努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

六十七話 完治のポーションは便利だった

魔王の次に強いという魔族を倒し終えた俺は、1度瑞希達のところに戻ることにした。まずは...

『千里眼』

これで遠くを見れるようになった。
さて、瑞希はどこかな。俺が元いた場所あたりを、近くにいる魔物を倒しながら探していると、無事に見つかった。

「よし、行くか」

俺は1人そう呟いて、瑞希の方へ向かおうとしたその時ーーー


俺の背中に、衝撃が走った。痛くはなく、傷もついていないだろうが、背中に強い力を加えられたのだ。

「なんだ!?」

俺は驚いて、すぐに後ろに振り返った。
そこには、先程倒したはず・・・・・の魔族が20体もいた。勿論、すべて同じ顔、すべて同じ身長だ。正直不気味だ。

だが、そんなことより何でこんなにいるんだ?という疑問で俺の頭は埋め尽くされた。俺がその事を考えていると、20体が一斉に話し始めた。

「おい、貴様、今ので倒せたとでも思っていたのか?」

かなりの声量だな。正直うるさい。

「倒せたと思ったんだけどな」

「人間風情に殺されるわけがないだろう」

そう言って魔族はふはははは、と笑った。
面倒くさいな...。

...あ、そう言えば、異常的 1に完全消去って言うのがあったな。あの効果は『物』を完全に消すというものだったはずだ。
もしも、この敵に命がないのなら『物』という定義に当てはまって消せるのではないか?よし、思い立ったらすぐ行動だ。

『完全消去』

魔族に20体を指定して発動させる。
発動した直後、魔族がいた場所に一瞬光が走った。直後、そこには何もいなくなっていた...一体の魔族を除いて。まさか本人が紛れていたとは...。

「お、おい、き、貴様何をした!?」

魔族は今の状況を理解できないのか、口をぱくぱくさせて、驚いている。

「何をしたって、消しただけだが?」

「け、消した...?」

「ああ」

魔族は俺の言葉が理解できないのか、困惑した表情になった。
というか、もう倒していいよな。尺は十分とっただろう。俺は魔族に素早く近づく。
そして、素早く手を動かし、首を切る。
魔族の頭がボトっと落ちて、呆気なく死んだ。
念の為、ということで追撃をしておき、反応がないので瑞希のところに戻ることにした。もう一度、念の為に後ろを振り返る...何もいない。大丈夫そうだな。

俺はそのまま、瑞希のところに向かった。瑞希は今、救助した人の世話をしている。周りの魔物は大体倒し終えたのだろう。

だが、俺の方にはまだ魔物はいるし、救助出来ていない人もいる。瑞希のところに行く時に回収するか。俺は千里眼で人を探し、救助していく。
瓦礫の下にいる者、魔物に食べられかけている者、色々な人を回収した。
結果、合計で10人を背負って、瑞希の所にたどり着いた。

「涼太、おかえり」

「ただいま」

「まだ、助けれてない人がいたんだ...助かってよかった」

瑞希は安堵の息をついた。ほんと、助かってよかったよ。

「瑞希、怪我人とかはいるか?」

「うん、大体は私でも治せるぐらいの軽傷なんだけど、骨が折れてたり、腕がなかったりっていう人達がいるの...どうしよう?」

どうしようと言われてもな、俺には何も出来ないしな。
ダンジョンで手に入れた完治のポーションを使ったらなんとかなるだろうけど...。

ん?ポーション?そう言えば、異常的 1にポーションを作るスキルがあった気がするな。
ほんと、異常的 1は万能だな。
確か、このスキルの効果は指定式だったよな。じゃあ、怪我人の様子を見た方がいいな。どんな効果がいるかわからないし。

「瑞希に治せない怪我人を見せてくれないか?」

「分かった...」

瑞希は明らかに暗くなっている。瑞希のせいではないのに、ほんと瑞希は優しいな。


瑞希によって案内された場所には、様々な者がいた。それを見て思った。
(もう、面倒くさいし、完治のポーション作ったら良くない?)
正直みんな酷すぎるから完治のポーションでいい気がする。MPも有り余ってるし作れるだろ。よし、早速作るか。

『ポーション 効果は完治』

スキルを発動させると、俺の目の前に、ポーション瓶が出てきた。出来たっぽいな。
怪我人は15人ぐらいかな。あと14回繰り返すだけか。MPも余裕で足りそうだ。
俺は今作った完治のポーションを瑞希に渡して、もう一度作り始める。

数分後、無事に15本作り終えた。
俺がポーションを作っている様子を見ていた瑞希は、目を白黒させていたが気にしない。俺は、作り終えた15本を怪我人全員に飲ませて回る。

完治のポーションは初めて使うから、どんな風になるのか期待しながら見ていると、飲んだ瞬間に怪我をしている場所が光り始めて、光が収まる頃には完璧に治っているといった、よくある演出だった。

まあ、こんなもんだよな。でもまあ、便利だからいいか。よし、怪我人の手当は終わったし、何をしようか?
魔物はほとんどいないし、その残っている魔物もエリスが倒してるし、やることが無くなった。

千里眼でも使って、ダンジョン内の様子でも見ようかな。

『千里眼』

そこで俺は有り得ない光景を見た。
ダンジョン内が魔物で埋め尽くされていたのだ。どこを見ても魔物しかいない。

ダンジョンの外に全部出てきたと思っていたが、そういう訳ではなかったらしい。
俺は下の階層はどうなっているだろうか?と思い二階層、三階層とどんどん下を見ていくが、どこを見ても魔物しかいない。

「やべぇ...」

思わず、声に出してしまうぐらいのやばさだ。俺はそこでふと階層主のいる階層のことが気になった。

普段、階層主がいる階層には魔物は湧かない。だが、今ならばいるかもしれない。俺はそう思い5階層を覗いて見た。
5階層は普段と変わらず魔物がおらず、安全地帯となっていた。

俺は少し面白くないなと思いながら段々と一本道の奥へを見ていく。そして、俺は階層主の部屋を覗いた瞬間、ダンジョンへと走り始めた。

そこには冒険者パーティーがいたのだ。
それだけなら、敵がいないのならまだマシだった。もっと言うなら、普通の敵ならば全然マシだった。

だが、現実は最悪の状況となっていた。
冒険者パーティーは階層主の部屋へ入っていたのだ。これだけならば、俺はこんなに焦っていないだろう。
だが、階層主の部屋には、理由はわからないがこの階層にいてはいけない敵ーーー

ーーーー閻魔・・がいたのだ。
これはやばい、本当に良くない。
冒険者パーティーは閻魔と話しているのか、まだ攻撃されてはいないが、攻撃されれば即死だ。


急がなければ死ぬ、という思いが俺を駆り立て、俺は全力で走ったのだった───。

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