貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

第50話 あの時あの場所


 魔王城から去り、『魔境の森』まで帰って来た。

 「セツカ、転移魔法でダンジョンまで連れていってくれ」

 「...分かった」

 足元に現れる魔法陣を見て、ふと、思う事がある。
 そう言えば、全てはこれから始まったな......いきなり神に転移させられて、世界が変えられて......逢坂は、今何してるんだろうか?怪我はしてないだろうか?

 「...ユウ...これ、違う!!」

 突然、セツカが慌てた様子でそう言う。

 「...違う誰かが使った魔法」

 その言葉を聞いてハッとする。
 ノア達だけでも......

 「逃げろ!!」

 何とか、ノアとアイリスとセツカを魔法陣の外に押し出す。
 俺は...間に合わない。
 あの時と同じように光り輝く魔法陣が、俺を包み込んだ。

 「ユウ!!ダメっ!!」

 慌てて飛び込んでくるノアを見たのが最後だった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 「久し振りなのだ、キサラギ・ユウ」

 目の前に現れたのは、元の世界の神様だったはずのロリ神だった。

 「何でお前がここに居る?」

 「それは、言えないのだ。こちらにも事情というものがあるからな」

 「じゃあ、何でまたここに読んだんだ!ロリ神」

 周りを見ると、最初の時のように豪華な椅子がポツンと置かれているだけの空間。
 まるで、ここに閉じ込められているような......

 「一つ、質問なのだ。お前の願いで来たこの世界は、楽しいか?」

 「...... 少しは、感謝してるよ。確かに俺に合っている世界だと思う。だけど、誰かが苦しむ世界は嫌なんだ」

 「それで、お前はダンジョンに何を求めるのだ?」

 「それは、クリアしてから仲間達全員で決める事にするよ」

 「そうか...お前も変わったのだな。良かったのだ」

 そう言ってロリ神は、笑う。
 誰かの幸せを嬉しく思って笑っているその姿は、本物の神様に見えるものがあった。

 「そうなのだ~。神様なのだ。やっと分かってくれたのだ~」

 はしゃいでいる様子は、子供なんだけどな。

 それより、呼ばれた理由を聞いてない気がする。

 「そうだったのだ。重大な事を忘れていたのだ。キサラギ・ユウ神からの神託なのだ」

 神託?予言みたいなものなのか?

 「ダンジョンに挑んではいけない。お前にとって大切な誰かを失う事になるから。そして何より、自分の命を落とすことになるから......だそうなのだ」

 ...大切な誰かを失う。そして、命を落とす。
 ダンジョンとは、それほど危険なものなのか?
 それと...

 「何で、このタイミングで言ってきたんだ?ロリ神、お前は何を知ってるんだ?」

 「わたしは、キサラギ・ユウの全てを知ってるのだ。今も過去も未来も全て知ってるのだ」

 何言ってるんだ?こいつは。

 「今は、分からないと思うのだ。この言葉が理解出来るようになる時は、多分全てが終わってるのだ」

 「答えろ!!お前は、一体、なんだ?...」

 「わたしは、キサラギ・ユウ、お前だけの為・・・・・・作られた・・・・神なのだ。だから、お前の事も知っているのだ。お前の悲しい過去も、これから始まる過酷な運命も全部知ってるのだ。お前が幸せならわたしも幸せだ。お前が辛いなら、わたしも辛い。そして、お前が死んだら...わたしも死ぬのだ」

 ロリ神の口から答えられた、その言葉に驚く事しか出来なかった。

 「...実は、この事はお前に言ってはいけないと、言われているんだったのだ」

 そして突然、ロリ神は胸の前に手を当て、苦しそうにし出した。

 「だから......ダンジョンに行くのは、やめるのだ。わたしは、お前に......死んで欲しくないのだ」

 ロリ神は、その場に倒れる。
 俺は、地面に着く前にロリ神を抱える。

 「なんで、こんなことを言った!!お前、こうなることが分かってて俺にこんなことを言ったんだろ!!」

 そして、ロリ神は辛そうに、笑いながらこう言った。

 「...これで、お前が死なない未来になる可能性が...1%でもあがるなら...わたしは、嬉しいのだ」

 「どうして、俺の為にここまでする!?」

 「...ユウ。最後に会えて良かったのだ。...これでわたしも悔いが残らない...最後にあの時みたいに...呼んでくれないか?」

 足の方がもう消えかかっている。
 そして、ロリ神は、ステータスを出して俺に見せる。


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 名前 :  トウサカ・サヤ
 性別 :    女
 種族 :    神

 レベル :  ???

 体力 : ???
 魔力 : ???
 物理攻撃力 : ???
 魔法攻撃力 : ???
 物理防御力 : ???
 魔法防御力 : ???
 素早さ : ???
 運 : ???

      ~スキル~
       偽装

      ~固有能力~
       ???

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 「......サヤ」

 それは、無意識に出た言葉だった。

 「...やっと...見つけてくれたね...ありがとう...ユウ」

 嬉しそうに微笑むその顔には、涙が流れていた。
 そして、そのまま消えていく。

 「待ってくれ!!」

 抱えていた感覚がなくなっていく。
 光の粒子になって消えていく大切なものを捕まえようとしても、この手は、何も掴むことが出来なかった。

 そしてロリ神、逢坂沙弥は消えいった。

 
 椅子だけが強く強調されている何もない部屋には、ただポツンと泣いている少年が居るだけだった。


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