Re:legend

りゅう

539:夢の景色










「え、一緒に行きたいって…ダメだよ。家で大人しく待ってて…」

ヴァルキリーの集落に向かおうと仕度をしていた僕にゆめみちゃんが同行を申し出てきた。

「お願い…します……」
「うーん、どうして一緒に来たいって思ったの?」

必死に頼み込むゆめみちゃんに僕が尋ねるとゆめみちゃんは少し考えてから口を開く。

「リュウさんたちの役に立ちたいから…あと、夢を見たから……」
「夢?」
「うん…こことは違う薄暗い場所で私とリュウさんが魔族に囲まれている夢……」
「夢…か……」

ゆめみちゃんが持っている『夢海』の力は得体が知れない…だが、一つだけ分かっているのは『夢海』の力は夢を操る。だからゆめみちゃんが言っていることはとても気になる。

「わかった。一緒に行こう。ただし絶対にシャインと一緒に行動するように」
「……わかりました」
「シャイン、ゆめみちゃんを頼むよ」
「かしこまりました」
「ゆめみちゃん、無理だけはしないでね。シャインが逃げるように言ったら絶対に逃げること。シャインの指示には絶対に従うように」
「………わかった」

ゆめみちゃんの返事を聞いてもまだゆめみちゃんを心配していた僕を見かねて側にいたニコルちゃんが僕に提案をしてくれた。

「そんなにゆめみちゃんのことが心配なら私もゆめみちゃんの側にいますよ」
「あ、なら私もニコルちゃんと一緒にゆめみちゃんの側にいますよ」

ニコルちゃんだけでなくフランもそう言ってくれたのでゆめみちゃんには常にフランとニコルちゃんの側にいるように言っておく。

「リュウ、準備できたわよ」

準備を終えたエリカも玄関に来たのでさっそく5人でヴァルキリーの集落に向かうことにした。

バリアスまでドリフトで移動しそこからしばらく歩いた先にヴァルキリーの集落はあるはずだった。

だったのだが…………

「ここにヴァルキリーの集落があるはずなのよね……」
「聞いた話だとそうだったはず……」

ヴァルキリーの集落があるはずの場所…
そこには大量の魔族が住み着いており魔族の拠点と成り果てていた。

「ヴァルキリーなんていないじゃない…」
「いや、いる………」

エリカが呟いた直後、ゆめみちゃんがエリカの言葉を否定する。

「あの洞窟、奥まで進むとお花畑がある。そこにヴァルキリーはいる………」
「あんた、何を言って……」
「夢で見た。光景も同じ。あの洞窟の中で私たちは魔族に襲われる。そして魔族を倒してヴァルキリーと会う…そのあとはわからない……」

おそらく『夢海』の力だろう。信じる価値はあると思う。

「ゆめみちゃんを信じてあの洞窟に向かうぞ」
「「「了解」」」

魔族の隙を見て僕たちは洞窟の中に入り込むのだった。










コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品