現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

その者聖剣の為に生まれ、悪魔の依り代を兄とする

相手は20年前に私が倒した悪魔だ。意識を破壊しただけと言っても勝利は勝利。勝てない相手じゃないはずだ……

だけど相手はグレイスの体だ。なら万全を期すのがいいよな

そう思い、私は左手につけてる腕輪に魔力を込める

「アルラウネ!」

「あいよ、クレールちゃん」

ものすごい速度で来たな……まぁいい、私とアルラウネなら悪魔相手でも遅れはとらない

「グレイス?いや違うな……悪魔か?なるほど、乗っ取りね……となれば相手は道化の悪魔ってことか」

「相変わらず早い理解で助かるぜ。グレイスが死なねぇように調整しろよ」

「俺は友情に厚い男だぜ。友達殺すわけねぇだろ」

悪魔は嗤う。グレイスの顔で……不気味に

……
………
…………

「情けねぇな……クソ女と雑魚精霊さんよぉ……まぁ、勇者の聖剣に完全に認められたこの男の体を悪魔である俺が操ってるんだから、仕方ねぇか?」

やばいな……強すぎる…アルラウネとペアでも勝てるビジョンが見えない

せめて、あの聖剣を無力化出来ればな……勇者の聖剣は持ち主の能力に合わせて変化する。グレイスの剣はバランス型だ…対応力が高すぎて、全てを跳ね返される

「なに考え事してるんだ?その首もらっちゃうぜ」

悪魔が目の前に……聖剣が首元に……

これは死んだ…か?

「母様!」

クレイの声が聞こえる……

悪いな……こんなところで死んじまって

……
………
…………

母様が……死んだ?……そ、そんな……

「あっはははははは!あはははは!最高だぁ!素晴らしいな!これが復讐の気持ちよさかぁ……あははは!」

「てめぇ!この悪魔が!」

「次はお前だ!雑魚精霊!」

アルラウネが悪魔に吹き飛ばされる

「……さて………お次はクソガキ共だな」

悪魔が僕と兄さんの前に立つ

「死ね……!?」

悪魔は動かない……

「クレイ……君なら………聖剣も認めてくれるさ………僕が悪魔の動きを封じてる間に…聖剣に触れるんだ」

不思議と、迷いはなかった

まるで、元より僕がそうするのは決まっていたかのように

この身は聖剣のためにある

……
………
…………

僕が意識を取り戻した時……目の前に居たのは血塗れの父様だ

「いい剣だ……人々を守れる………最高の勇者になりなさい」

父様の目から命が消えた……

(我が貴様を選んだのは、この場を解決出来る者が貴様しか居なかったからだ。すなわち情けだ……我に神々の制約がなければこの様な事をしなかったと覚えておくことだな)

頭の中に声が流れてくる………

もう無理だ

……
………
…………

(ちょっくら失礼、俺は道化の悪魔さん。居心地は悪いし、少し狭いが、我慢するよ。クロウちゃん)

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