時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~
立場が逆転するとこういうことになります。
智慶も、ひとまずは走り出す。
「ふふ、あの者達をひっ捕らえよ!!そして八つ裂きにするのだ!」
雪斎が大声で、兵士達に指示を出した。槍の人達は殆ど減っていたが、それでもまだ大軍。逃げるのは叶わないかもしれない。
「確か、相良様でしたね。やはりこれも策ですか?」
全てを見抜いたように言う智慶。その通り、これは策だ。
俺はこのいきさつの説明をした。一益と最初から組んでいた策。確かに、一益達は陣を撤退させていった。しかしそれは罠。俺が敵の足を止めているうちに、那古野城から兵士を連れ、大軍を率いてくる手筈になっていた。
「流石、相良様。とんだ軍師さんです。」
「え?俺が軍師?」
「えぇ。だって、策を組んだのは貴方でしょう?」
智慶がその話をする頃には、一益達が向かった森の中に入っていた。今川の兵士は森林の中をバラバラになりながらも、走り込んでくる。
「まぁ、そうだけど。」
なんて話をしているうちに、回り込まれた。
どうやら、逆からも今川の兵士達は向かってきたようで、挟まれてしまう。この道は一本しかない。逃げるにしても逃げれないのだが・・・。
絶体絶命のピンチに襲われた。
「あらら、何者ですか。このお二人は。」
一人、馬に乗っていた女が此方へ向かってきた。重そうな甲冑を着けているのか・・・。凄い。
「この手の者は、織田でございます。雪斎様を侮辱された上に、のこのこと逃げて来た訳にごさいます。」
一人、反対側の兵士が話した。
「恩師様を?面白い方ですね。」
「なんだよ、面白くて悪かったな。」
馬乗りの人は笑った。面白いのか?そんなに。
「いいでしょう。あなた方を逃がしましょう。その代わり、ここであったことは内密に。」
え?そんなに簡単に逃がして貰えるのですか!風が騒めく。
「え!?良いのか?」
「相良様、罠の疑いを。」
智慶が、槍で前方から俺の体を抑えた。守ってくれているみたいだ。しかし、この馬の人は何者なんでしょうかね?気になるんだけど。
「で、そこの馬の主。名前はなんて言うんだ?」
俺は思い切って、彼女に言ってみた。まず最初に、名前は自分から名乗る者でしょう?と言われたが、結局彼女は自分から答えていくスタイルみたい。
「私の名は松平元康。今川家家臣の身です。私、長々と話すのは苦手なので早く行って貰えると嬉しいです。」
えええええええ!?松平元康!?後の徳川家康じゃねぇか!!!あぁ、そうだった。聞いたところだと、今川家の人質として送られた後、元服して今は家臣の身だって誰かが言っていた。
「あ、あぁそうですか・・・。じゃ、じゃあありがとうございました~。」
そう言い、松平兵の横を抜けて走り出す。すると、元康が此方目掛けて・・・。
「さて、今川の兵士さんは追ってきてください。私は手を出しませんからね~。恩師様の命令は絶対ですよ~。」
元康さん、これは何が言いたいのでしょうか・・・。もしかして、また逃げろって言ってんのか!!
俺と智慶は再び全力で走りだした。後ろからは今川の兵士達は大軍で襲い掛かってくる。
「なんとか、逃げられる策とかはないのですか!?」
智慶が走りながら息を荒くして言った。
「あ、ある訳無いだろ!あったらとっくにやってる!」
そうだ、流石にここまでは考えていない。逃げる事しか出来ないんだ。あー助けて―!
その瞬間、鳥がバサバサと一斉に飛んでいくのが見えた。
そして、次にダダダダダダダ!!!という、何かが発射される音が聞こえる。
「さてさて、誰も逃げたなんて言わせないで?」
今川軍の兵士達が、一益達種子島隊の待ち構えていた雑木林から一斉に撃たれ、形勢を崩し始めた。
「一益!」
「作戦通りや。」
そう、全て作戦通りなのだ。殿になると言うのも、はなから決まっていた話。上手く騙されたな今川勢!
