Re:legend

りゅう

143:『憤怒』

「全部…思い出した…」

暗闇の中で私は呟く。
全て思い出したのだ、兄さんのこともおばあちゃんのことも両親のことも…地下街のみんなのことも…


あの日起こったことも…

『全て思い出したようですね…』

謎の声…いや…『憤怒』が私に声をかける。

「はい。全て思い出しました…」

『そうですか…』

「あの、地下街のみんなはどうなったんですか」

『覚悟は?』

『憤怒』が短く確認する。

「はい。聞かせてください」

『わかりました。あなたが地下街に繋がる岩の近くで気絶し、記憶を失った後、地下街では人間と魔族の戦いが始まりました。結果人間はかなりの犠牲を払いました。そして人間は地下街の奥にある避難用の洞窟などに今も身を潜めてます。』

「私の家族はどうなりましたか?」

『あなたのおばあさんはあなたの兄ヒースクリフを庇い死にました…両親は魔族と戦い敗れました…おそらく殺されたでしょう…』

『憤怒』の言葉を聞き、私は私を許せなかった…そもそも私と兄が魔族に見つからなければ…兄がペンダントを落とさなければ…地下街が魔族に襲われることはなかった…
私は拳を強く握りしめる。

「はやく…残ってるみんなを…兄さんを助けないと…」

私は頭を抱えながら歩き出した。

『待ちなさい。今のあなたが行っても役に立ちません』

「でも…」

『私を連れて行きなさい。あなたの自身への怒りを『憤怒』の資格と認めましょう』

私の前に『憤怒』が現れる。
私は『憤怒』を掴み感謝する。

「ありがとう『憤怒』…私に新たな力を…」

『その力を正しきことに…』

『憤怒』の声はそういい残し消えた…

「Re:legend」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く