貴方に贈る世界の最後に

ノベルバユーザー175298

その後のお話

 目の前から消えた人に向かって叫んでみる。届かないのは分かっている。でもそうでもしないと耐えられなかった。

 如月悠、私の中で一番大切な人。優しくて、お人好しで、不器用な人。そして、困ってる人を見捨てられない。

 でもその人は、居なくなってしまった。
 こんな世界に私を残して...


 《ランキング》が付けられている世界。
 その《ランキング》で一位をとれば何でも叶う。まるで、マンガやアニメのような世界。

 でも、そんな世界に今は、感謝している。
 何故なら、ユウを追いかけることができるからだ。例えどんなところにいても、可能性がある。

 だから私は、一位を目指した。


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 ・《ランキング》


    1位(50億人中)


      《備考》

 あなたは、『総合力』で1位を取りました。

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 1位になるために色々な事をした。
 出来る限りのことをやって、ある程度できるようになったら次のことをやる。
 そんな事を2年間繰り返していた。


 そして、いつも周りに可愛く振る舞っていた。
 《ランキング》は、総合力で決まる。だから、いつも気を配って過ごしていた。
 どんなことが《ランキング》に影響するか分からなかったから気が抜けなかった。

 何より怖かった。これから一年間ずっと1位をキープしなければならない。
 少しでも変なことをすれば《ランキング》が下がるかもしれないというプレッシャーがあった。

 だから、体を鍛えた。それも、あり得ないぐらい。
 もともと、昔にあった事故の時から、体が強くなっていった。


 人間は、死にかけると何か能力を得るというのは、よく聞くことがあったけど自分がそうなるとは思ってなかった。

 日に日に力が強くなっていく。それは、軽く、本当に軽く扉を蹴るだけで壊してしまう程に。

 自分が怖くなってくる。でもその反面、少し嬉しかった。
 1位になったということもあるけど、一番は、ユウと同じになれたことだった。

 ユウも隠していただろうけど、同じような力を持っていた。
 影からその力で守ってくれた。私には、バレバレだったけど。


 「ふふふっ」

 思い出すだけでも嬉しくなってしまう。



 もうすぐ...もうすぐで会える。
 会ったら何から話そうかな....

 後、一年間頑張らないとね。




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 一年間、本当に頑張った。
 可愛く振る舞って。暇があれば体を鍛えて、勉強もして...


 あの日ユウが居なくなった場所。
 ユウの部屋で時がくるのを待つ。

 この部屋に来るのも最後かな。
 周りを見渡す。
 何度も治された扉。大切に飾られた写真。
 私とユウの思い出。



 そして、その時が来る。
 足元に魔方陣が出る。そして、その輝きが増していく。
 光が部屋を包んだ。





 約2年前に来たことのある部屋に着く。

 変わらない真っ白な空間。そこには、前回会った"美"を体現したかのような神さまとは違う小さいくて可愛い子どもがいた。

 もしかしたら、ユウが会っていたのはこの子かもしれない。

 似合わない豪華な椅子に座っている子供がいた。

 「よく来たのだ。待っていたのだ、逢坂紗也」

 「こんな子どもがどうして私の名前を?...あ、神様だった」

 「...まぁいいのだ、わたしは心が広いのだ。取り敢えず...」

 何か、もやのようなものが子ども神様にかかる。



 そして...


 『さぁ、この世界の頂点を掴んだ人間よ、お前の願いをなんでも1つ叶えてやろう』

 子ども神様では無い、何かの声が聞こえる。

 「あなたが私の願いを叶えてくれる神様なの?」

 『そうだ、なんでも1つだけ叶えてやる』

 「じゃあ...」

 私は、願った。
 ユウ...如月悠に、出会うことができる世界へ転生・・することを

 『...本当にその願いで良いのだな?」

 「ええ、こんな姿でユウの前に行きたくないから」

 そう言って自分の体を見る。
 筋肉の多い体。色々やった時に付いた無数の傷。
 こんな体をユウには見せられない。だからこの願いにした。



 『良いだろう、その願い叶えてやろう』



 そうすると、足元に魔方陣が出てくる。さっき見た魔方陣とは違う模様だった。


 そして、魔方陣が光輝く。


 『新しい世界で、目的を達成するといい』



 そんな声と共に意識が落ちた。

 最後に見た神様の顔は、笑っていた。

 それは、何かを企んでいるような笑いだった。



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 目が覚める。

 そこは、薄暗い部屋だった。
 何かないかとその部屋を探していたところ、水の張ってある桶が見つかった。

 それを除くと...銀色の艶々した長い髪。血のような赤い目。白い肌。そして、幼いながらも今まで見たこと無いくらい綺麗な顔が写る。

 女の私でも見とれてしまうような美少女。少し見えている八重歯がすごく可愛らしい。
 手を顔の前に動かすと水の中の少女も同じように動かす。

 「これが、私?...」

 綺麗で透き通る声が聞こえる。
 ...こんな声なんだ。

 まじまじと自分の新しい体を見てると、

 「ノア、ご飯ができたぞ」

 と言って部屋に入ってくる人がいる。
 何となくお父さんなんだろうと思う。この子の記憶が残っているようだ。

 「しっかり食べるんだぞ」

 お父さんは頭を撫でる。
 なんかちょっと嬉しくなってしまう。

 「ふふっ、はーい」

 お父さんは笑顔になって部屋から出ていく。

 この家は、貧乏というわけではないけど少し貧しかった、という記憶がある。

 ご飯と言っても少しのスープとパンだった。それでも、この小さな体では満足のいく量だった。

 ご飯を食べ終わった後、記憶の中から自分のことを探す。


 ...どうやら少し大変な状態だということが分かった。


 私は、人間の間に産まれた吸血鬼で両親に隠して育ててもらっているということ。
 この世界の吸血鬼というのは、人間の敵、不幸の象徴、とそんな感じだった。


 優しい両親で良かった~なんだか少し涙がでてしましそうだった。

 ありがとう、と心の中でお礼を言う。

 気が付くと外は真っ暗になっていた。

 「もう、寝る時間なのかな?」

 ...おやすみなさい、お父さん、お母さん。
 そして、私は眠りに付いた。

 新しくできた家族を嬉しく思いながら、布団に包まれる。


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コメント

  • ペンギン

    お〜っと...これは予想外...wwマジですかww
    面白くなってきた〜!

    0
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