たちまち総崩れとなった今川軍に、一益達は近接戦を開始した。
ここで見るのが一益さんの初めての戦闘シーン!・・・。そんなこと考えてる余裕なんてなかった。
「やったるで!」
そう言うと、彼女は二丁の馬鉄砲を腰から投げ抜きだし、両方とも綺麗に持つことに成功する。
そのまま、引き金を引くとパンパンッ!と両方の鉄砲から弾が撃たれた。両方の弾は、それぞれ今川軍の敵兵へと突き抜けて貫通すると、後ろの兵士にも撃ち当たっていった。
「す、凄い・・・。」
一益の安定のヒットショットに、驚き立ち尽くしていると腕を組んで俺の隣に歩み寄る女の子が一人。
彼女は、羽織物のポケットから見慣れた棒を一本取りだした。そう、タバコだ。
タバコを銜えると、火打石を取り出して火を起こす。地面に石を投げると、木の棒に火を移させてタバコにまで持っていき、火を付ける。
「ふぅー。」
白い煙と共に、あまり好まない匂いが周囲に漂い始めた。
「いやー、すまないね。あんまり若僧の前で吸うのもあれだが。流石一益様だろ?あれがうちの頭の射撃能力。もっと凄いけどね。」
そう言うと、彼女はもう一服始める。
「そうなのか・・・。恐るべし滝川。あの眼は軍神の目だな。」
「あぁ、私もそう思う。私は津田秀唱。お前はなんて言うんだ?先程から中々の戦績を挙げているようで私も感心していたんだ。」
タバコを左手に持つと彼女は俺にそう問う。
一益の家臣かな?頭と話していた時点でそこまで予測することが出来る。
「俺は相良裕太。一益に駆り出されただけの男だよ。」
秀唱に問われた通りの事を答えると、俺は夜空に浮かぶ月を眺めた。
いつの間にか、夜になっている。確かに、夜道を逃げてはきたが全然そんな事考えてる暇も無かった。
月を見ながらそのような事を考える。
「一益様に・・・か。あの方も卑怯だからなぁ。突然話しかけられたと思えば平気で戦に狩り出してくる。なんともまぁ、理不尽だと思うだろう。私もそうだった。ただ、彼女はそうやって人を試すやり方を使ってくる・・・。まぁ許してやってくれ、あれがあの人の試し方って奴なのよ。」
淡々と話していった秀唱だったが、その話を言い終えると大きなため息を一つついた。
一益・・・。お前家臣にもちゃんと慕われてるんだな・・・。良かったよ・・・。
って、何感動してんだよ!?と思い、ふと我に返るといつの間にか一益は軍勢と共に、今川軍へ反撃を進めていた。
「さぁ!那古野の援軍が来るまで耐えきるよ!!」
一益が、最前線にて大声でそう指示した。
一益勢は、その声を聞き取ると、大声で高い雄叫びを上げて女達は一益を守ると共に、今川のおっさんたちに斬りかかる。
いつの間にか、隣に居た秀唱も戦闘に加わっていた。
一益は敵の隙を逃さず、相手が隙を見せればすぐ馬鉄砲の装填をして遠距離攻撃を仕掛けてくる。
そして、右手の鉄砲を秀唱に投げると、腰に掛けてある刀を抜刀して周りに斬りかかった。
まさに、鬼の両刀使い。
俺も再び刀を抜くと、滝川勢の前で勢いよくジャンプする。
なんだろう。本当に今日は思い通りの事が出来るのだ。高くジャンプしようとすると、本当に数人を飛び越えるほどのジャンプに成功した。
そして、一益の周りにいる敵に斬りかかると、俺の登場と共にヒョコっと出て来た長慶の土台となり、俺の背中に飛び乗ると、槍をブンブン振り回して進んでいく。
「これが、フォーメーションだぜ!今川!!」
「ふぉーめいしょん?南蛮語ですか?・・・はぁぁぁ!!!!」
俺の背中に馬乗りとなり、思う存分槍を振り回した長慶を降ろして、一益勢の何人かと今川軍に突撃しに行く。
もう状況は一変し、今川軍は俺達に恐怖を抱き、退いていく様にまで追い込んでいっていたらしい。
今川軍は、元来た道を辿って走って逃げて行った。その姿はまるで猫から逃げるネズミ。立場逆転だ。
「大勝利だに!!皆、喜べ~い!!」
そう一益が言うと、一益勢たちは飛び跳ねたり肩を組みあったりして本当に嬉しそうに喜んでいた。
俺も一益に駆け寄って、話をしにいく。
「一益!やったな!」
「兄さん!やったに~!大勝利だに~!!」
思いっきり俺に跳びかかって来た。うぅぅぅ苦しい・・・。
息が苦しくなり、グガゴゴグガゴゴ言っている俺を更に苦しめたいのか、もっとぎゅっと抱き着いてくる。
「か、かずましゅしゃん・・・。ぐは・・・。く、くるし・・・。」
「あ!ごめんごめん。ついついはしゃぎすぎちゃったに~。」
彼女は俺から降りると、照れくさそうに顔を隠した。
嬉しいのは分かってますから、隠さなくても良いんですよ~。
「はぁ・・・。駄目ですね相良様。本当に分かってませんね。」
智慶が突然毒口。え!?なんか俺悪いことしたっけ!?
