Re:legend

りゅう

543:夢












死………
私に迫る光はそれを私に告げるものだった。
あの夢を見た時とは違いあの人の仲間が死んでいないだけ状況はマシだろう。

本来なら私だけでなくあの人以外全員の命はなかった。
最初、私はここに来るつもりはなかった。でも、私が来ないことで何が起こるかわからなくて怖かった。
だから私は大人しく死を選ぶことにした。
私の予想通り私さえ死ねばみんなは殺されない。
だから私はここで死ぬ…
私を助けてくれた大切な人と大切な人にとっての大切な人を守るために…

私をここまで導いてくれた『夢海』の力が憎い…この力がなければ…こんなことにはならなかった。この魔導書さえなければこんなことしなくて済んだ。

でも私が生きることが出来たのもこの魔導書のおかげ、私とあの人を繋いでくれたのもこの魔導書

今、こうして私に選択肢を与えてくれたのもこの魔導書…

あの人と出会う夢を見た時、それはお父さんが死んだ数日後、今から何年も前、その時からずっと私はあの人のことを考えていた。

あの人と出会ってまだ2日しか一緒に過ごしていない。だけど、私にとってこの2日は数年待ち望んだ夢だった。

この夢を味わうことが出来て本当に幸せだった。この夢を味わうために私は生きていたんだ。と思うことが出来た。

あの夢をずっと見続けていたかった。
でもそれは叶わない…

私を助けてくれたあの人には苦しんで欲しくないし何も失って欲しくない。
だから私はここにいる。

私のせいでみんなが死ななくて済むように………

そう思い死を選び死の感覚が私に迫った瞬間、私に訪れたのは生の感覚だった。

私を守るように世界で最も綺麗な輝きを放ち私を死の感覚から目覚めさてくれた。

私の大切な人が私のために立ち上がってくれた。
こんな夢みたいなことがあっていいのだろうか……
私の大切な人は先程までとは全く違う力を身に纏い私の前にそっと立った。
巨大な翼を広げ、天使のように翼を羽ばたかせる。巨大な2つの翼で私を覆ってくれた。

「すごく素敵な夢……」
「夢じゃないよ。言ったでしょ?ゆめみちゃんは僕が必ず守るって…」
「………ありがとう」

私の大切な人は立ち上がってくれた。
私を守るために……











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