銀狼転生記~助けた幼女と異世界放浪~

テケテケさん

007 ~俺、エンカウントしました~

 意識が浮上する。

 「わふう?」
 (朝か?)

 おっと、声は出ないんだった。
 ついつい声にだしちまうな。
 早く慣れねえと…。

 そこで、改めて周囲に目を向ける。
 うん。夢じゃあなかったんだよな……。
 やはりそこには、光る鉱石があちこちに埋まっている、なだらかな壁面が確認できる。
 光るキノコも生えてるな。
 ……この鉱石、【鑑定】してみるか? これも念じればいいのだろうか?

(〈鑑定〉)

 と、鉱石の情報が頭に流れ込んでくる。

《光邪石》:希少度6 魔素の濃いダンジョンでしか手に入らず、その数は少ない。モンスター除けの石で知られているが、その実加工に使えば破魔の属性を付与できる。

 ふんふん、この鉱石ってめっちゃ貴重なんか……
 見渡す限り光邪石なんだが。
 あと気になる単語は”魔素”だな。
 どう考えても魔法関連だよな? あれか?
 周りに漂ってんのか?
 試しに体の周囲に意識を集中。
 あれだ、森林浴みたいな感じで。

《条件の達成を確認、【魔力感知】を取得》

 なんかきたー!?
 いや、確かになんかスキルもらえるかな~。
 とは思ったけど、魔力感知したの? 魔素じゃないの?
 まあ、いいや。
 意図的にスキルは増やしていけることもわかったしな。
 てか、さっきまで何も感じなかったのに、床から湯気みたいなのを感じる。
 これが魔素か? なんかサウナみたいな光景になってるよ?

 ついでに光るキノコも調べてみる。


《爆光茸》希少度不明 新種のキノコ、光源として使えるが、食べると爆発する。

 ふむ。
 新種のキノコか。
 食べると爆発って、食べねーよ。
 光るキノコなんか。

 うーん、どちらも希少度は高いしな。
 この鉱石とキノコ、取ってったほうがいいか?
 どうせ周りに死ぬほどあるんだし。
 ちょっとぐらい取ってってもバチはあたらんだろ。
 確か【空間魔法】って収納できるんだよな?
 ヨッシャさっそく!

 俺が念じると、周りの鉱石とキノコがいっせいに消えた。
 合わせて10個ぐらいか。
 容量あるらしいしこんなもんか。
 と、頭の中にメッセージが。

《練度上昇【空間魔法Ⅱ】になりました》 

 おお!
 これが練度の上昇か。
 やっぱり使えば使うほどいいってことか。
 これからはバンバン使ってやろう。


 そろそろこの洞窟からおさらばするか。
 方角はわかんねーが、上に行けば魔素の薄い平地みたいな場所がある。
 たぶんそこがダンジョンの外なんだろう。
 (【魔力感知】でわかった)
 では、新しい狼(犬)ライフの一歩を踏み出しに!

        しゅっぱ~~つ!!!


◆◆◆◆◆


 迷いました!
 はい。
 いや~ダンジョンって広いな。
 同じような道ばっかで現在地が全くわかんねぇ。
 上に行く階段どこにあるんだよ!
 そういやこダンジョンって〈サハラ遺跡〉って名前だったよな?
 ぜってーあいつ関連じゃねえか!
 あ~嫌な予感しかしね~。

 そこからしばらく歩くと、曲がり角にさしかかる。
 ん? 【魔力感知】になんか引っかかったぞ?
 生命反応的なあれか?
 へー索敵さくてきに便利じゃん。これ。
 あ、こっちに来る。
 思えばこっちに転移してきて初めてのエンカウントイベント
(邪神はノーカン)
 ドキドキするな。
 お、見えた──って、あいつは!

 尖った耳に、奇妙に折れ曲がった鼻、醜く歪んだ顔にやせ細った体。
 暗くてわかりにくいがその皮膚は緑色に見える。
 ゴブリンだな。
 絶対ゴブリンだ!
 【鑑定】なんかせんでもわかるもん!
 まあ、人間じゃなかったのが残念だが、ゴブリンといえばファンタジー世界の代名詞、代表的な雑魚モンスターだ。
 今の俺のステータスとどっこいだろう。
 これはラッキーだな!(運ー10だけど)
 サクッと殺して経験値に変えてやんよ。
 と、その前に【鑑定】っと。
 ゴブリン? の情報が頭に流れてくる……。

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名前 なし
種族 ゴブリン(変異種)
装備 鉄の短剣

LV:12/20
HP:60/100
MP:0/2


攻撃力:120
防御力:10
抵抗力:10
俊敏性:60
魔法力:10
 運 :10

:ノーマルスキル:
 【短剣技】【刺突】【噛みつく】【怒る】

:称号:
 【変異種】【醜悪な者】

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 ──────────嘘だろ?

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