現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

おじさんと喋る剣

「俺にはいい腕の協力者がいてな。新王バルギアからの就任式招待状が来る前からすでに暴走を知っていた。ちなみに生殺与奪ソウルリーパーが撃破した男…アイザックって言うんだが、そいつの事も知っていた」

「では貴方は知っていた上でお姉様を危険な目に合わせたと?」

お、落ち着いてくれメリル……

「あぁそうだ。状況を把握していたからこそ、自由に動ける上に信頼出来るのはSランク冒険者、さらには戦争で大活躍した勇者様しかいなかった……今回の件、何も話さずに利用してしまってすまないと思ってる」

「い、いえ!そんな頭を上げてください」

軍総括隊長とかなんとかいうめっちゃ偉い人に謝られるのは気が気じゃない!

「いえ、お姉様。もう少し下げて貰いましょう」

メリルがキリヤさんの頭を鷲掴みにして下方向に力を込める

「いたっ!いだだ!ちょっと、おじさんもう歳だから!首とか曲げると痛いから!」

「そんな事はありません。父上ならもう少し行けますよ」

キリナさんがメリルの上から手を置き、さらに下方向に力を込め、遂には床に顔が着地する

「キリナ!黙ってたのは悪かったから!許して!お願いだから!」

「そ、そろそろ辞めた方が……」

「「まだ行けます!」」

ダメだ。やめる気配がねぇ

「ちょっと!行ける行けないの問題じゃなくて、そろそろおじさん限界だから…あっ」

パキッ……と小気味の良い音が……

「父上……私は貴方の娘に生まれてきて幸せでした。天国から見守っていてください」

「えっ?死んでないよね?」

「軍総括隊長さん……貴方は立派に仕事を果たしました。後は私たちに任せて、安らかに眠ってください」

「死んでないよね!?それにメリルは感傷に浸れる程親しくないよ!」

……
………
…………

キリヤさんはめちゃくちゃ痛そうだったけど、なんとか復活した

「おじさんが物理的に傷ついたところで話を戻そう。今回の我々の目的は2つだ。1つ目は新王バルギアの計画を阻止して、招待客を守ること。もう1つはこれだ」

キリヤさんがそう言うと、腰に帯刀した剣を取り出す

「聖剣デュランダルですか……?」

「そうだ。と言っても目的はこれじゃない……これはあくまで依り代だ」

依り代?

『その通りだ!なんやかんなで華麗に復活!』

「剣が喋った!?」

口も無いのにどうやって音を発してるんだ?

「聖剣デュランダルを依り代にシンヤ様の魂を刻んである」

「だから、あの時シンヤ様は聖剣デュランダルを近くに置けと……」

『おう!腕を吹き飛ばした事も含めてナイスだぜ!キリナさん』

「勇者シンヤが召喚されて、剣を依り代にするところも知っていたんですか?」

たしかに……それは俺も気になる

「いや、シンヤ様が召喚される可能性が高いという事は分かってたが復活に関しては完全にアドリブだ。俺の作戦としてはキリナに持たせてる特殊な刀に一時的に魂を閉じ込めて復活させるつもりだった」

「どうして勇者シンヤを復活させようと?」

生殺与奪ソウルリーパー……いや、ジャンヌさんにはまだ伝える事が出来ない。これに関してもすまないと思っているが、時期が来れば話すと誓おう……」

『俺の予想では、魔王に近い何かの脅威が迫ってるってところか?』

「まぁ、そんなところですね」

なんなんだよ……

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