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Merry Christmas! -Chapter 2-

「ねえねえ! 久しぶりぃ! ハロウィンぶりだね!」
「久しぶりです」

 ボク達が仮装をした状態で外へ出ていき、街を歩いていると、ハロウィンの時に出会った年上のお姉さん方三人組がボク達に話し掛けてきた。
 勿論、そんな奇跡的な出会いに以前はテンションが上がりきらなかったボクでも、今回はテンションが上がってしまった。

「君達本当に似てるね! 髪の毛を伸ばしてるから見分けがつかないよ、どっちが前回髪が短かった娘?」
「ボクです」

 本当にボクでも見分けがつかなかったけれど、ボク以外の人から見ても瓜二つらしい。まあ、それはそれで傷付くんだけどね。
 褒められているだけましなんだけど。

「じゃあ今回も写真撮ってもいい?」
「良いですよー」

 今回は確りとポーズまでして写真を撮った。
 今回はフリーズすることなく自然な笑みをできたと思う。ラムからずっとニヤニヤしたような顔で見られ続けているけど、きっとあれは何かを企んでいる顔だろう。

「あ、これSNSにアップするけど大丈夫かな?」
「大丈夫です!」

 今回は顔見知りと言う事で、気兼ねなく話せるからだろうか、SNSの話まで出してきた。
 まあ、別にボクの顔は可愛らしいけど、そんなストーキングされる事は無いだろう。それにされたらされたでその人の記憶を消せばいいだけだし。

「じゃあねー!」
「バイバーイ!」

 今回もまた、数分話した程度で分かれた。
 こういうのは少し寂しく感じるのはボクだけなのかな? まあ、他人だからそこまで仕方がないだろうけど。


~~~~~~~~~~


「よし、じゃあ、今回もここからは気を引き締めておこう。ハロウィンの時みたいにこの姿を見た瞬間に襲ってくる可能性があるから」

 そんなこんなで、ようやく、……すこし時間を稼ぎながらゆっくりカシモトの家にたどり着いた。
 流石に、お姉さん三人組以外のグループにも写真をお願いされたけれど、同じ人ではなかった。まあ、流石にそこまで一緒だったら本当にデジャブだよ。

「しかし、カシモトの父親は許してくれるかなぁ?」

 実は、ボクはハロウィンの後にカシモトの両親とあいさつをしていた。
 その時に、カシモトのお母さんにはOKと言ってもらえたものの、カシモトの父親からは「同姓でのカップルなど絶対に許さん! 出ていけ!」と言ったLGBTの人を批判し掛けている様な発言をしていた。
 まあ、その時はボクが男って事を説明できずに終わったから、そのまま外に出されたけど、その時はマジで泣きそうになったよ、ギャン泣きしそうになったよ。そして殺そうとすら思ってしまったよ。

「「コンコン」カシモトー? いるー?」

 ちなみに、ハロウィンの時も説明した通り、カシモトはクウォーター? まあ、四分の一アメリカ人の血が流れている。そして、この家はアメリカ生まれの祖父さんの家だったらしく、家の玄関にはドアノッカーが張り付いている。

「ライムー?」
「Merry!」
「Chrismas!」

 ボク達がハロウィンの時の様に息を合わせてそう言うと、カシモトは驚いてその場に立ち止まる事は無く、目をキラキラさせながら抱き着いてきた。
 このままいけば、カシモトの無限大な性欲を爆発させてしまうと言う事が目に見えてわかった。今ですら獰猛な肉食獣が餌を見るような目で見ていた。

「プレゼントはぁ!」
「ボクたちだよぉ!」
「ちょ! ラム!?」

 しかし、急なラムの裏切りにより、目に見えて目の前にいるカシモトカシモトから出る雰囲気が変わってしまった。最も悪い方向へね。
 元々、ラムが言うはずだった台詞は「ボク達が愛を込めて作ったクッキーだよ!」と言う台詞を言うはずだったのにだ。もしかしたら、お姉さん三人組と話していた時に企んでいた事と言うのはこの事だったのかな?

「いや、まあライムが知らない男の人とかと写真を撮ってたから、カシモトと触れ合いたいんじゃないかなって?」
「へえ?」

 しかも、ラムは今現在一番言ってはいけないことを馬鹿みたいな声で言った。
 勿論、その言葉を聞いたカシモトは先ほどよりも殺気を含んだ様な目線で睨んできていた。これは去年よりも更にやばい風になってしまうんでは?

「ライム今日も覚悟しなよ?」
「ひゃ、ひゃい」

 しかしながら、殺気を放っているカシモトに抱き着かれているこの状況が打開できるわけもなく、しかもハロウィンの時の事も思い出してしまったので、了承しかできなかった。

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