Re:legend

りゅう

510:姉と妹















「お姉ちゃん、頼みがあるの」

家に帰って夜ご飯が出来上がるのを部屋で待っていたハルカにエリカが言う。

「頼み?」

「うん。私に覚醒状態を教えて、お姉ちゃんを超えるには覚醒状態を完璧に使えるようにならないといけないの」

「エリカ…」

エリカの頼みを聞いてハルカは悩んだ。もし、エリカが覚醒状態を完璧に使えるようになってしまったら『暴食』と本当の契約を結ばないといけないから……

「教えてあげなよ。大丈夫、あいつならきっとエリカの力になってくれるさ…それにこの先の戦いでまともな戦力がリュウと君、そして魔女達だけじゃ必ずジリ貧になる。今は1人でも強力な戦力が欲しい…」

ウィズが悩むハルカに声をかけるがハルカの耳には届いていなかった。ハルカはなるべくエリカに強くなって欲しいと思っていなかった。強くなったらきっとこの先の戦いで無茶をするだろうから…ハルカはなるべくエリカには戦わないでいて欲しかった。大切な妹だから…

「お姉ちゃん、お願い」

「………わかった。明日から飛行島で覚醒状態になれるように特訓しましょう」

「うん。ありがとうお姉ちゃん」

エリカはそう言いながらハルカの部屋を出た。ハルカはエリカを見送った後布団の中でうずくまった。

「ごめんね。エリカ…わかって…私、エリカに戦って欲しくないの…」

ハルカにはエリカに覚醒状態を教える気は無かった。適当なことをやらせてエリカが折れるのを待とうと思っていた。

「ねえ、ウィズ…私、ダメなお姉さんなのかな…」

「いいや、私は君の想いは正しいと思うよ。誰もが大切な人を失いたくないと思うのは当然のことだ…でもね、エリカも君に対して同じことを想っているのを忘れてはいけないよ。君はエリカにとってたった1人の大切な姉なんだから…」

「わかってる。だけど私はエリカやリュウさんやみんなを守るために戦いたい」

「エリカもそうだろうね…」

ウィズの言葉を聞きハルカはどうすればいいかがますますわからなくなった。















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