「えぇ!?」
「ふははっ。はぁ・・・終わった~。」
辺りの雰囲気も静けさへと変わり、一益は俺と反対側の向きから月を見つめた。
「ふふ、あの者達をひっ捕らえよ!!そして八つ裂きにするのだ!」
雪斎が大声で、兵士達に指示を出した。槍の人達は殆ど減っていたが、それでもまだ大軍。逃げるのは叶わないかもしれない。
「確か、相良様でしたね。やはりこれも策ですか?」
全てを見抜いたように言う智慶。その通り、これは策だ。
俺はこのいきさつの説明をした。一益と最初から組んでいた策。確かに、一益達は陣を撤退させていった。しかしそれは罠。俺が敵の足を止めているうちに、那古野城から兵士を連れ、大軍を率いてくる手筈になっていた。
「流石、相良様。とんだ軍師さんです。」
「え?俺が軍師?」
「えぇ。だって、策を組んだのは貴方でしょう?」
智慶がその話をする頃には、一益達が向かった森の中に入っていた。今川の兵士は森林の中をバラバラになりながらも、走り込んでくる。
「まぁ、そうだけど。」
なんて話をしているうちに、回り込まれた。
どうやら、逆からも今川の兵士達は向かってきたようで、挟まれてしまう。この道は一本しかない。逃げるにしても逃げれないのだが・・・。
絶体絶命のピンチに襲われた。
「あらら、何者ですか。このお二人は。」
一人、馬に乗っていた女が此方へ向かってきた。重そうな甲冑を着けているのか・・・。凄い。
「この手の者は、織田でございます。雪斎様を侮辱された上に、のこのこと逃げて来た訳にごさいます。」
一人、反対側の兵士が話した。
「恩師様を?面白い方ですね。」
「なんだよ、面白くて悪かったな。」
馬乗りの人は笑った。面白いのか?そんなに。
「いいでしょう。あなた方を逃がしましょう。その代わり、ここであったことは内密に。」
え?そんなに簡単に逃がして貰えるのですか!風が騒めく。
「え!?良いのか?」
「相良様、罠の疑いを。」
智慶が、槍で前方から俺の体を抑えた。守ってくれているみたいだ。しかし、この馬の人は何者なんでしょうかね?気になるんだけど。
「で、そこの馬の主。名前はなんて言うんだ?」
俺は思い切って、彼女に言ってみた。まず最初に、名前は自分から名乗る者でしょう?と言われたが、結局彼女は自分から答えていくスタイルみたい。
「私の名は松平元康。今川家家臣の身です。私、長々と話すのは苦手なので早く行って貰えると嬉しいです。」
えええええええ!?松平元康!?後の徳川家康じゃねぇか!!!あぁ、そうだった。聞いたところだと、今川家の人質として送られた後、元服して今は家臣の身だって誰かが言っていた。
「あ、あぁそうですか・・・。じゃ、じゃあありがとうございました~。」
そう言い、松平兵の横を抜けて走り出す。すると、元康が此方目掛けて・・・。
「さて、今川の兵士さんは追ってきてください。私は手を出しませんからね~。恩師様の命令は絶対ですよ~。」
元康さん、これは何が言いたいのでしょうか・・・。もしかして、また逃げろって言ってんのか!!
俺と智慶は再び全力で走りだした。後ろからは今川の兵士達は大軍で襲い掛かってくる。
「なんとか、逃げられる策とかはないのですか!?」
智慶が走りながら息を荒くして言った。
「あ、ある訳無いだろ!あったらとっくにやってる!」
そうだ、流石にここまでは考えていない。逃げる事しか出来ないんだ。あー助けて―!
その瞬間、鳥がバサバサと一斉に飛んでいくのが見えた。
そして、次にダダダダダダダ!!!という、何かが発射される音が聞こえる。
「さてさて、誰も逃げたなんて言わせないで?」
今川軍の兵士達が、一益達種子島隊の待ち構えていた雑木林から一斉に撃たれ、形勢を崩し始めた。
「一益!」
「作戦通りや。」
そう、全て作戦通りなのだ。殿になると言うのも、はなから決まっていた話。上手く騙されたな今川勢!
