現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

人の戦い。決着

「俺は状況を理解していない。嬢ちゃんにそっくりな女に体の自由を奪われてるって事以外は分からん」

俺にそっくり……まぁ死神の体は俺のだからな

「貴方は覚えていないし、理解も出来ないでしょうけど…私は貴方に一度勝利してます。あの時は瀕死にまで追い詰められましたが、今回はこれだけのメンバーが揃ってる。貴方を殺さず無力化も可能です」

あの時はギリッギリの勝利だったけど、初見じゃないし仲間がいる。余裕とは言えないけど、十分戦えるだろ

「?………まぁよく分かんねぇけど、音響魔法に対する回答はあるのか?」

音響魔法……音を自在に操る魔法。それだけだとあまり強くはなさそうだけど、音とは振動。やろうと思えば分子を振動させて血液を沸騰させる事だって出来る。それなりに時間はかかるから今回は心配なさそうだけど……それ以外にも音による完璧な感知、相手の聴覚不良、超音波による細胞破壊……無傷でいけるか?

「俺の魔法を無効化するには基本的には振動物を極力無くすしかない。とりあえず屋外に移動しろ。壁とかあると遠距離にいても振動で攻撃出来る」

振動物を無くす……?

あっ、そうだ

「シェスト君、ファングさんの周り覆って」

「えっ、あ、はい」

シェストの防御魔法による城壁でファングの周囲を覆う

「こんな壁くらいならすぐに破壊しちまうぞ」

という言葉を無視してジャンヌは指示を続ける

「ベリアルさん、あの空間の中の気体をファングさんが生存できるギリギリの範囲で消せますか?」

「なるほど、考えたな。ディメンジョンドミネート」

よし、これで空気は無いし振動も極限まで伝わりにくくなってるはず……

「この壁を貫通して俺を無力化出来るのか?そもそも壁と俺の間に振動物が無いだけで時間をかければ脱出出来る。何をするにしても急げ」

壁なんて関係なく敵を拘束する魔法があるんだよなぁ

「我は喰らう美味なる魂を」
「その殻を貫き肉を削ぎ骨を断つ」
「最後に残りしは甘美なる器」
「全ては我が手中にて踊る命」

漆黒の魔法陣がファングの真下に現れ、段々と白く発光していく

「ソウルバインド」

……
………
…………

光が収まり、見えた光景は

「な、なるほど……全く動けねぇ…やるじゃねぇか」

地に伏したファングの姿だった

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