貴方に贈る世界の最後に
元の世界のお話2
気が付くと青い空が広がっていた。
どこまでも続くその空は、これから始まる旅を祝福しているようだった。
...そんな気がした。
現在俺は、落ちている。
しかも、かなり高いところから。
掴めそうなほど近くにあった雲は、遠く離れていく。
今は、そんな事よりもこの状況をどうにかしないと、まじで死ぬ。
下を向くとどんどん地面が近づいている。
どうにかしないと...
そして思い出す。
自分の能力を。神様から貰ったものを...
「『何でも出来る能力』」
何でも出来るなら...俺は...
空を飛ぶ。
そう考えた瞬間に体が浮く感覚があった。
今、俺は浮いている。ちょうど木の高さと同じぐらいのところで止まっている。
「お、おおーー」
思わず声が出てしまう。
今まで空を飛ぶ何て事はいつ以来だろうか...
通っている学校の英語の時間に見た映画。少年と怪物が自転車で空を飛ぶ、という衝撃的な映画を見て、実際に飛ぼうとした時以来だな。
あの時もこんな浮遊感を感じていた。
でも、あの時は何で飛べなかったんだろうか?
自転車は、空を飛ぶ事の出来る乗り物じゃなかったのだろうか?
そんな事を考えつつも、地面に足をつける。
「それにしても、ここどこ?」
返ってこない問いかけをする。
日本では無いのだろうか?
取り合えずなんかあるところに進んでみるか。
再び空を飛ぶ。
せっかくの能力だし楽しみたいよな。
空の旅を楽しみつつ適当な方向に向かって進む。
どのくらい経っただろうか?少し先に建物が見える。
近づいていくと、その大きさが分かってくる。
「これは...すげぇ!!」
大きな城だった。まるでゲームに出てくる、魔王が住んでいそうな雰囲気のある城。
「本当にすごいな、ゲームの中に来たみたいだ」
その城をしばらく空から見ていると、中から人が出てきた。
その人には翼が生えていた。人とは思えない真っ黒な翼。
まるで悪魔みたいな...
すると、その人?は、俺の前で止まる。
「貴様、何者だ?何の用でここまで来た?」
「えっと、質問は1つにしてくれると助かるんだけどなー」
人間は、二つ同時には考えられない生き物なのだ。一気に言われても分からん。
「そ、それは失礼した。人間は、そんなに知能が低いのか、何で魔王様は...」
今、言ってはならないことを言ったな。
「俺が、馬鹿だと。そう言ったな、低能だとそう言ったな」
「貴様は、何を言ってるんだ?人間なんぞ、我々と比べるまでもないだろう、これだから馬鹿な人間は」
ぷっつり。何かが切れる音がした。
「今まで、俺を馬鹿にした奴には、こう言ってるんだ。よく覚えておけ。馬鹿って言った奴が馬鹿なんだと」
「...え?」
「ふっ、どうやら俺の言葉に圧倒されて何も言い返せないようだな。俺の勝ちだ」
「......私が馬鹿だと...」
目の前の人は固まって動かない。
それじゃあ、城の中でも見に行こうかな。この人動かないし良いだろう。
そして、城の前に立つ。
こうやって下から見上げると、かなり大きいなと思う。
城の中に入ろうとすると、また誰かが出て来た。
「人間なんて、珍しいな」
そこに姿を現したのは、凄く人の良さそうなおっさんだった。
何か派手なマントをしているが、絶望的に似合ってない。頭に生えている角?みたいなのも、不自然だ。
「どうだね、向こうで話でもしないか?」
近所にいる、親切なおじさんに似てるなこの人。
と、そんな事を考えていると、さっきの黒い翼の人がこちらに飛んできた。
「魔王様。なぜここに」
「いや、なんか良いことが起こりそうだったから、つい」
「いつもいってますが、魔王様は無防備過ぎるんです。この者がもし、強い力を持っていたらどうするんですか」
なんか話しているけど、凄く気になる単語がある。
魔王
もしかして、このおっさんが魔王なのか?
いや、そんな事は...
「そうだ、自己紹介がまだたったね。僕は、魔王ケアトル。よろしく...えっと」
「俺は、リュウドウ・ナギだ。ナギでいいぞ」
「じゃあ、ナギくんよろしく」
大きい手が差し出される。少しゴツゴツとした手だ。
俺は、それに答えてその手を握り返す。
この瞬間こそ、今後の世界を大きく変える出来事になることを今は、まだ知らない。
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