たちまち総崩れとなった今川軍に、一益達は近接戦を開始した。
ここで見るのが一益さんの初めての戦闘シーン!・・・。そんなこと考えてる余裕なんてなかった。
「やったるで!」
そう言うと、彼女は二丁の馬鉄砲を腰から投げ抜きだし、両方とも綺麗に持つことに成功する。
そのまま、引き金を引くとパンパンッ!と両方の鉄砲から弾が撃たれた。両方の弾は、それぞれ今川軍の敵兵へと突き抜けて貫通すると、後ろの兵士にも撃ち当たっていった。
「す、凄い・・・。」
一益の安定のヒットショットに、驚き立ち尽くしていると腕を組んで俺の隣に歩み寄る女の子が一人。
彼女は、羽織物のポケットから見慣れた棒を一本取りだした。そう、タバコだ。
タバコを銜えると、火打石を取り出して火を起こす。地面に石を投げると、木の棒に火を移させてタバコにまで持っていき、火を付ける。
「ふぅー。」
白い煙と共に、あまり好まない匂いが周囲に漂い始めた。
「いやー、すまないね。あんまり若僧の前で吸うのもあれだが。流石一益様だろ?あれがうちの頭の射撃能力。もっと凄いけどね。」
そう言うと、彼女はもう一服始める。
「そうなのか・・・。恐るべし滝川。あの眼は軍神の目だな。」
「あぁ、私もそう思う。私は津田秀唱。お前はなんて言うんだ?先程から中々の戦績を挙げているようで私も感心していたんだ。」
タバコを左手に持つと彼女は俺にそう問う。
一益の家臣かな?頭と話していた時点でそこまで予測することが出来る。
「俺は相良裕太。一益に駆り出されただけの男だよ。」
秀唱に問われた通りの事を答えると、俺は夜空に浮かぶ月を眺めた。
いつの間にか、夜になっている。確かに、夜道を逃げてはきたが全然そんな事考えてる暇も無かった。
月を見ながらそのような事を考える。
「一益様に・・・か。あの方も卑怯だからなぁ。突然話しかけられたと思えば平気で戦に狩り出してくる。なんともまぁ、理不尽だと思うだろう。私もそうだった。ただ、彼女はそうやって人を試すやり方を使ってくる・・・。まぁ許してやってくれ、あれがあの人の試し方って奴なのよ。」
淡々と話していった秀唱だったが、その話を言い終えると大きなため息を一つついた。
一益・・・。お前家臣にもちゃんと慕われてるんだな・・・。良かったよ・・・。
って、何感動してんだよ!?と思い、ふと我に返るといつの間にか一益は軍勢と共に、今川軍へ反撃を進めていた。
「さぁ!那古野の援軍が来るまで耐えきるよ!!」
一益が、最前線にて大声でそう指示した。
一益勢は、その声を聞き取ると、大声で高い雄叫びを上げて女達は一益を守ると共に、今川のおっさんたちに斬りかかる。
いつの間にか、隣に居た秀唱も戦闘に加わっていた。
一益は敵の隙を逃さず、相手が隙を見せればすぐ馬鉄砲の装填をして遠距離攻撃を仕掛けてくる。
そして、右手の鉄砲を秀唱に投げると、腰に掛けてある刀を抜刀して周りに斬りかかった。
まさに、鬼の両刀使い。
俺も再び刀を抜くと、滝川勢の前で勢いよくジャンプする。
なんだろう。本当に今日は思い通りの事が出来るのだ。高くジャンプしようとすると、本当に数人を飛び越えるほどのジャンプに成功した。
そして、一益の周りにいる敵に斬りかかると、俺の登場と共にヒョコっと出て来た長慶の土台となり、俺の背中に飛び乗ると、槍をブンブン振り回して進んでいく。
「これが、フォーメーションだぜ!今川!!」
「ふぉーめいしょん?南蛮語ですか?・・・はぁぁぁ!!!!」
俺の背中に馬乗りとなり、思う存分槍を振り回した長慶を降ろして、一益勢の何人かと今川軍に突撃しに行く。
もう状況は一変し、今川軍は俺達に恐怖を抱き、退いていく様にまで追い込んでいっていたらしい。
今川軍は、元来た道を辿って走って逃げて行った。その姿はまるで猫から逃げるネズミ。立場逆転だ。
「大勝利だに!!皆、喜べ~い!!」
そう一益が言うと、一益勢たちは飛び跳ねたり肩を組みあったりして本当に嬉しそうに喜んでいた。
俺も一益に駆け寄って、話をしにいく。
「一益!やったな!」
「兄さん!やったに~!大勝利だに~!!」
思いっきり俺に跳びかかって来た。うぅぅぅ苦しい・・・。
息が苦しくなり、グガゴゴグガゴゴ言っている俺を更に苦しめたいのか、もっとぎゅっと抱き着いてくる。
「か、かずましゅしゃん・・・。ぐは・・・。く、くるし・・・。」
「あ!ごめんごめん。ついついはしゃぎすぎちゃったに~。」
彼女は俺から降りると、照れくさそうに顔を隠した。
嬉しいのは分かってますから、隠さなくても良いんですよ~。
「はぁ・・・。駄目ですね相良様。本当に分かってませんね。」
智慶が突然毒口。え!?なんか俺悪いことしたっけ!?
「えぇ!?」
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