時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

武田ペース発動によって起こる衝動と暇な時間と変なギャグ。

「そうか、あんたがあの・・・」

勿論、今の東国じゃ俺の名を知っている人は少ない。それでも、情報収集を何かとする人達はなんとなく頭の中で置いておいてくれているものだ。特に、武田なんて元々今川と同盟をしていたくらいだ。討った男の名前くらい知られていないわけ無い。

「私は知っておりますぞ、今川義元を窮地に陥れ、討ち取った張本人であり、この同盟を結ぶ要因となった男!軍師とは初耳でしたが、一度聞いて全てを覚えるのが私ですからな!がーっはっはっは」

「私は初耳です。てっきり、今川義元の京上洛を邪魔する為の策かと思っておりまシタ!」

左の手前に座る女の子がそう言った。

「相良裕太ねぇ・・・。久々の男で義元を討ったのだと勘助が言ってたのは覚えてるけど、あんたのことだったのかい。分からなかった。・・・しかし、良く義元を討てたもんだね」

武田は元々今川との同盟をしていたので、てっきり怒るものだと思っていたが、どうやらそれは無い様だった。

「ああ見えて義元は剛力。海千山千で策略も長けてて知勇兼備なのさ。特に最近では種子島に力を入れていたらしいからね。試作品はいくつか貰っているけど・・・。そんな義元を破ったあんたは偶然なのか・・・実力なのか・・・。それとも、嘘方便かい?」

そんな眼で見つめてくる晴信。彼女は俺が嘘を付いているのか疑っている。勿論、彼女の言っている様にそれは嘘だ。勿論、でっち上げだ。だが、そんな嘘を他の奴らに手柄で言い張ったりなんかはしてない。
さて、俺のことをどう見る?

「・・・それは有り得ないと思いますが」

一番右奥に座る、全身赤なんじゃないかと言うくらいに赤いカラーの着物を纏った女の子が口を出す。

「実際、ここ一ヶ月に義元が生きていると言う目撃情報は一つもありません。それに、実際にその男は義元の首を信長に差し出している。その義元の首を今川家家臣が判断したと言うのも事実。その男が嘘を吐くいわれは何処にも、ありませぬ」

誰だか分からないけど、そのカバーを恩にきる!

「・・・はぁ、分かった分かった。昌景に言われたら信じるしかないね。第一、昌景がそこまで見込んだ眼をしているんだ。信じないなんて言えないさ」

場合によっては命を救われたか。俺はそう思った。しかし、それでもなんとなく名前が広がってない事にちょっと悲しくもあるけど。まぁ、それは新参者だから仕方が無いか。

「・・・さて、気を取り直して。少しの間だけ、武田ペースでいかせてもらえるかい?」

晴信は、信勝に問いかけると、彼女は「いいよ~」と言って頷いて承知した。

「自己紹介がまだだったね。私はこの甲斐守護、そして武田家当主!武田晴信さ!粉骨砕身でやって参るのが私の道さ!」

―武田晴信。それは大きく偉大なものである。簡単に言えば、武田信玄。動くこと風の如く、信玄は晴信で晴信は信玄。出家した後に晴信は信玄と言う名へ改名し、世の中へ名を残す多様な事を行った。しかし、特に歴史に関して詳しくない相良裕太にとって未だに誰で何をしたのか、分かるはずもなかった。

「武田家家臣、山形昌景」

そうか、さっきの赤カラーの服の人は山形昌景って言うのか!先程は申し訳ございませんでした。感謝いたします!と、心の中でそう思った。

―山形昌景は、武田四天王に数えられる猛将の一人。筆頭家老で、後々深く関わっていく『赤備え』という武田の騎馬隊を取り纏めている人物。史実では、長篠の戦いにて全身に鉄砲の弾を受けるも戦い続けたという伝説が残っている。

「え、えっと・・・同じく家臣の高坂昌信ですっ!宜しくお願い致しますっ!」

と、中央を開け右に、四人の中で一番こちら側に座っている女の子は言う。

―逃げ弾正、名を高坂昌信。武略・用兵は家中随一。彼女も実力で成り上がった一人である。勝頼態勢時には、北に睨みを効かせる為、海津城を任されている。武田四天王に数えられるは勿論、皆大好き(?)あのとある武田の御本を書いた原著者とも言われている。(著作権に触れる為、書けません)

「馬場信房デスナ!宜しくお頼み申す」

昌信の手前の女の子はそう言った。どうやら、少し片言混じりのようだが。

―鬼美濃。後の馬場信春である。猛将であり、多くの戦に参加したにも拘わらず一度も負傷しなかった。そこから不死身の鬼美濃とも恐れられた彼女だが、長篠の戦いでは勝頼の逃亡を助ける為に自ら命を散らしていった。無論、武田四天王に数えられる。

「先程からずっと黙っていて申し訳ござらん。内藤昌豊だ。よろしく頼む」

山形昌景の正面に座る、一番左奥に座る女の子。この中で一番まともそうに見えたのは俺だけ・・・?

―内藤昌豊。大和守であり、武田四天王である。晴信の副将格で日常的な面からも高く評価されていた。長篠の戦いでは、勝頼を逃亡に尽力を尽くし、戦死する。ここで語ることではないと思うが、本当に大事な時に武田四天王を失った勝頼で、私が勝頼を悪く言っているように見えるのは必然で気なのだが、これは勝頼が無能と示唆している訳では無いと言うのをお分かりいただきたい。

「がーっはっはっは。私の名は、山本勘助。軍師でござる!勿論、女じゃぞ!お主ら勘違いするなよ!」

と、晴信の横で控えている女の子はそう言って大笑いした。

―山本勘助。文武百般を通じて晴信に仕える。父・信虎追放も、諏訪侵略も、上野侵略も、川中島の戦いも、もしかしたら始まりは、勘助だったのかもしれない・・・。第四次川中島の戦いで「啄木鳥の戦法」を用いた戦いを行ったが、長尾景虎に見破られてしまう。その背を追い、景虎本軍の乱戦に突入するが・・・。

・・・武田晴信に四天王、そして軍師が揃った瞬間までの時間が異様に長くて暇な時間だったんだけど。ずっと正座で足が痛い俺の気持ち、考えてくんないかな。

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