Waving Life ~波瀾万丈の日常~
11話 古き思い出
古き思い出
1
小学6年の時の俺はヤンチャだった。
学校では授業をサボっていて先生からは問題視されていたくらいだ。
だけど、そんな俺を2人の女の子が救ってくれた。
そんな遠い昔の話。
「こらっ!逃げるなぁ。ちゃんと授業受けなさい!」
担任の声が廊下に響く。
だけど、怒っている割には迫力がない。
「捕まえられたら受けてあげるよ〜!まぁ出来るわけないけどね」
そう言い残して、学校の外へと走り出した。
足の速さは学年1で運動は得意だった。
学校の授業は6年間で8割くらいサボっていた。
だけど、サボっていた割に成績は悪くなくテストでも高得点を残していた。
いつしか俺はサボることに楽しみを感じるまで駄目な人間になっていた。
2
ある日、俺は教室で給食を食べていた。
そんな時、1人の女の子が俺に話しかける。
「授業サボって楽しい?」
名前は皆田 絵里。
小学生では珍しいちょっと茶色がかった髪の毛が印象的な女の子。
髪型はいつもショートで、雰囲気は周りの人と比べるとかなりトゲドゲした感じ。
大抵の女の子は俺が怖いやつと思っているため、話しかけてくることなどなかったが、絵里はそんなことはお構い無しに話しかけてきた。
どこか他の人とは違うとこの時感じていた。
「楽しいけど?」
「そう、楽しのか…。ねぇ、次の授業私もサボるから連れてってよ」
「は?どういう事だよ?」
「私もサボりたいの!だから連れてって!」
はぁ、めんどくさいなぁ。
と思いながらも俺は承諾した。
「分かった。だけど先生から逃げられるだけの足の速さがあるのか?」
「大丈夫」
「なら、授業の五分前に玄関に集合な」
「うん」
こうして初めて2人でサボることにした。
「来たな。じゃあ行くぞ」
絵里は時間通りに来たので早速実行した。
「こらっ!お前達!」
教頭先生の声が聞こえてきた。
「まずい、早く!」
「うん!」
俺達は勢いよく玄関から出て、すぐに体育館の陰に隠れた。
「ふぅ、諦めたか」
「ねぇ、お気に入りの場所でもある?」
「あるけど、行くか?」
「うん」
俺達は再度歩き始めた。
俺のお気に入りの場所とはグラウンドのジャングルジムの上。
日当たりがよく、校舎を見渡せるベストポジション。
鉄の棒が体にあたって多少痛かったけど、寝心地がいい記憶がある。
って、そこ行ってもこいつと寝るだけしかすることないけど。
なんかバカップルに思われてもおかしくない気がする。
今ではそう思える。
けど、2人で寝たあの時の記憶は今も鮮明に覚えている。
照りつける太陽で少し暑く感じられるけど吹き付ける風がそれをかき消していた。
だから昼寝は本当に気持ちよかった。
『キーンコーンカーンコーン』
授業終了の合図がなる。
「どうする?お前戻るか?」
「うんうん。このままでいいよ」
眠そうに目を擦りながら言葉を返す。
「そもそも、お前なんでサボろうと思ったんだ?」
「君を授業に行かせるため」
予想外の言葉にとても驚いた。
てっきり、私もだるかったからとか言うと思っていたのに。
俺コイツのこと、昔は結構馬鹿だと思ってたから…。
「は?それなら連れていけばいいのに」
「それなら抵抗してくるでしょ?だからあえてサボって君がサボりを嫌になるのを待っているわけ」
こいつ、馬鹿だろ。
そんなこと俺に言ったら尚更行かないだろ?
でもこんなこと言われたの初めてだ。
「授業は楽しいか?」
「まぁ、楽しいよ」
「サボりより?」
「多分ね」
サボりより楽しいことか。
この際授業を真面目に聞いてみるかな。
「なら、戻るか。俺、真面目に授業うけてみるわ」
「ほんと?じゃあ早く戻ろ!」
「だな、授業遅れたら入りにくいし」
俺達はサボリをやめて元来た道を引き返していった。
3
その後、俺は授業をサボることを辞めた。
サボることが悪い事だと認識した。
あの日以来、俺は絵里と友達になりよく話すようになった。
それに周りの人と打ち解けることができ、とても楽しい日々だった。
そんな大事な出来事を俺はいつしか忘れてしまっていた。
「ほんとに忘れてたの?」
「あぁ今の今までな」
「酷いなぁ、せっかく人生をいい方向に変えてあげたのに!」
「ごめん、ごめん」
教室に笑い声が響く。
5月も第2週目に入って、少しずつ気候が夏らしくなってきていた。
他の生徒はみんな帰ってしまって今は2人きりだ。
「俺さ、お前に感謝してる」
「うん、感謝してね!」
「今ので感謝が半減だな」
「ええっ!」
こいつがいなければ今頃は最悪な日々を送っていただろう。
告白されることもなかっただろうな。
人生の選択肢は1つ間違えると最悪になるけど、その逆もある。
だからあの日、絵里が俺に話しかけてきたことは偶然であったとしても感謝すべきことだと思う。
その気持ちを全て込めて俺は、
「ありがとう」
と一言。
絵里は笑顔で応える。
「でもね、私も感謝しているの。あの時、仲良くなれたから今もこうして話せる。だから私からも。ありがとう」
俺達は不思議と微笑んでいた。
これからもこいつと仲良くしたいな。
そう思えた瞬間だった。
1
