貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

第27話 逃走


 王都の壁を越え、小高い山に着地する。

 「ふぅ、やっぱり三人だとかなり辛い」

 今まで魔法を使い続けてきたノアがそんな言葉を漏らす。

 「なんかノアには、色々と助かってばかりだな」

 ギルドマスターとの、戦いの時も助けてもらっているし。
 今回もそうだしな。

 「助け合うのが仲間だしね。おお、私良いこと言ったかも」

 「そうだな、ありがとう」

 そんな楽しげな会話をしていると...

 「あの、ノアさん、ユウさん本当に良かったんですか?」

 アイリスが、そう問い掛けてくる。
 俺は、分かっていながらも問い返す。

 「何が?」

 「だって、ユウさんはおんなじ人間を敵に回したんですよ。もう、人間の居るところには戻れないかも知れないんですよ」

 「関係無いな。俺は、そんな事よりも困っている仲間を助けることを優先するぞ」

 そう言ってアイリスを見ると...
 涙を流していた。

 「ユウさん...ありがとうございます。僕、貴方なら何だか怖く無くなってきました。今まで、素っ気ない態度でごめんなさい」

 「いいよ、それは仕方ない事だったんだし。大丈夫だ」

 そう言ってノアにやるように頭を撫でようとする。
 今回は、避けられることもなく撫でさせてくれた。
 さらさらとした金色の髪が掌にあたる。

 アイリスは...更に泣いてしまった。

 「え?どうしたんだ?」

 「ごめんなさい。こうされてると、お父様にしてもらってたときのことを思い出してしまって」

 「そうか、悪かった」

 「いえ、僕は嬉しかったです。また、してくれると嬉しいです」

 と、笑顔で言ってくれるこの子の顔は少し赤くなっていた。

 そんなやり取りをアイリスとしていると、後ろから服を引っ張られた。
 引っ張った人物は、勿論。
 ノアだった。

 「ユウ。今は、すぐにでも目的地に行く為の行動をしないと、捕まっちゃうよ」

 「ああ、分かってる。じゃあ行こうか」

 「それと、ユウ。後で私も撫でて。アイリスだけずるい」

 「ノアさん...」

 ノアさんや、アイリスが微妙な表情になっていますよ。
 少しは、自重しようか。

 と、まぁそんな感じに、また新しい旅が始まる。

 確かな目的がある者。それを、助けたい者。
 そして、そのどちらでも無い者。

 そんな三人の旅が始まる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 魔王城にて

 「キサラギ・ユウが、こちらに向かっているのを確認しました。魔王様」

 「ああ、分かった。もうそろそろだと思ってたんだよね。さて、僕も行動を始めるかな」

 ここに来た『転生者』リュウドウ・ナギくんと、キサラギ・ユウは、会わせてあいけない存在だからね。
 まだ、今は出会うべきではない。

 「ねぇ、君、ナギくんを呼んできて貰えるかな?」

 「はい、今すぐに...」

 近くにあった気配が消える。
 さて、今は僕、一人だけか...

 「もうすぐ、世界は動き出す......かも」


 少し無責任な言葉を放って、魔王は動き始める。


 「さて、この世界はどうゆう結末を迎えるのかな?」


 楽しみだな......


 さて、仕事をしないとね、僕だって暇じゃないんだし。
 それに、アイリス...どこに行ったんだ?

 もうそろそろ帰ってきてもいいと思うんだけど。

 まぁ、僕の娘は強いから大丈夫か。



 色々と知っているが所々知らない。
 この世界の魔王は、そんな感じの魔王様だった。


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