貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

第34話 神の試練


 目の前の神様は、《ランキング》を作ったといった。

 だけど、俺の居た元の世界でも《ランキング》があった。

 どう言うことだ......

 『さぁ、少年よ。この試練を越えて見せろ』

 「なぁ、神様。あんたは、何を知ってるんだ?」

 神様は、不気味に笑みを浮かべているだけで答えようとはしない。
 この世界は、どうなっているんだ?


 『早くした方がいいと思うがのう』

 そう言いながら見せられたのは......
 ノアが写っている映像。

 「ノア...」

 何処かへ必死に向かっているノアの姿がそこにあった。

 『この子はどうやら、ダンジョンに向かっているようじゃぞ。こんなことをしてて大丈夫なのかね』

 ダンジョン。
 ノア、もしかして俺を生き返らせようとしているのか?
 その為に危険なダンジョンに?

 急がないと。


 俺は、元の世界でやっていたように《ランキング》と唱える。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ・《ランキング》



     1位(????中)


     《備考》

 あなたは『身体能力』で1位を取りました。

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 ......え?

 もう、一位をなんですけど...

 『ファ!?何を言っているのかね。そんな事...』

 俺の、《ランキング》を見た瞬間に神様の顔が驚きで染まる。

 『いやいやいや、これは、何かの手違いじゃ。こんな小僧が一位な訳...システムが故障したのかのう?』

 神様が慌てて、何かをいじりだした。
 透明なパネルを操作して、何かを調べているようだ。

 しばらくして

 『故障してない...え? この小僧、儂より強い?いや、そんな事...』

 ブツブツと、何を言っているのか分からないが、とりあえず俺は試練を越えた?

 『小僧!! 儂と勝負するのじゃ!!認められん』

 「おい、ジジイ!!神様なんだから言ったことは守れよ」

 『いや、だってな。どれだけ修行しても一位になれなくて迷った末に。儂が一位でしたと威張るつもりだったのに。これじゃ、儂がみじめじゃないかのう。納得できんのう』

 こっちにすり寄ってくるジジイは、控え目に言って「マジキモイ」。

 『なっ!!酷いじゃないか。儂、神様なんじゃぞ』

 「神様なら、ぐだぐた言ってないで早く生き返らせてくれ。俺は急いでるんだよ」

 『じゃあ、儂に勝ったら特別に能力を1つやるぞ。これでどうじゃ』

 「おお、後悔するなよ」

 『お前こそ、儂に負けて後悔するなよ』

 と、言うわけで勝負になったんだが......

 「おい、ジジイ。本当にいいのか? 俺が勝つぞ」

 『ふん、その自信をへし折ってやるのじゃ』


 勝負内容は、腕相撲。
 力なら、俺が負けることは無いだろう。

 だけど、このジジイ今は《ランキング》2位だが、俺が居なければ1位だったのだ。

 どれ程の実力か分からない。

 だから、全力で...ぶつかる。

 ...100%。

 ...200%

 今までの出したことのある本気。

 突然、出て来た机に腕を乗せる。
 そして、手を掴み合い...

 『ちょ、痛い痛い痛い。どんだけ張り切ってるんじゃ』

 え? 嘘だろ。
 俺は、軽く握っただけなのに...

 「おい、ジジイ......弱すぎだろ」

 『...』

 何か喋べってくれよ。

 『儂の負けじゃ。スキルもくれてやる』

 神様は、手を押さえて痛そうにしている。
 悪かった。神様。

 じゃあ、早く生き返らせてくれ。

 『お前、切り替え早いのう。もう少し、いたわってくれても...』

 頼む、神様。
 ノアが、心配なんだ。

 『分かった。もう、ここに来ないことを願ってるぞ。それと、今回生き返らせるのは、1位を取ったからであって。次は無いぞ』

 「ああ、感謝してるよ」

 足元に魔方陣が出てくる。
 これも三度目の魔方陣だな。




 そして、また光に包まれる。

 今度は手放さない。

 絶対に掴んだものは離さない。


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