Re:legend

りゅう

192:新たな戦い







「では国王様、そろそろ参りましょうか」

うちを訪ねてきたロンさんが僕に言う。
僕がスマホで時間を確認すると11時30分だった。

「じゃあ、そろそろ行こうか」

僕はそう言いながら立ち上がる。
今回、僕達は大陸の北側奪還作戦の計画を考えるため、ドラグーンにて会議を行うことになっていた。

「じゃあ、ちょっと行ってきますね」

僕は『時空』の魔法を発動し、目的地をドラグーン王城前に設定する。
魔法で現れたゲートを僕が潜るとゲートは閉じてしまった。
『時空』の魔法で移動できるのは僕だけなので仕方ないのだがちょっと不便だな。

ドリフトでは一斉に移動できるが、1度も行ったことがない場所には移動できない、『時空』の魔法は1度も行ったことがない場所でも移動できるが、僕しか移動できない。

僕がゲートをくぐるとドラグーンの王城前に出た。
僕は再びと『時空』の魔法で家に戻り今度はドリフトでドラグーンの王城に向かう。

今回、ドラグーン王女ソニアさんの希望でスカーレッドとグランブルーも連れて行くことになっていた。

家の留守番はエル、エリス、コリンさん、アミちゃん、ヒースクリフ、ユリちゃんに任せてきた。

ピュレット騎士団から僕の護衛として団長のシーラさんと副団長のガランさんが同行していた。

「あの、ガランさん、なんでそんなに疲れてるのですか?」

ヒナちゃんの横でゼエゼエ言っていたガランさんにヒナちゃんが問う。

「実はコリンさんに獣化の仕方を教えてもらってまして…」

「獣化?ガランさんこの前獣化してませんでした?」

ちょっと気になった僕がガランさんに尋ねる。

「私の獣化はまだ完璧ではないのです。私のあれは半獣化と言ったところでしょうか…コリンさんの完全な獣化とはレベルが違います」

まあ、獣人族の中でも獣化できる個体は少ないらしいから素質があるからと言って誰もがポンポンと獣化できるわけではないのだろう。

そんなやり取りをしてるうちにドラグーン王城の応接室に着いた。
僕とロンさん、シーラさん以外は待合室で待機することになっていた。

「お待ちしてましたよ、リュウ様」

「ソニアさん、お久しぶりです」

ソニアさんが椅子から立ち上がり僕に軽くお辞儀をする。
僕もそれに応えて軽くお辞儀し、椅子に座る。

「これで、全員揃いましたね。」

ソニアさんが確認し、会議が始まる。

「ちょっと話があるのだが聞いてもらってもいいか?」

タイタニア国王、ドローグさんが手を挙げ、発言する。

「この大陸の南側、つまりタイタニアの海岸のそばにある7つの島からなる獣人の国、ビースト連合から救助要請が届いた」

「ビースト連合から?」

ソニアさんの表情が少し変わる。

「ビースト連合は他国とあまり接してこなかったので少し関わりにくいと考えているのでしょう」

ロンさんが小声で僕に説明する。

「無論タダでとは言わないらしい。もし魔族を追い払ってくれたらビースト連合も同盟に加入し、ビースト連合でしか取れないニトロ石の取り引きも行ってくれるそうだ」

「それは、本当ですか?」

ニトロ石の話にエルフラウ王女ファルファさんが食いつく。
後でロンさんから聞いた話だが、ニトロ石はかなり貴重な魔鉱石のようだ。
魔鉱石は様々な魔導具に使われるためニトロ石を欲しがってる国はたくさんあるが、ニトロ石はビースト連合でしか取れない上にビースト連合が全く売りに出さないから今まではビースト連合が作った魔導具からニトロ石だけ取り出してニトロ石を獲得するしか入手法がなかったらしい。
魔導具を大量に作っているエルフラウからしたらかなりいい話だろう。

しばらくビースト連合の救助要請を受けるかの議論が続いたが、結局満場一致で救助要請を受けることになった。

「では、さっそくビースト連合に連絡しましょう」

「あっ、僕が行ってきますよ、王城の場所さえわかれば一瞬で行けるんで」

「では悪いが頼んでもいいか?」

ドローグさんが僕に親書を渡してくる。

「じゃあ、行ってきますね」

僕は『時空』の魔法を発動させてビースト連合の王城付近に移動する。



「なんだ…これ?」

僕の目の前の街や城、あちこちから火が上がりたくさんの魔族が獣人達を殺していた。















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