貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

第21話 譲れない思い


 爺さんをぶっ飛ばした。
 100%の力を少しずつ緩めていく...

 「油断したな...少年!!」

 「なっ!!」

 吹っ飛ばしたはずの爺さんが目の前に現れた。
 まだ60%ぐらいだったので避けられたが、危なかった。

 「少年よ、ワシはお前には負けられないんじゃ。負けてはいけないんじゃ」

 「何を言ってるんだ」

 「これが本当の全力...100倍じゃ」

 「ガハッ」

 強い衝撃と痛みが腹に走る。
 口の中に血の味が広がっていく。
 その後、すぐに頭にも衝撃が来た。

 その衝撃で俺の意識が落ちた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 気付いたら終わっていた。
 ユウがギルドマスターを吹っ飛ばして終わりだと思っていた。

 やっぱりユウは、強いな...

 その時、ギルドマスターが立ち上がって何かをブツブツ言っていた。

 「ユウ、まだ終わってない」

 と、言ってみるけど、私の声が届いてない。
 多分、力の制御で集中して周りが見えてないと思う。

 私は、ユウに向かって走っていくけど、間に合わなかった...私の目の前でユウが倒れた。

 「許せ、少年」

 「ユウ!!しっかりして!!」

 ユウの状態を見ると危ない。
 頭から血が出ている。

 治さないと...私がユウを助けるんだ...


 私は覚悟を決める。

 そして、魔法で自分の腕を切り落とす。

 「何をしておる...死ぬ気か」 

 「くっ...ふっ...」

 頭が可笑しくなるぐらい痛い...でも、ユウ...
 腕からボタボタと血が出る。私はそれをユウの頭にかける。

 吸血鬼の血は、傷を治す事ができる。
 前みたいに、唾液でも治す事が出来るけどあれだと間に合わなくなる。

 血の方が圧倒的に効果が高い。
 だから目を覚まして...ユウ。

 やっと傷が消えて、安心する。

 「よかった、まだ大丈夫だ」

 ユウの心臓の動く音を聞いて、体の力が抜けてしまった。
 ...怖かった。このまま動かないんじゃないかと思った。

 自然と涙が出てきた。

 「はぁ~、よかった」

 切り落とした腕はもう再生を始めている。
 血が止まって、新たに腕が出来てきている。


 すると、

 「お嬢さんは、吸血鬼だったか...悪いが来てもらうぞ...」

 と、ギルドマスターに言われる。
 ユウを倒した。
 それほどの力を持っている。

 私には、勝てない相手だ...でも、私は守るんだ。
 ユウと約束した。

 私は、三人で楽しく過ごした、あの時間を守るんだ。そして、また同じように...


   ドスッ


 そんな音がお腹の辺りからした。

 「え?」

 ギルドマスターの手が私のお腹を貫通した。

 動けない。再生をされるまで近寄らせない!!



 「『アイス・メイデン』」

 魔法を自分に向かって発動する。
 私自信を氷の壁の中に閉じ込めて時間稼ぎをする。

 「やっかい、じゃのう」

 そう言いながらもギルドマスターは、どんどん壁を壊していく。

 私は、二重、三重に『アイス・メイデン』を使って壁を作っていく。
 壊されては作ってを繰り返す。

 少し時間がたち、体が完全に治った。
 これからが、本番だ。

 ギルドマスターが最後の壁を壊す。

 「なんじゃもう、終わりか」


 私は、賭けに出る。これが失敗すれば私は殺されるだろう。
 だけど、目の前の相手を倒す事ができる唯一の手段。

 固有能力。『真相:吸血鬼』発動。

 たった10秒。
 そのペナルティがあっても、確実に相手より強くなる。

 10秒で終わらせる。

 私の本気でギルドマスターを殴る。
 腹にめり込む嫌な感触が手に伝わる。それでも、攻撃する。

 あと、5秒。
 まだギルドマスターは立ち上がる。

 今度は、顔を殴る。
 顔の骨に当たって私の手も折れる。
 だけど、今は...

 残り1秒。
 最後に横腹を蹴って、ギルドマスターを倒した。

 「やったよ、ユウ。殺して無いから...ね。後は...よろしく...」

 能力のペナルティで倒れる。
 しばらくは、動けないかな。それに...何だか眠く...なってきた。

   パタリ


 私の意識も落ちようとしている。

 「...守ったよ...ユウ...」


 そんな言葉を最後に、ノアは意識を失った。


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