどうしたんだ?」
とりあえず、話を元の軌道に乗せる。
「簡潔にいうと、僕と一緒に運営の仕事をして欲しいんだ。岸川さんも一緒に」
別に断る理由はない。
豪華景品が貰えるゲームだ。勝ちに行きたいのはもちろんの事だ。
でも…、
「なぜ俺と蘭華なんだよ?」
俺以外でも良かっただろう…。
学級委員長である西島なら人望も厚いし、誰にでも頼めるだろうに…。
俺たちは長い階段を降り終え、次は長い廊下を歩く。
歩き終われば、玄関にたどり着く。
「2人とも頭が切れるから、いいアイディアが出てきそうだからさ」
お前、俺じゃなかったら誤解されるぞ…。
頭がいい人が、それより悪い人にそんなこと言ったら嫌みにしか聞こえないぞ。
「それに…」
「それに?」
「君が思ってるほど人から信頼されないから、声掛けられる人が他にいないんだよ。悲しいことに…」
「え?」
文字通り、彼の顔はすごく悲しそうだ。
それは光り輝く笑顔を持った彼が持つはずのないほどくらい表情だった。
でも、彼はすぐに元の笑顔輝く表情に戻っていた。
「あ、もう玄関だね…。じゃあその件考えておいてね。明日にでもどちらか答えてくれればいいから。じゃあ、さようなら」
そう言った彼は、すぐさま靴を履き替え先に玄関を出ていった。
気付けば、もう玄関のところまで来ていた。
これ以上待たせるのも悪いので、急いで履き替える。
そして玄関前に出る。
「悪い悪い」
「あ、剣也!全然いいよ〜。それより喫茶店に新メニューが出たって!早く行こっ!」
丁度、さっきの件を話しておきたかったのでかなり都合がよかった。
それに待たせてしまったお詫びに、奢ってあげるのも悪くない。
でも聞くところによるとその新メニューは、ホイップクリームがコーヒーの上にこれでもかと乗せられたメニュー。
甘党にとっては美味しいのかもしれないけど、俺はそんな激甘メニューを食べる気にはならない…。
しかしながら俺は、蘭華のテンションに合わせるべく走り出した彼女の背中を追った。
その後、喫茶店にて蘭華にその件について説明した。
彼女はその話を聞いて俄然やる気が出てきた様子で、
「絶対に勝〜つ!」
と、やる気満々だった。
蘭華が承諾したので、明日伝えておこう。
もちろん俺もやる気なので、その旨も伝えておくつもりだ。
だけど…。
さっきのあの西島の暗い表情は何だったんだろうか。
普段見る限りでは、そんな顔しそうにもないくらい明るいし、悩み1つ抱える心配がないくらい完璧な人間だ。
何があったかは多少興味がある。
「君が思ってるほど人から信頼されてないから…」
人から信頼されない人が何故学級会長などという仕事に就いているのだ。
そもそも彼は悪い人ではない。むしろすごくいい人だ。
突然誘っても断らないし、勉強教える時も優しかったし。
一体過去に何をして、彼らの信頼を失ったのだろうか…。
課題の時はお世話になっているし、借りは返しておかないといけない。
とりあえず、俺は彼の問題を解決することに努力することに決めた。
この時俺は、過去を聞き出して問題を解決することが最善策だと思っていた。
だが、それが時に首を突っ込んで欲しくない場合もあるということを俺は知らない。
放課後。
さぁ帰ろうかと思っていた時だった。
「あ、蔭山君!」
「?」
声の主は、このクラスの学級委員長であり学年で3本の指に入る頭の良さを誇る西島 洋介である。
優等生独特の締まった雰囲気に包まれている。
同じく優等生、俺の幼馴染は例外だが…。
その3本の指に入る人が、僕のような落ちこぼれに何の御用でしょうか?
