現代知識で異世界無双したかったよ……

リン

修業の成果。最後の適性。

ヘビさんとエリックさんの試合も終わり、俺の番が来た。

相手はセディンという男。さっきの試合ではオルトという男が使う魔法を全て弾けさせ、相手をリタイアに追い込んだ。

正直な話をすると、全く対策が思いつかない。強化魔法は弾けないと信じるしかないな……

……
………
…………

「はぁい、よろしくね♪可愛いお嬢さん」

こいつ、顔はイケメンなのにオカマかよ!?

「遅いわよぉ」

「!?…」

セディンは5mは離れたところから予備動作もなく一瞬で俺の目の前に移動し、俺の腹部に拳を叩き込んできた。
硬化の魔法を使っているのでダメージはないが、全く反応できなかった。

「あら、硬いわね」

セディンはもうすでに距離を取っている。
どういうことだ?
接触したのに強化魔法を消されなかったことを考えると魔法無効ってわけじゃないのか?

「じゃあ、こんなのはどう?」

セディンは動いていないというにも関わらず、俺は後方に吹き飛ばされ壁に激突する。

「うーん、効いてないわねぇ」

くそっ!どういう魔法なんだ?
魔法を弾き、高速移動して、何もせずに相手を吹き飛ばす……
全然分かんねぇ……

「ちょっと、本気出しちゃおうかしら」

こいつ…なめてやがる…
よし分かった。いいぜ、俺も全力で行くからな。
本当はエリックさんに使うための秘密兵器だったから使いたくなかったけど、このままじゃ勝てないからな。

「これから何するつもりか知りませんけど、私も本気を出すので……覚悟した方がいいですよ?」

……
………
…………

俺の足元には俺を中心とした巨大な魔法陣が黒い光を放ちながら闘技場の床を覆っている。

「な、なによこれぇ…」

この世界の魔法に魔法陣というものは存在しない。体の中にある魔力を頭の中で描いたイメージ通りにしていくのがこの世界の魔法だ。

「我は死を恐れる」
「我は生を求める」
「汝は死を司り」
「汝は生を憎む」
「全ては生と死の円環」

魔法陣を使用してるのは、完全に俺のオリジナル。
俺の特異魔法。
大量の魔力を使用する上に1人しか対象に出来ないけど、相手のステータスを一時的に奪い取る反転弱化の超強化版。

「ソウルドレイン」

……
………
…………

「う、動けないわ……」

生命力、体力、筋力、魔力、その全てを90%近く奪うからな。
まともに喰らえば30分くらいは虫の息だ。

でも、魔力9999overの俺でも1回で半分以上魔力を持ってかれるから今日はもう使えないな。ソウルドレインは魔力のステータスを奪っても最大値が増えるだけで魔力自体が増えるわけじゃないからな。

さて、エリックさんにどうやって勝とう?

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