努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

七十四話 その他の便利さを再確認したのだった

俺が異世界の楽しみをなくして少しがっかりしていると、誰かに袖をくい、引っ張られた。

「誰だ…?」

そう言いながら振り返った先には、俺の袖を引っ張っている瑞希がいた。

「み、瑞希、どうしたんだ?」

瑞希にいきなり袖を引っ張られたことに少し動揺しつつも、それが悟られないように瑞希へ声をかけた。

「涼太、涼太ってさ、もう魔王倒せるんじゃないの?」

「え…?」

瑞希の質問を聞いて俺はすぐに返事ができなかった。勝てるのか、勝てないのかを考えていた訳では無い。正直に言うと勝てるだろう。だが、魔王を倒したら瑞希は地球に帰るというだろう…いや、若しかしたら瑞希はしばらく残ってくれるかもしれないな…。

「瑞希、もし魔王を倒したら地球に帰るか?」

「んー、今まで城に篭って訓練してたから倒しても少しこの世界で遊びたいかな」

ま、まじか!瑞希は魔王を倒してもこっちの世界に少しは残ってくれるのか!

「よし、魔王倒しに行くか」

残ってくれるのなら、魔王なんかすぐ倒してやろう。今すぐにでも。

「え…勝てるの?まあ、勝てるだろうけど…」

「大丈夫だろ、早速行くぞ」

「え、今から!?」

「ああ」

俺は返事をしてエリスの方へと向かっていく。勿論エリスに魔王のところへ向かうことを伝えるためだ。

俺の話を聞いたエリスは最初はやめよう、と言っていたが、悪龍を倒したのを思い出したのか渋々許可をくれた。後は荷物を準備するだけだ。俺達は荷物を準備するために一度街へ戻ることにした。
準備が終えた頃には日が沈みかけており、俺達は1度宿で寝ることにした。

「やっと、魔王討伐か…俺の勝手な理由で先送りにしていなかったらもっと早く倒せていたんだろうけどな…」

俺はそう呟いたあと目を瞑った。



朝起きて早速馬車を走らせる。目的地は魔王がいる魔国領だ。魔国領へ行くには海を渡らなければいけないのだが、どうやって渡るのかというと地下にある迷宮のようなところを通っていくらしい。まあ、その迷宮に着くまで暇なわけで、今は何をしようか考えている。

御者はエリスがしているので、今は瑞希と二人きりなのだ、なにか話をするのは確定事項なのだが、なにか物足りない。食べ物でもあればな…などと考えているとふと俺のスキルのことを思い出した。
確か『売店』という名前だった気がする、などと考えながらステータスを見ていると、『売店』を見つけた。ついでに『売店』の説明も載せておこう。

売店
(異常的 1がLv.20になった時)
ステータス売買で入手したお金を使って、物品を買うことが出来る。(異世界のものも可)

ちなみに説明に書いてあるステータス売買とはこれの事だ。

ステータス売買
(異常的 1がLv.15になった時)
ステータスを売買することが出来る。

よし、あると分かったので早速使おう。

『ステータス売買』

瑞希にバレないように小さく呟いた。俺はステータスを適当な量(かなり多い)を売却しお金を入手した。このスキルで入手できるお金はこの世界のものでも、日本のお金でもなく、見たことのない柄をしていた。まあ、そこはどうでもいいか、と思い次に売店を使う。

『売店』

そう呟いた瞬間、目の前にステータスパネルのようなものが出現した。そこには色々な品物が映し出されており、メニューやネットでよく見る検索マークも左上に表示されていた。俺は検索マークを押したところで瑞希に質問をする。

「瑞希、何か食べたいものはないか?」

「食べたいもの?」

「ああ、地球の食べ物でもいいから言ってみて」

「んー、チーズケーキかな」

「わかった」

俺は返事をしてすぐに「チーズケーキ」と検索をかける。瑞希は不思議そうに俺を見ているが気にしない。チーズケーキと検索した結果、たくさんのチーズケーキが表示された。俺はその中で見た目が美味しそうなものを適当に選び購入する。すると、購入した途端目の前が光出した。

「な、なに!?」

瑞希は驚いたのか、大きな声を出して叫んだ。少しすると光が収まり瑞希が冷静さを取り戻した。

「な、なんだったの?」

「これだよ」

俺はそう言いながら俺の手の上を指さした。

「え!?」

わかると思うが、俺の掌の上にはチーズケーキが乗っている。勿論お皿の上にだ。

「それ、どうしたの…?」

「買った」

「え…?」

「まあ、気にするな」

俺はそう言ってチーズケーキを瑞希に渡す。それを瑞希は困惑気味に受け取り、食べ始めた。

「美味しい!」

一口食べた瞬間に瑞希は大きな声でそういった。そして、すごく笑顔で俺の方を向いた。

「涼太も食べよ!」

俺はその顔を見て少し照れながらも、うんと返事をして、チーズケーキをもう一つ出して食べ始めた。二回目購入する時に気づいたが、買ったものを出現させる時に光らせないことも出来るらしい。


俺はスキルは便利だな、と再確認したのだった────。

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