貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

第45話 魔境へ


 鬱蒼とした森の中を進んでいく。
 薄暗い森の中には、さまざまな声が聞こえてくる。
 そして、目の前にもその声の主が居た。

 「グギャャャ」

 醜悪な笑みを浮かべて笑っている、ゴブリンだ。
 ゴブリンと言っても、普通のゴブリンのような小さな体格ではなく......ゴツゴツと、筋肉が隆起している。
 身長も2メートル以上あり、同じゴブリンだとは思えないものだった。

 しかも、そのゴブリンは、周りを見た限り30体以上は居る。
 俺達を囲む形で、陣形をとっている。

 「ねぇ、ユウ」

 「なんだ、ノア」

 「ゴブリン達が嫌らしい目で見てくるんだけど......消し飛ばしていい?」

 「あ、ああ」

 「『フレア・ストーム』」

 そう、ノアが魔法を唱えた瞬間。
 俺達の周り以外に炎の竜巻が発生する。
 その炎に触れた瞬間にゴブリン達は、消えていく。

 それほどの高い威力でノアの魔法が放たれていた。

 炎を森の中で使ったにも関わらず、周りには火が広がっていない。
 どれ程の高温で焼かれればそうなるんだろうか?
 俺達の足の周りだけが綺麗に残っている。

 周りを見渡すと、黒く焦げて炭化した木々があった。

 「ん、これで綺麗になったね」

 「ノアさん、怖いです。今後、怒らせないようにしよう...」

 「...うん」

 と、二人はそんな事を言っている。
 ノアが本気を出して魔法を使うことは少ないだろう。
 本気で使わないと倒せない、それほどここの魔物達は強いのか?
 それなら、これから先の道は大変になるだろう。

 「ノア、無理はするなよ」

 「ふふっ...ユウには、分かっちゃったか...ありがとう」

 この森でのゴブリンは、多分一番弱い魔物だろう。
 入り口の近くにいたのが何よりの証拠だ。

 なら、奥に進んでいけばもっと強い魔物が居るんじゃないか?
 三人には、負担が大きいだろう、俺が頑張らないとな。

 名前に魔境と入ってるだけあって、ここの相手は手強いようだ。
 気を張っていかないと、俺達かやられる。
 そう、感じた。


 しばらく、進んでいくとまた、目の前に敵が現れる。
 今度姿を現したのは、大きな狼。

 「なんで、こんなところに...」

 アイリスは、驚いていた。
 その言葉は、大きな狼の魔物に対してではなく、まるで知っている魔物が居るような感じだった。

 「あなたは、お父様の所にいたんじゃないの?ねぇ、お父様は、どうしたの?」

 そして、狼から低い声が聞こえてくる。

 「魔王様は、今は大事な仕事をしている最中です。アイリス様、ここで引き返してくれませんか?」

 「僕は、お父様に会いに来ただけなんだ、通してくれないかなフェンリル」

 「アイリス様の頼みでも、お通しする事は出来ません」

 「どうして!?」

 「魔王様からの命令・・です。キサラギ・ユウをこの城にに入らせてはいけないと」

 「ユウさんを......どうしてなの、お父様...」

 どうやら、俺は魔王と会ってはいけないらしい。
 どうして?そんな事を考えても理由は分からない。

 でも、これだけは確信をもって言える。


 魔王は、何かを隠している。
 魔王城には、俺が出会ってはいけない、誰か《・・》が居る。

 「なぁ、そこの狼」

 「なんだ、人間」

 「俺は、どうしてもここを通りたいんだ。退いてくれないか?」

 今、出会ってはいけない誰かが居る。
 ならば、俺はそいつに会わなければいけない、そう思うのだ。
 何か嫌な予感がするからだ。

 「そんな頼み、聞くわけないだろう」

 「じゃあ、力ぞくでも通る。と、言ったら?」

 「ユウさん、駄目です!」

 その狼は、笑う。
 裂けた口を大きく開き鋭く尖った歯を見せる。

 「やれるなら、やってみろ!!人間!!」


 そして、俺とフェンリルの戦いが始まった。


 

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