Re:legend

りゅう

454:水の弟子達












「どうしたの、イズミちゃん、最近様子がおかしいけど?」

水の魔女スイ様のもとに私より2週間ほど前に弟子入りした姉弟子であるイズミちゃんに私が尋ねる。

「スイ様から聞いたんだね。水の魔女の後継のこと…」

イズミちゃんはボーっとスイ様の屋敷の庭を眺めながら私に言う。

「うん…どうして私を?本来なら水の魔女はイズミちゃんが継ぐべきなのに…」

「うん。そうだよね…私もずっとスイ様に憧れてきた。だから気づいちゃったんだ。私には才能がないって…」

「そんなこと…」

暗い声でそう口にしたイズミちゃんに私はそんなことないって言おうとしたがイズミちゃんの表情を見て途中で止めてしまった。

「私には才能がなかった。だから才能があるアクアちゃんを次の代の水の魔女にして欲しいって言ったの。羨ましいよアクアちゃんの才能が…」

「だって私には水の魔法しかないから……私だってイズミちゃんが羨ましいよ。水に風、雷…3つの属性の適性があって…」

「その話はしないで、私はスイ様に弟子入りした時から水以外の魔法は使わないって決めたの…」

イズミちゃんは少し怒りながら私に言った。イズミちゃんが怒るのも無理はない。今、イズミちゃんが欲しいのはたくさんの属性の適性ではなく水魔法の才能だから……

「ごめん…」

「あっ、私こそごめんね。急に声を荒げちゃって…」

「気にしないで…私が余計なことを言ったのが悪いんだし…」

それからしばらく私とイズミちゃんは話さなくなった。私から事情を聞いたスイ様は私たちが今までみたいに仲良くできるようにいろいろと計らってくれたがイズミちゃんはずっと私から距離を置いていた。

「スイ様、少々よろしいでしょうか…」

私とイズミちゃんが話さなくなってから数日後イズミちゃんは夜遅くにスイ様の部屋を訪れた。

それが事件の引き金となった。私が水の魔女となった事件の引き金…それは今代の水の魔女の終わりを告げることとなる。














「Re:legend」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く