クラス転移はts付きで

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十九話~片想いな奴程暴走する物はない~

 招集に応じて訓練場に来てみると、すでに複数人数のクラスメートが居た。

「前に言った通り明日から学園に編入してもらうぞ」 
 
 全員が集まったところでフェルさんがそう発した、皆の頭では多分一つか二つしかなくなっていると思う、「前にって、何時言ったんだ!?」っていうことだと思う。 
 
 やあ、どうも、今の状況を教えてくれって? ふふ、いいだろう。……調子乗りましたごめんなさい。 
 その一、朝食のあとぼ……私達はフェルさんに訓練場に召集された、 
 その二、訓練場に全員揃うと、さっきの台詞をフェルさんが言った。 
 
 簡潔に言うとこうなるね。 
 
「ふぇ、フェルさん? 多分私達その事初耳なんですけど、あの、どういうことですか?」 
「あれ? 言っていなかったか? まあ別に知っていなくても別に問題はないんだけど、まあ、この世界の事について学んでもらうために国立高等総合学園に入ってもらうから、文句があるのなら受け付けるが」 
 
 フェルさんは、小首をかしげながら少し高圧的に言った。小動物的な行動や、姿だが、私は分かっている、あの精根が異常なまでに腐っている友達、シンノスケと同じ雰囲気がする事で、フェルさんも結構腹黒いと言う事が! まあ、予測の範疇でしかないんだけどね。
 
「ああ、あと、全寮制だからね、ルームメイトとか、クラスメイトとかは、こっちは決められないから赤の他人になるかも知れないけど頑張って 
 ああ、あと校内での性行為は禁止されてるからね、カシモト、襲っちゃだめだよ」 
「ふぇ?」

 真面目なことを真顔で話していたので、急にフェルさんが言った発言が頭に入るまでに、結構な時間がかかった。しかも、雰囲気はシンノスケの黒い感じを二倍くらい圧縮したような感じで、シンノスケよりもゲスイことが分かった。と言っても、すでに時すでに遅し、クラスの皆が少しずつ私達から遠ざかっているのが分かった。
 
「お、おい、まさかあいつら、もうそんな間柄に」 
「いや、もしかしたら王女を襲ったって可能性もあるわよ!」 
「伝えたいことはこれ位だ、じゃあ解散」 
 
 フェルさんは、少し口角を上げながら訓練場から去っていこうとした。周りの人達は、完全に私達の近くから離れて、こそこそと噂話を始めた。何て迷惑な奴だ!
 
「いや、まあライムは関係ないけど、王女だって私の事を求めてきた――」 
「ななな、何を言っているんだ! そそそ、そんな戯言を信じる奴がどこにいるというんだ! そ、それに! そんな証拠はないだろ!」 
 
 カシモトが対抗して言い返すと、訓練場から去りかけていたフェルさんは走って戻り、顔を真っ赤にしながら反論してきた。先程の事が嘘だったように、また、周囲の人は噂話を始めた。前よりも声が大きくなって。ぷぷ、人を貶めようとした罰だよ!
 
「いや、侍女の誰かは知ってるんじゃないか?」 
「はっ! そんな確証もない事で王女である私を貶めようとしたのか! 流石は――」 
「あはは、色々なことを言ってるけど、そもそも私、フェルさんたちに襲われたからね」 
 
 私がフェルさんを懲らしめようと発言すると、私の周りの空気の温度が十度位下がった。
 私が横を向くと、そこには般若のお面を五十倍怖くしたような表情のカシモトが居た。その時私は一秒もかからずに状況を理解した。「あ、やっちゃった」と。
 
「あ゛あ? 私のライムに何、手ぇ出してんだ? 殺すぞ? あとシンノスケ、お前もだ、取り敢えずあそこにいる愚か者を捕まえてこい、捕まえられなかったらどうなるか、わかってるよなぁ?」 
「Yes,Sir!」 
「ちょ、ちょっと、近衛騎士さん! い、今が出番じゃないの!?」 

 流石に命の危機を感じたのか、カシモトを弄るのをやめ近くに控えていた近衛騎士の人に、命令をしていた。しかし、何故か近衛騎士の人は動かずに、私達の事を微笑ましそうに見ていた。それはもう、自分の孫を見て微笑んでいる、孫馬鹿の如く。
 
「子供の喧嘩に入るのは大人げないなと思います、あと、人の嫁に手を出すのはいかんでしょう」 
「ちょ! あの人の目を見てよ! 絶対に私を殺す気でしょ!」 
 
 フェルさんが喚き散らした。滑稽だとは思うが、このままだとカシモトがフェルさんを殺して、カシモトが投獄されて、近衛騎士の人が首になるっていう、誰得な展開になるので、早く近衛騎士の人はフェルさんを守ってあげてください!
 
 カチャ 
 
 横を見てみるとそこには短剣を抜刀した、シンノスケが居た。 今、どういう感情をしているかって? 「あっ、終わった」としか思ってないよー。
 
「ば、抜刀はまずいって! 一応あんなのだけどボク達の保護者で、この国の王女なんだよ!? 普通に牢獄送りだよ!? 落ち着こうね! ね!」 
「誰があんなのだ? 私は普通に王女だぞ? ライムその発言は少しいただけないな、不敬罪として捕まえるぞ」 
「はっ! そんなことをしようとするならお前を殺して、国外へ逃げるわ!」 
 
 言葉だけを聞けば、幼い子供たちが喧嘩している様に見えるが、実際は片方は抜刀している勇者と、もう片方には近衛騎士がついているが、一番必要なところで動かない無能のせいで、死にかけている王女と言う、一触即発な状態だった。所謂、カオス。
 
「け、喧嘩しないでぇ! 落ち着こう! ね! 落ち着け!」 
「ライム聞こえなかったか? 今謝れば不問とするが」 
「はっ! そんなことで謝るとでも思ったか、馬鹿め!」 
「お前には言っていないんだよ! 私はライムに言っているんだ! お前のような下賤な奴には聞いていない」 
 
 バンッ 
 
 ボクがフェルさんの右頬をギリギリで掠めるような弾丸を撃つと、訓練場は一瞬にして、静かになった。フェルさんは茫然としていて、「え、え?」としか言葉に出ていなかった。

「君たちぃ、いい加減にして貰おうかなぁ? かなぁ? あのねぇ、ボクは特にフェルさんのためにカシモトを説得しようとしているんだよ? だよ? それなのに何故君は火に油を注ぐ様な事をしてるのかなぁ? かなぁ? 死にたいのなら今すぐにボクが殺してあげてもいいんだよ? だよ?  
 あとね、カシモトもね文句を言いたくなるのも分かるけど、一回落ち着こうよ、周りの人に迷惑が掛かっていることを早く認識しようよ?」 
「は、何をしているの? 私は王女――」 
 
 バンッ 

 今度は左頬をギリギリで掠めると、フェルさんは恐怖で崩れ落ち、ようやく事の大きさに気付いた近衛騎士の人が駆けつけて来た。
 
「ごっ、ごめんなさい、ゆっ、許してください」
「あのね? ボクはイエスかノーを聞いているんだけど、早く答えてもらえないかなぁ? かなぁ?――」 
「セイッ」 
「きゅぅ」 
 
 ボクが最後に見たのはヒロセがボクの首を叩き、フェルさんが顔を真っ青にして、ぶるぶると震えているところだった。
 

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