努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

七十話 悪龍の尻尾を貫通するのは簡単だった

悪龍は俺が睨んでいることに気づいたのか、顔をゆっくりと俺の方へと向けてくる。

「おい貴様、何をジロジロと見ておる」

鼓膜が破れそうなぐらい大きさの声で、俺に聞いてくる。

「お前、許さないからな?」

「お前とな。貴様はわしがなにものかわかっておるのか?」

「ああ、悪龍だろ?」

俺の返事を聞いた悪龍はハハハと笑い始める。

「何者が知っていて、尚お前というのか」

「お前はお前だ」

「ふん、下等生物が」

悪龍が尻尾を俺の方へと叩きつけてくる。
尻尾はぶんっ、という音を鳴らしてかなりの速さで俺に近づいてくる。
俺はその尻尾めがけて、拳を突き出すーーー前に少しすることがある。

『結界 効果は障壁』

大量の魔力を消費してかなり頑丈な結界を生存者達にかける。
その後、悪龍の尻尾目掛けて拳を突き出した。俺の拳の何倍もの太さがある尻尾と、俺の拳がぶつかった瞬間ーーー

ーーードォーン

爆発音が響き渡った。音が聞こえたあと、周囲に強い風が吹いた。
いや、強いどころではない。例えるなら台風の風を直接受けているような風だ。

ところで、俺と悪龍の尻尾対決はどうなったかと言うと、もちろん俺の拳が悪龍の尻尾を突き破っている。

「き、貴様、何者だ!」

みんな同じ反応しかしない。

「俺は山田 涼太だよ」

俺は適当に返事をしながら結界の方を見てみる。結界は無事に残っており、中の人は無傷だ。もちろん結界の中にはエリスと瑞希がいる。エリスは悪龍にトラウマがあるからかブルブルと怯えている。瑞希はそんなエリス落ち着かそうとしている。

エリスは瑞希に任せておいたら大丈夫そうだな。俺は悪龍に集中するか。
悪龍は俺の初撃が予想以上に強かったからか、動かずに俺をジロジロ見ている。

「貴様、本当に何者なのだ?」

「だから、涼太だよ」

「そうではない!」

まあ、違うだろうな。だが別にいう必要も無いし、なんて言ったらいいかもわからないから適当に流す。

そう言えば、悪龍のステータスってどのくらいなのだろうか?

『鑑定』

そう呟いて、悪龍を鑑定するが何も出ない。
俺の鑑定スキルはLv.12だ。見れないわけがない。俺が鑑定できないことに驚いていると、馬鹿にするように笑い始めた。

「貴様なんぞの鑑定スキルが効くとでも思うのか。わしのスキルを突破できん」

スキルでステータスを隠してるのか。


俺はにやにやと悪龍に企んだ笑を見せるのだった───。

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