努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

六十八話 ダンジョン内は魔物が大量だった(改稿します)

ダンジョンにつき、さっそく5階層へ向かおうと入り口へ入った。
そこで先ほど千里眼で見た光景が、実際に目に映った。1面の魔物、進みようがないぐらいに詰め詰めになった魔物共。

普通なら、この状況をどうしようかと悩み考えてから、魔物の海に突っ込むだろう。
だが、俺は考えない。考えている時間が無い。
突っ込まなければ、5階層の冒険者達が死んでしまう。それに、俺はダメージを受けない。だから、別に突っ込んでも問題は無いのだ。

俺は剣を前に構えて、魔物の海へと突っ込んでいく。それも、超高速で。
俺に当たった魔物は、瞬殺され、どんどんと倒れていく。ただひたすら階段に向かって。
そこで俺はふと思い出した。


「階段、見つかるか...?」

そう、たどり着けるかではなく、見つかるかなのだ。今までなら、瑞希の力で適当に歩いても、すぐに見つかったが、今は瑞希がいない。つまり自力で探さなければいけないのだ。

だが、自力で探している時間などない。
そんなことに時間を費やしていては、冒険者達が死ぬ。
俺はそこで、初めて立ち止まった。
理由は変に動いても遅くなるだけだからだ。
そして、何か階段を探す手段はないのかと考えるために。

そこでいつもの異常的 1のスキルを探した。
今使えるスキルはないかと。
そして、いいものを見つけた。

『地形情報収集』

今、この現状にぴったりのスキルだ。
この時のためにあるのではないかと思うほどに。
このスキルは周りの地形情報を地図のようにして、頭で直接見ることが出来る代物だ。

これで、このダンジョンの地図を作り、階段の場所を把握できるようになった。
あとは突っ切るだけだ。



かなり本気で走ったおかげか、5階層に一分でつくことが出来た。
そして今は、扉の前にいる。

本来、改装主の部屋に人がいる場合、扉を開くことが出来ない。ただ例外はある。
それは、正規の方法でなければ入れるということだ。つまり、扉を壊すことが出来れば、中に入れるという事だ。

さて早速扉を壊すか。補足説明するが、この扉は本来壊せないものだ。
一般人の認識では、ダンジョンの壁、床、扉は全て壊せないものと考えられている。

しかし、ダンジョンの壁は壊せないのではない。壊せる者がいないだけである。
つまり、この壁は破壊不能なわけではなく、無駄に硬いだけ、という事だ。
そしてそれは扉も同様でありーーー俺には壊すことが出来る。

ドスン!

扉に手が当たった瞬間に大きな音が響き渡った。ガラガラと崩れる扉。
そこから、階層主の部屋へと入る。
そこで俺が見た光景はーーー


「なんだ貴様?」

元々、冒険者パーティーは5人だったのだが、今は一人を除き、全員が真っ二つになって、当たりにゴミのように放置されている。
俺が現状把握をしていると、弱々しく、掠れた女性の声が耳に届いた。


「逃げ...て、くだ...さい」

「なんでだ?」

「絶対に...かてない...から...です」

「なぜ決めつけるんだ?」

「相手は...神...なんです。逃げて...くだ...さい」

この女性は神だと知って戦っているのか。
こんなにボロボロになるまで。
なおさら、逃げられないな。逃げるつもりもないが。


「俺は逃げない。今から閻魔を倒さないといけないからな」

「ダメ...です...あなたが...死んで...しまいます」

『いいや、もう遅い。逃げないと言ったのだから、もう逃がさないぞ、ハハハハ』

閻魔はそう言って俺に殴りかかってきた。
ああ、遅い。そして、苛つく。

閻魔が冒険者達を殺したことがむかつく。
ダンジョンがあることがむかつく。
助けられなかったことにむかつく。

俺はその苛つきを拳にのせて、閻魔の手を思い切り殴る。何百倍も大きさに差がある拳と拳がぶつかった。普通なら、何百倍も大きい拳が勝つように思うだろう。

だが違った。俺の拳は相手の拳を貫通し、めり込んでいく。奥へ奥へとめり込んでいく。時々メキメキと音をたてながら。

そして、俺の拳が閻魔の腕の半分ぐらいまできた時、やっと閻魔が抵抗を始めた。
腕を左右に振ろうとしたり、腕を自身の方へ引こうとしたり、逆に押したり。
だが、俺にはどれも効かない。


「相手が悪かったな」

俺はにやりと笑ってそう呟いた。
さて、もうそろそろ倒すか。
別に徐々に相手を痛めつけていく趣味はないし、早く女性の手当をしなければいけない。


「閻魔、3度目のサヨナラだ」

そう言って、閻魔の首のあたりまでジャンプする。そして剣を抜き、横に払う。ただそれだけで閻魔は倒れた。
今回は瑞希がいないからドロップはなかった。


こうして俺は3度目の閻魔討伐を終え、女性の方へと向かったのだった───。

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