クラス転移はts付きで

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二十六話~喧嘩した後程仲良くなる物はない~

 翌日、ボクが目を覚ますと、見えてきたのはボクの顔を間近でみている居るレティシアさんだった。 
 
「な、何してるんですか?」 
「あぁ、起きたのね。相変わらず阿呆そうな顔をしているわね」 
 
 ボクが話しかけると、いきなりボクの事を馬鹿にしてきた。……昨日無様に負けたくせにね。こういう人って、大抵、口だけが達者だよね。 
 
「なによ? 何か言いたい事が有るのなら言いなさいよ」 
「いやー、別に言いたいことなど一つもありませんよー、ま・け・い・ぬ・さん?」 
 
 ボクもレティシアさんにやり返すと、顔を真っ赤にして震えだした。いい気味だね! 
 
「う、うるさいわね! 昨日は私が手加減してあげたから勝てただけじゃない! それと、寮長が「その娘は貴女と同じCクラスだから貴方が案内してね」と言われたから、不愉快極まりないのだけれど、貴女を案内しないといけないのよ、さっさと着替えてくれないかしら? 起きるまであなたを見ていたけれど全く起きなくて疲れてしまったわ」 
 
 どうやら、寝ているボクを見つめていたのはボクが起きるのを待っていたらしいね。ちょっと失礼なことしちゃったかな? まあ、馬鹿にしてきたのはレティシアさんの方が先だからいいよね。 
 
「急いで制服に着替えるから外で待ってて」 
「はあ、装備の魔法も知らないのね、これも何時か教えないといけないのよねぇ、はあ」 
 
 ボクがロッカーへ手を伸ばそうとすると、レティシアさんは頭を抱えだした。やっている行動が侯爵令嬢とは思えない行動をしていて、ボクの中では、レティシアさん馬鹿疑惑が浮かび上がった。 
 
「彼の者に装備をさせよ、強制装備」 
 
 相も変わらず、厨二病的なことを言うと、一瞬でボクが来ていた服がこの学園の制服になっていた。制服はセーラー服に黒色を足したような感じで、その上にローブを掛けるらしい。本当に魔法って便利だね。……厨二病的な詠唱がなければ、ボクもやろうと思えたのにね。 
 
「ほら、早くついてきなさい。置いてくわよ?」 
「そんなせっかちだと、一部の趣向を持った人にしか好まれませんよー」 
 
 ボクがまたレティシアさんを馬鹿にすると、また顔を真っ赤にして起こると思いきや、口角を上げ、ボクの胸を見てきた。 
 
「無駄口をたたかないで、早く行きますよ、まあ、私も忠告しておきますと、貴女のその貧相な胸では一部の性癖の殿方以外には好まれないのはないですか?」 
「う、うるさい! 無駄口を叩かないんじゃなかったの! て言うか、早く連れてってよ!」 
「やっぱり、貴女は剣は少し上手いけれど、頭は弱いのね。実は貴女って結構馬鹿?」 
 
 ボクがレティシアさんを馬鹿にしようと思っていたら、いつの間にかボクが馬鹿にされていた。やっぱり貴族っていう職業をしているから、口撃力はかなり高いのかな? 
 
「そんな風に性格の悪いレティシアさんこそ絶対に好かれないよ! 男子が好きなのは保護欲が溢れでる様な、小さくて弱気な可愛いらしい美少女だよ! レティシアさんの様な強気で押しの強い女の子は絶対に違うよ!」 
「ふふふ、じゃあ、貴女がそう思っているから、そう言う風に性格を演じているのかしら? それだったら、貴女は本当に腹黒いわね、そう言う人こそ嫌われるわよ?」 
「ち、違うよ! ボクの性格は元からだよ!」 
 
 ボクがレティシアさんに反撃しようと、追撃すると、また、いつの間にか主導権をレティシアさんに握られた。これ以上話すとズタボロになるかもしれないが、ここで引く訳にはいかない! だって、ボクは元祖腹黒のシンノスケの友達だもん! 
 
「貴女の性格が作り物だったって、この学園に広めてしまおうかしらね? ね、ライムさん?」 
「だからそれは違うって言ってるよねぇ!? そう言う事を広めるのは良くないよ! もしも言ったりしたら、ボクは武力行使するよ!」 
「ふふ、貴女のお馬鹿な頭を使っても理解していないようなので、このとても優しいレティシア様が教えてあげましょう。 
 まず、そもそも噂と言う物は嘘でも沢山の人に広まっていくものです、そしてその中にはその情報をまんまと信じる愚か者共も居ます。そうすると貴女への不信感が大きくなりやがては信用も失うかも知れません、どうしましょうか?」 
 
 意気込みは無駄だったらしく、完全に主導権を握られてしまった。しかも、今の状況は、一つでも選択肢を間違えると、社会的に死亡。と言うとてもヤバイ状況だ。それだったらレティシアさんの僕になる方がましだよ。 
 
「ゆ、許して」 
「ん? 許してほしいのならそれ相応の態度ってものが必要じゃないのかしら?」 
「な、何でもするので許してくれませんか、レティシア様」 
 
 レティシアさんが調子に乗ってボクに恥辱を味会わせようとしてきた。勿論、ボクにはそれに対応できる手札はなく、最凶の下衆女に様付けで読んでしまった。 
 
「お前ら! 早く教室へ戻れ! もうすぐホームルームが始まるぞ!」 
 
 結構時間がギリギリのようで、教師と思われる中年男性がボク達の二人を注意した。 
 
「……レティシアさん? 貴女は時間配分と言う言葉は知っていますか?」 
「……では逆に質問させてもらいます。私よりも長時間寝ていたのは誰ですか? その後、私の事を挑発してきたのはどこの馬鹿なんですか?」 
「さっさと行け! 補導されたいのか!」 
 
 ボク達が話始めたことに苛ついたのか、ボク達の事を怒鳴ってきた。まあ、こんな舐め腐ったら奴が居たらボクも苛つくけどね。 
 
「分かりました! ですがボクは転校してきたばっかりなので道がわからないんですよ。一のCって何処にあるか分かりますか?」 
「ああ、そうだったのか、ならレティシア君が悪いのか、一のCは、この廊下の一番先まで行って、そこを左折、そしてそこから三つ目の部屋が一のCだが、……流石に無理だな向こうまでは200m近く有る、レティシア君を恨むんだな」 
 
 中年男性教師に場所を聞くと、親切にもしっかりとボクにもわかるように説明してくれた。まあ、ボクの体は可笑しいくらいだから、場所を教えて貰えれば良いんだよ。 
 
「レティシアさんッ! お先に失礼しまっすッ!」 
「はい? 何を言って?」 
 
 ボクは足だけを戦闘技能に行動権を移し、命令は《危険がない程度の速さで、教師に聞いたルートで教室に》だ。戦闘技能は直ぐさま命令を受け取り、駆け出していった。流石に五mの壁を飛び越えた脚力は伊達ではなく、五、六秒で着いてしまった。 
 そしてボクが教室にはいると同時に、ホームルームのチャイムらしき物が鳴り始めた。 

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