「玄関で人を待たせているから、用があるなら手短に頼む」
もちろん、待たせているのは蘭華だ。
すると、西島は輝くスマイルでこう答える。
「分かった。じゃあ玄関まで一緒に行こうか。その間に話を済ませるよ」
「そうか。じゃあ行くか…」
俺たち2人は学生鞄を持って、玄関まで歩き始めた。
3階にある俺たちの教室から玄関まではそれなりの距離がある。話すには丁度いいくらいの時間がかかる。
「で、要件は?」
「あ、そうだったね」
自分から言い出しておいて…。
まぁいいっか。
俺たちは、3階の静かな教室の横を通り抜けていく。
もう既に、殆どの生徒が部活か帰宅をしている。
「蔭山君は、今回の学校祭に特別なゲームが設定されているのは知っているかい?」
「ゲームって?」
「1学年の先生方が模擬店のやる気を高めようということで、クラス対抗売上大会をすることにしたらしいんだ」
「で、その大会に勝てばどうなる?」
「当然、景品が貰えるよ」
まぁ、先生たちが考えることだ。所詮景品なんて文房具出しとけばそれでいいとでも考えているに違いない。
「あ、でも先生は豪華景品って言ってたから、恐らく文房具類とかではないと思うよ」
こいつ、心読めるのか?
是非ともやり方を教えて欲しいものだ。
俺たちは階段に差し掛かった。
「そうか…」
「なんだか、嬉しそうじゃなさそうだね」
「いや、話が逸れていっている気がしてな…」
「ごめん…」
「いや、別に謝らなくてもいいのに」
礼儀正しいのは、さすがだ。
でも礼儀正しすぎる人は苦手だ。
「で、そのゲームがどうしたんだ?」
とりあえず、話を元の軌道に乗せる。
「簡潔にいうと、僕と一緒に運営の仕事をして欲しいんだ。岸川さんも一緒に」
別に断る理由はない。
豪華景品が貰えるゲームだ。勝ちに行きたいのはもちろんの事だ。
でも…、
「なぜ俺と蘭華なんだよ?」
俺以外でも良かっただろう…。
学級委員長である西島なら人望も厚いし、誰にでも頼めるだろうに…。
俺たちは長い階段を降り終え、次は長い廊下を歩く。
歩き終われば、玄関にたどり着く。
「2人とも頭が切れるから、いいアイディアが出てきそうだからさ」
お前、俺じゃなかったら誤解されるぞ…。
頭がいい人が、それより悪い人にそんなこと言ったら嫌みにしか聞こえないぞ。
「それに…」
「それに?」
「君が思ってるほど人から信頼されないから、声掛けられる人が他にいないんだよ。悲しいことに…」
「え?」
文字通り、彼の顔はすごく悲しそうだ。
それは光り輝く笑顔を持った彼が持つはずのないほどくらい表情だった。
でも、彼はすぐに元の笑顔輝く表情に戻っていた。
「あ、もう玄関だね…。じゃあその件考えておいてね。明日にでもどちらか答えてくれればいいから。じゃあ、さようなら」
そう言った彼は、すぐさま靴を履き替え先に玄関を出ていった。
気付けば、もう玄関のところまで来ていた。
これ以上待たせるのも悪いので、急いで履き替える。
そして玄関前に出る。
「悪い悪い」
「あ、剣也!全然いいよ〜。それより喫茶店に新メニューが出たって!早く行こっ!」
丁度、さっきの件を話しておきたかったのでかなり都合がよかった。
それに待たせてしまったお詫びに、奢ってあげるのも悪くない。
でも聞くところによるとその新メニューは、ホイップクリームがコーヒーの上にこれでもかと乗せられたメニュー。
甘党にとっては美味しいのかもしれないけど、俺はそんな激甘メニューを食べる気にはならない…。
しかしながら俺は、蘭華のテンションに合わせるべく走り出した彼女の背中を追った。
その後、喫茶店にて蘭華にその件について説明した。
彼女はその話を聞いて俄然やる気が出てきた様子で、
「絶対に勝〜つ!」
と、やる気満々だった。
蘭華が承諾したので、明日伝えておこう。
もちろん俺もやる気なので、その旨も伝えておくつもりだ。
だけど…。
さっきのあの西島の暗い表情は何だったんだろうか。
普段見る限りでは、そんな顔しそうにもないくらい明るいし、悩み1つ抱える心配がないくらい完璧な人間だ。
何があったかは多少興味がある。
「君が思ってるほど人から信頼されてないから…」
人から信頼されない人が何故学級会長などという仕事に就いているのだ。
そもそも彼は悪い人ではない。むしろすごくいい人だ。
突然誘っても断らないし、勉強教える時も優しかったし。
一体過去に何をして、彼らの信頼を失ったのだろうか…。
課題の時はお世話になっているし、借りは返しておかないといけない。
とりあえず、俺は彼の問題を解決することに努力することに決めた。
この時俺は、過去を聞き出して問題を解決することが最善策だと思っていた。
だが、それが時に首を突っ込んで欲しくない場合もあるということを俺は知らない。
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