Re:legend
566:『夢海』
リュウさんが王都に戻ってから僅か数分で決着はついた。リュウさんは光の魔法で魔族や『死霊』に操られていた者たち、闇のヴァルキリーを殲滅して私の前に戻ってくる。
「リュウさん!」
私はリュウさんに抱きつこうと腕を伸ばすとリュウさんは私を優しく受け止めてくれた。
「リュウさん、なんでここに?もう『死霊』は倒したのですか?」
『死霊』を倒すために王都を出たはずのリュウさんがここにいる理由を私が尋ねるとリュウさんは何て言えばいいのかわからないような表情を浮かべていた。
「ごめんね。ヒナちゃん、これはヒナちゃんの夢なんだ…」
リュウさんは申し訳なさそうにそう言い残して私の前から消えた。
「え、リュウさん?」
私は慌てて周囲にリュウさんがいないかを確認するがリュウさんの姿はない。
「これが…『夢海』の魔法……夢を現実にする力……今のリュウさんはヒナさんがこうなったらいいと夢見ていたリュウさんの姿を現実化させたもの……ヒナさんが夢見ていたリュウさんを魔法で実現化させて敵を殲滅させた……リュウさんはまだ戦っている………」
私が後ろを振り返るとシャインとダークを連れたゆめみちゃんが『夢海』を開いていることがわかった。
ゆめみちゃんの横ではシャインやダークが『夢海』の力に驚きを隠せずにいた。
「ゆめみちゃん、なんでここに?」
「王都が…ピンチって聞いたから……戦いに来た……まあ、私には戦う力はないのだけれど……」
ゆめみちゃんは私の質問に答えた後、再び『夢海』の魔法を発動させる。
「過去の夢」
ゆめみちゃんが魔法を発動させると謎の光が王都を包み込んだ。光が晴れると王都は敵に襲われる前の状態に戻っていた。
「何を…」
「王都に残されていた人たちから戦場になる前の王都に関する夢を集めてそれを再現して王都を前の状態にした……」
ゆめみちゃんは私にそう答えると魔導書を閉じて自分のカバンにしまう。
「流石に疲れた……」
『夢海』の力を使いこれだけのことをしたのだ。疲れて当然だろう。ゆめみちゃんはその場に倒れこむ。
「ごめんなさい…体が動かない……」
「大丈夫だよ。ゆめみちゃん、ありがとうね」
私の返事を聞くとゆめみちゃんは完全に気を失った。私はゆめみちゃんを家のゆめみちゃんの部屋に運びシャインに側にいるように頼みダークは飛行島に帰した。
私は黙ってゆめみちゃんが起きた時のために料理を作ったりゆめみちゃんの看病をしたりした。
私にはこれくらいしか出来ないから…
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