貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

第22話 戦いの後


 ユウとノアの戦いが終わった。
 ギルドマスターを倒し、二人とも倒れた。

 だけど結果は残酷だ...

 二人が倒れた後にやって来たギルドの職員が二人を捕まえた。
 二人...というのは、ノアとアイリスだった。

 ノアが気を失って倒れた時。同時にノアがアイリスにかけていた、『偽装』も解けてしまったのだ。

 それによってアイリスは、捕まった。


 キサラギ・ユウが捕まらなかった理由は単純。
 魔族では無かったからだ。
 それと、他にもあるんだけど。

 ギルドマスターが言っていた『赤い目』も無く。普通の人間だった...ただ、化け物みたいな力を持った人間。

 世界で5本の指に入る程の実力者、この王都のギルドマスターと戦って互角だったんだ、充分化け物だろう。

 そのギルドマスターが、

 「キサラギ・ユウには、話があるんじゃ。まだ《・・》捕まえなくてよい」

 と、言っていた。
 ギルドマスターが言ったことなんだから、私達職員は従うしかない。

 その場に、キサラギ・ユウを残して立ち去った。



 そして、ギルドマスターとキサラギ・ユウだけが、その部屋に居る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 目が覚めると...爺さんの顔があった。

 「うわっ!!」

 寝起きに爺さんの顔は、キツい。主に精神的に良くない。

 「やっと起きたか少年」

 「あぁ。それより、ノアとアイリスは、どこにいった?」

 「ワシが少年と大事な話があると言って、出ていってもらった」

 「大事な話だと」

 「そうじゃ。大事な話だ」

 急に爺さんの雰囲気が変わる。
 その顔は、真剣なものに変わっている。

 そして...

 「お主...こことは、別の世界から来たんじゃろ?そうじゃないと、お主の力は可笑しい。他の『転生者』と同じように、神とやらから貰った力なんじゃろう」

 「え?違うけど...」

 俺の力は、貰ったものではない。
 元からあった力だ。

 「少年よ、嘘を付かなくても...本当なのか?」

 「本当の事だが」

 「...すまなかった。ワシは少年を勘違いしておったようじゃ」

 「何の事だ?」

 「ワシは、『転生者』が大嫌いでな、貰い物の力でこの世界を荒らしている。ワシから見れば、『転生者』は、この世界の侵略者みたいなもんじゃ」

 それなら、俺も侵略者なのかもしれない。でも、俺はこの世界を変える。
 それは、その決意だけは俺の中で変わらない。

 「少年が起きてから、『転生者』だと分かった瞬間に殺すつもりじゃった。だから、すまなかった、許してほしい」

 「分かった。でも、これだけは聞かせてくれ。何で爺さんは、『転生者』を恨んでるんだ?」

 「そ、それは...まぁ良いか...ワシはな、『転生者』に家族を奪われたんじゃ。大切な人を目の前で殺されたんじゃ。だから、ワシは強くなった。強い力を持っている『転生者』に負けないために...大切なものを守るために。200年も鍛えた。だから、負けるはずはないと思っとったんじゃが、少年に倒されて、また『転生者』に負けるのかと思って、全力を出した。そうゆうわけじゃ」

 かなり重い話だった。
 この世界の『転生者』は、何をやってるんだ。
 自分勝手に暴れてるだけなのか?

 だから、アイリスも辛い思いをした?

 「話は、こんなもんじゃ。あと、こんなことを頼んでしまって悪いんじゃが『転生者』のことを協力してくれはしないか?」

 「分かった。って言っても、もうやっているような感じだけどな。5日ぐらい前に一人捕まえてるしな」

 「ほう、そうかそうか。ありがとう少年」

 「じゃあ、俺からも一つお願いがあるんだけど、いいか?」

 「何でも良いぞ」

 「もし、トウサカ・サヤと言う名前の人を見つけたら俺に連絡をくれ」

 「何だ。人を探しておるのか?」

 ちょっと違うけど...もしかしたら、逢坂は俺を追いかけてくるかもしれない。だから、『転生者』の情報が多く入る、このギルドにお願いしておきたかった。

 「まぁそんな、感じかな。それじゃあ、俺は行くからな」

 「ちょっと待て、少年。今からお前の連れを呼んでくる」

 「分かった」



 しばらくして...

 ノアとアイリスの姿が見える。
 でもそれは、捕まえられた状態で...

 「おい、爺さん。どう言うことだ」

 ノアはまだ、ぐったりとしている。
 そして、アイリスは、赤い目になっている。

 もう、駄目なのか?魔族とバレている。
 でも、分かっているなら何でなにもしなかったんだ?

 「少年。勘違いはするなよ。ワシは別にこの子達をどうしようとは思ってないぞ」

 「は?」

 何言ってんだこの爺さん。

 「ワシは、魔族を恨んでないし、実際にどうでもいいと思っておる。こうして捕まえているのは、暴れられて周りに存在がバレるのを防ぐためじゃ。だから、大丈夫じゃ」

 魔族と知っても、殺さないという選択肢を取れる。この爺さんは、俺達の味方だろう。

 「それに、そっちの銀髪の子が起きるまで外に出られないじゃろ。『偽装』を使えるのは、その子だけみたいじゃからのう」

 「なんで知って...」

 爺さんのスキルが関係してるかもしれない。
 他人のスキルを見る事ができる能力か?

 「まぁ、その子が起きるまでギルドでかくまってやる。その代わり、ワシの頼み事をしっかりやってくれれば良いぞ。じゃあの」

 ノアとアイリスの拘束を解いて、爺さんは去っていった。

 この世界でも理解者はいるのだと、そう思った。
 あの爺さんは、この世界の誰にでも平等に接しているだろう。

 この世界の人間だけ...

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