Re:legend

りゅう

286:鉄壁との遭遇








「獣化」

コヨミちゃんが獣化を発動させる。最初、コヨミちゃんは僕の指示に従い、小隊の部下を連れて住民の救出等を行っていたのだが途中、コヨミちゃん達の前にかなり強い魔族がやってきた。

一緒に来ていたシャルロットやニコルちゃん、タイラスさんは他の魔族の相手をしているみたいなので今はコヨミちゃんが戦うしかなかった。

「ほう。獣化ですか…珍しいですね。他の大陸には獣化を使える獣人でのみ構成された組織があると聞いたことありますがそれ以外で獣化が使える方と出会えるとは…」

コヨミちゃんの前に立つ魔族が一人でぶつぶつと呟いている。

「ピュレット騎士団小隊長、コヨミの名にかけて、あなたを倒します」

コヨミちゃんが魔族に言う。

「そうですか。私は鉄壁のバリドスこの村で3本の指に入る実力はあると思いますよ。まあ、頑張って私を倒してください」

「じゃあ、遠慮なく」

獣化を発動して狐の半獣化状態になったコヨミちゃんがバリドスの後ろに回り込みバリドスに全力の回し蹴りを打ち込む。

「ツッっ」

たしかに攻撃は当たったはず。なのにダメージを受けたのはコヨミちゃんだった。バリドスに回し蹴りが当たった瞬間、コヨミちゃんの足に激痛が走りコヨミちゃんは距離を取る。

「なるほど、鉄壁ですか…厄介ですね…」

「ほう、今ので私の魔法を見抜きましたか…なかなかやるみたいですね」

「はい。まあ、魔法ランク4くらいの魔法でしょうか、なかなかの使い手ですけどあなたよりも鉄壁の名に相応しい方を2人も知っているのでそこまで驚きませんでしたね」

コヨミちゃんがバリドスに言う。コヨミちゃんが言う2人って僕とハルカのことなんだろうな…

「私より鉄壁の名に相応しいか…あなた、歳の割にかなり戦闘経験が豊富なようですね」

「まあ、貴方達魔族のせいでね…」

コヨミちゃんの言葉を聞きバリドスが的を得ていると言いながら笑う。

その間、コヨミちゃんはどうやってバリドスを攻略するかを考えていた。たしかにバリドスの魔法は僕やハルカの『傲慢』の魔法に比べれば大したことはないだろう。せいぜいフェアリーに鉄壁の舞を使ってもらい強化したバリアくらいの強度だろう。だが、バリドスの魔法の厄介なところは魔法の発動範囲が広いという点だ。おそらくバリドスは敵が攻撃する瞬間、魔法を自身全体に纏っている。

今現在、コヨミちゃんでは僕の強化されたバリアを砕くのは難しい。故にバリドスにダメージを与えるのも難しいだろう。

「さて、どうしましょうか…」

コヨミちゃんがバリドスに気づかれないようにボソッと呟く。









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