貴方に贈る世界の最後に
第43話 暖かい景色
ユウは、心の不安がとれたみたいで、安心してぐっすりと眠ってしまった。
私の膝の上でスゥースゥーと、寝息をたてている。
息をする度に、髪が太ももに擦れてくすぐったい。
可愛い寝顔。このまま、今ならキスしてもバレないかな?
...冗談だけど考えてみると、少しドキドキしてしまう。
そんな事をしていると、ユウが走ってきた方角から、また人が現れた。
一人はアイリスちゃんだとすぐに分かったけど、もう一人は誰?
「ノアさん、良かったで...」
私は、すぐに人差し指を唇の前に持っていき、
「ユウが寝てるから、ちょっと静かにしてね」
「ごめんなさい、お邪魔でしたか?」
「ううん、良いよ」
「アイリスちゃんも無事で良かった」
ユウは、頑張り過ぎだからね、少しは休ませてあげる時間をあげないとね。
それより......
「アイリスちゃん。その子は誰?」
アイリスの後ろに居る、青髪の女性。
私よりも背が高くて......胸も大きい。
自分の身体を見る。
無いわけじゃないけど......止めよう。
「...セツカです...よろしくお願いします」
「セツカさんは、何でここに?」
「...ユウに...助けれたから?」
首を傾げながらそう言って答えるセツカさんは、嘘を言っているようには見えなかった。
それより、私の心の中では少し嬉しい気持ちが広がっていた。
「ユウ、また無茶したんだね。でも、誰かの為に自分を犠牲にする何て事は誰でも出来る事じゃない。目に写る全ての人を助けようとする。私は、そんなユウがかっこいいと思うよ」
膝の上でまだ目を覚まさない、ユウにそんな事を言ってみる。
耳元で喋ると、ピクッと反応するところも可愛い。
「セツカさんは、この後何かしたい事とかあるの?目標とか、目的とか」
「...ユウに...ついて行く」
「ふふっ、そう?ユウも隅に置けないな~。こんな可愛い子ばっかり想いを寄せさせて、気付て無いんだもん」
「ノ、ノアさん。僕は、そんな事無いですよ!」
「アイリスちゃん、顔が赤くなってるよ」
そう言うと、アイリスはすぐに自分の顔を両手でペタペタと触る。
「アイリスちゃん。本当は赤くなって無かったよ」
「はっ!!ノアさん、意地悪しないでください」
「ごめんね、アイリスちゃん」
反応が面白くて可愛いアイリスちゃんを弄るのは楽しい。
私も、こんな風に話せる人が前の世界で居たらな...と、そんな事を考えてしまう。
ここにユウが居るなら、元の世界はどうでもいい。
それに、帰る方法があるわけじゃないし、何より帰りたくない。
みんなで過ごす、この暖かい景色が私は大好きだから。
ユウと一緒に過ごす時間が大切だから。
私は、ここに居たい。
この世界でユウと一緒にずっと......
それが叶わない事は分かっている。
だからこそ、今この時間が何よりも大切なんだ。
この世界が終わるまで、私の心に残るこの時間は変わらない。変わることの無い、私の一番の宝物。
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