貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

第61話 世界の真実


 白黒の世界で青く光輝く光を見た。
 それは、勘違いなどではなく、この目に写る本物の輝きだった。
 光輝くダンジョンコアは、2メートル位の球体。まるで心臓のように、ドクッドクッと脈打っている。

 目の前には、何でも叶えてくれる万能の力が存在を放っている。
 踏み出すその一歩一歩をしっかりと確かめながら、確実に近付いていく。
 ダンジョンコアに近付く度に過去の記憶が蘇ってくる。

 一歩。ノアと出会ったあの森。大切な約束を交わした、大事な場所。そして、何も無く灰色だった俺の心に、鮮やかな色が芽吹き始めた場所。
 忘れたくても忘れられない、記憶の奥底に刻まれた確かな思い出。

 記憶の中の風景に鮮やかな色か付いていく。
 そんな記憶が頭の中を駆ける度、目から涙が溢れてくる。

 一歩。最初の街。アイリスと出会った場所。綺麗な街並みの中に潜む真っ黒な闇、それに囚われたアイリスを救った。そして、また一人旅の仲間が増えた瞬間。
 俺の心に、また一つ鮮やかな色が染まり始めた。
 二つの色は、混ざり合う。だけど、どちらの色も消えることはなく、どんどん濃くなっていく。

 ぽっかりと心に大きな穴が空いた。
 それを、塞ぐように記憶の中にある幸せな時間が蘇る。

 一歩。ダンジョン。セツカと出会った場所。ダンジョンが作り出したシステムに囚われ、その心を痛めていた彼女。左目を代償にそのシステムを破壊してセツカを助けた。
 また1つ、忘れられない思い出が増え、俺の心を染めていく。

 色とりどりに染められた心は、かけがえのない大切な宝物に変わった。
 しかし......

 一歩。染められた色は、薄くなって消えていく。大切なものが手から零れ落ち、どれだけ必死に掴もうとしても、指の隙間から落ちていき、もう戻らなくなってしまった。
 色鮮やかだった心は灰色に戻っていき、最後には真っ黒に染まった。

 一歩。真っ黒に染まった化け物・・・は、光輝くダンジョンコアにたどり着いた。脈打っているそのコアは、太陽のように熱い。触れているだけで溶けてしまいそうだ。

 そして、少年が叶えたい願いは......

 大切な人を蘇らせる事。
 ノアをアイリスをセツカをこの世界に蘇らせる事。
 だけど、そんな事をしたらノアに怒られそうだ、許してもらえないかも知れない。
 それでも、どんなに嫌われても叶えたい願いだ。

 心の中で、本当に叶えるべきの願いと俺が叶えたい願いがぶつかる。
 自分を取るか......世界を取るか......


 少年が出した答えは......


 誰もが幸せで危険の無い平和な世界。

 コアの脈打つ鼓動が早くなる。
 青く光輝くコアが、その光をさらに増していく。
 そして、光を放ちながらだんだん大きくなっていくコアに小さなヒビが入ったと思った瞬間。

 コアが弾け飛んでいった。
 細かい粒子となって、世界に広がっていく。
 この搭を中心に、世界が新しく創り変えられていく。

 人間に害のある危険な魔物が、同じような青色の粒子に変わり、魔法・・という危険な概念もこの世界から消えていき、人間に利益を与える科学・・という概念が新たに創造された。

 人間では無い魔族の存在も少年の願いによって消されていった。

 そして、草原や森が広がっていたこの世界は、人間が平和に暮らせるように便利な建物や幸せに暮らせる家が創られていく。

 破壊と創造を繰り返し、新しい世界が形作られる。



 ダンジョンの最上階。
 少年がそこから見た景色は、転生する前の元の世界と全く変わらない世界が広がっていた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 あなたはこの世界のルールを知っている?


 あなたはこの世界の真実を知ってしまった。


   さあ、あなたはどうするの?

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