現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

カウントオーバー。希望枯渇

「ギャァアガァァア!」

黒竜の咆哮が響き渡る。

「これ……どうすんだ」

俺の心は一瞬で恐怖で埋め尽くされた。アスカの声どころか周りの音全てが聞こえない。俺には届かない。

「や…やるしか……ない……」

死の恐怖は拭いきれない。たとえ神が助けてくれるとしても死ぬのは怖い。それに一度死ねば二度目はない。

でも……

ここで俺が倒さないと、みんな死ぬ。俺が死ぬより、俺以外が死ぬ方が嫌だ!

「ソウルメルト!」

全ての魔力を解放しながら黒竜に向かって走る。

「おい!待て!1人で行くな!……聞こえてねぇのかよ」

クレイのステータスを奪ってる状態だから、俺の筋力は8000近くあるはず。
ソウルメルトを使ってる今の状態なら400万くらいの筋力だ。まともに喰らえばアスカもクレイも即死させるくらいの威力はある。

「グァァアァギィィヤァァア!」

効いてる!ソウルメルトの効果時間の3分間殴り続けたら倒せる!

……
………
…………

「はぁ……はぁ…………」

「大丈夫か!ジャンヌ」

なんだよ…こいつ……殴るたびに強くなってるような……そんな感覚を覚える。

「あはははは!君たちは計画に邪魔だと思ったから殺そうとしたんだが…思わぬところでいい収穫だ!ダメージは相当喰らったが、君の魔力はとても素晴らしい物だった!」

黒い靄が黒竜を包み、それが晴れるとまたさっきの男が現れた。

「……ここは逃げるぞ」

アスカが足を地に叩きつけ、地面が割れる。そして即座に俺を担ぎ上げ、王都の方角へ走る。

「俺じゃあの黒竜に対して有効打になれねぇし、ジャンヌの力が反動で下がってる今じゃ勝ち目がねぇ」

「逃がすわけないだろ?俺の餌を」

黒い靄が目の前に現れ、そこから男が出てくる。

「ワープまで出来るのかよ」

「君も相当強そうだが、魔法使いの子程じゃないよな?強化魔法による支援もなしで、その子を庇いながらなんてハンデがあれば、これで殺せる」

黒い魔物が周囲に10体以上現れる。

「じゃあな。なかなか美味しい思いさせてもらったよ」

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