小学6年の時の俺はヤンチャだった。
学校では授業をサボっていて先生からは問題視されていたくらいだ。
だけど、そんな俺を2人の女の子が救ってくれた。
そんな遠い昔の話。
「こらっ!逃げるなぁ。ちゃんと授業受けなさい!」
担任の声が廊下に響く。
だけど、怒っている割には迫力がない。
「捕まえられたら受けてあげるよ〜!まぁ出来るわけないけどね」
そう言い残して、学校の外へと走り出した。
足の速さは学年1で運動は得意だった。
学校の授業は6年間で8割くらいサボっていた。
だけど、サボっていた割に成績は悪くなくテストでも高得点を残していた。
いつしか俺はサボることに楽しみを感じるまで駄目な人間になっていた。
2
ある日、俺は教室で給食を食べていた。
そんな時、1人の女の子が俺に話しかける。
「授業サボって楽しい?」
名前は皆田 絵里。
小学生では珍しいちょっと茶色がかった髪の毛が印象的な女の子。
髪型はいつもショートで、雰囲気は周りの人と比べるとかなりトゲドゲした感じ。
大抵の女の子は俺が怖いやつと思っているため、話しかけてくることなどなかったが、絵里はそんなことはお構い無しに話しかけてきた。
どこか他の人とは違うとこの時感じていた。
「楽しいけど?」
「そう、楽しのか…。ねぇ、次の授業私もサボるから連れてってよ」
「は?どういう事だよ?」
「私もサボりたいの!だから連れてって!」
はぁ、めんどくさいなぁ。
と思いながらも俺は承諾した。
「分かった。だけど先生から逃げられるだけの足の速さがあるのか?」
「大丈夫」
「なら、授業の五分前に玄関に集合な」
「うん」
こうして初めて2人でサボることにした。
「来たな。じゃあ行くぞ」
絵里は時間通りに来たので早速実行した。
「こらっ!お前達!」
教頭先生の声が聞こえてきた。
「まずい、早く!」
「うん!」
俺達は勢いよく玄関から出て、すぐに体育館の陰に隠れた。
「ふぅ、諦めたか」
「ねぇ、お気に入りの場所でもある?」
「あるけど、行くか?」
「うん」
俺達は再度歩き始めた。
俺のお気に入りの場所とはグラウンドのジャングルジムの上。
日当たりがよく、校舎を見渡せるベストポジション。
鉄の棒が体にあたって多少痛かったけど、寝心地がいい記憶がある。
って、そこ行ってもこいつと寝るだけしかすることないけど。
なんかバカップルに思われてもおかしくない気がする。
今ではそう思える。
けど、2人で寝たあの時の記憶は今も鮮明に覚えている。
照りつける太陽で少し暑く感じられるけど吹き付ける風がそれをかき消していた。
だから昼寝は本当に気持ちよかった。
『キーンコーンカーンコーン』
授業終了の合図がなる。
「どうする?お前戻るか?」
「うんうん。このままでいいよ」
眠そうに目を擦りながら言葉を返す。
「そもそも、お前なんでサボろうと思ったんだ?」
「君を授業に行かせるため」
予想外の言葉にとても驚いた。
てっきり、私もだるかったからとか言うと思っていたのに。
俺コイツのこと、昔は結構馬鹿だと思ってたから…。
「は?それなら連れていけばいいのに」
「それなら抵抗してくるでしょ?だからあえてサボって君がサボりを嫌になるのを待っているわけ」
こいつ、馬鹿だろ。
そんなこと俺に言ったら尚更行かないだろ?
でもこんなこと言われたの初めてだ。
「授業は楽しいか?」
「まぁ、楽しいよ」
「サボりより?」
「多分ね」
サボりより楽しいことか。
この際授業を真面目に聞いてみるかな。
「なら、戻るか。俺、真面目に授業うけてみるわ」
「ほんと?じゃあ早く戻ろ!」
「だな、授業遅れたら入りにくいし」
俺達はサボリをやめて元来た道を引き返していった。
3
その後、俺は授業をサボることを辞めた。
サボることが悪い事だと認識した。
あの日以来、俺は絵里と友達になりよく話すようになった。
それに周りの人と打ち解けることができ、とても楽しい日々だった。
そんな大事な出来事を俺はいつしか忘れてしまっていた。
「ほんとに忘れてたの?」
「あぁ今の今までな」
「酷いなぁ、せっかく人生をいい方向に変えてあげたのに!」
「ごめん、ごめん」
教室に笑い声が響く。
5月も第2週目に入って、少しずつ気候が夏らしくなってきていた。
他の生徒はみんな帰ってしまって今は2人きりだ。
「俺さ、お前に感謝してる」
「うん、感謝してね!」
「今ので感謝が半減だな」
「ええっ!」
こいつがいなければ今頃は最悪な日々を送っていただろう。
告白されることもなかっただろうな。
人生の選択肢は1つ間違えると最悪になるけど、その逆もある。
だからあの日、絵里が俺に話しかけてきたことは偶然であったとしても感謝すべきことだと思う。
その気持ちを全て込めて俺は、
「ありがとう」
と一言。
絵里は笑顔で応える。
「でもね、私も感謝しているの。あの時、仲良くなれたから今もこうして話せる。だから私からも。ありがとう」
俺達は不思議と微笑んでいた。
これからもこいつと仲良くしたいな。
そう思えた瞬間だった。
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