努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

六十九話 ダンジョンにもルールがあるようだった

部屋の真ん中で倒れている女性の方へ近づくと、女性がゆっくりと目を開いた。

「助けて...いた...だき...ありがとう...ございます」

「今は喋るな」

怪我がかなりひどいので、喋るのもしんどいだろう。取り敢えず完治のポーションを作らないと。というか、完治のポーションを作ればすることはなくなるんだけどな。

『ポーション、効果は完治』

スキルを発動させて出て来た瓶を倒れた女性に飲ませる。体が全体的に光り、みるみるうちに傷が治っていく。
無事に傷が全て治り、女性が起き上がった。

「あれ?傷が...どこにも無い?あれ!?」

「そらそうだろうな」

「な、なんで?」

「ポーションを使ったからだな」

「そ、そんな高価なポーションを私なんかに...?」

女性がブルブルと震えだした。別に高価でもなんでも無いんだけどな。無料だし。

「気にしなくていい」

「で、でも...」

「そんなことよりも、大切なことがあるだろ?」

俺はそう言って、死体を指さした。
死体をそのまま放置しているのは、気分の良いものではないからな。早めに埋葬してあげたい。
俺はそういう意図で伝えたのだが、女性は泣き始めた。まあ、泣くだろうとは思っていたけど。

「あ...、あぁ...、うわーーん、うわーーん」

俺にはその悲しみをどうにかすることは出来ないので(一応できる)、しばらく見守ることにした。この悲しみは自分で乗り越えるべきだ。



40分ほど経っただろうか、やっと女性が泣き止んだ。

「取り乱したところを見せました、すみません」

「俺のことは気にするな」

「ありがとうございます」

女性はそう言って、同じパーティーメンバーだったであろう1人に手を合わせた。
数分間合わせたあと、また違う人のところに行き、手を合わせている。
女性はこれを全員にしたあと、パーティーメンバーに向けて手を向けた。

「おい、何するんだ?」

「燃やすんです...」

燃やす?この世界にも火葬という文化があるのか?本では見たことないんだが。

「なんで燃やすんだ?」

「ダンジョンではそういうルールなんです。
持ち帰れない死体は燃やすっていう...」

なるほど、そんなルールがあったのか。
別に火葬という文化がある訳では無いんだな。それなら尚更辛いだろうな。
何とかできないだろうか?
あ、余裕でなんとか出来るわ。

「なあ、燃やさなくてもいいぞ」

「あの、さっきも言いましたけど、そういうルールだって...」

「要するに、ダンジョンの外に連れて行ければいいんだろ?」

「はい、そうですけど...」

女性が首を傾げながら、俺の問を肯定した。

「よし、ダンジョンから出るがいいか?」

「は、はい、メンバー達を連れていけるのなら」

よしと呟いて、俺が異常的 1の瞬間移動を使おうとした時、脳内に直接

『レベルが2853になりました』                                  
                    省略
『異常的 1がLv.58になりました』
『レベルが3001になりました』
                    省略
『異常的 1がLv.59になりました』
『レベルが3501になりました』
                    省略
『異常的 1がLv.60になりました』
『レベルが4000になりました』
                    省略
『レベルが4400になりました』

と響いた。あぁ、そっか、うん、閻魔倒したもんな。仕方ないよな。気にしないでおこう。
よし、気持ちを切り替えて、瞬間移動するか。取り敢えずメンバー達を持って、女性の手を握ってーーー

『瞬間移動』

俺はそう呟いて、死体と女性と共にダンジョンを抜け出したのだった───。

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