努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

五十六話 部屋からの脱出方法は簡単だった(改稿します)

精霊が説明したこの部屋からの脱出方法はこうだ。

『壁を壊す』

これだけしか言わなかった。俺がそれだけ?と聞き返してもこれ以外はないという。
もしかして契約する必要がなかったのでは?と思ったが、契約していない精霊はこの部屋から出られない仕組みになっているそうだ。
なので契約した意味はあったらしい。

取り敢えず脱出方法が分かったので俺は壁を壊しに行こうとする。すると精霊から待ったがかかった。


「その壁はすごく硬い上に魔法がかけられているので普通には脱出出来ませんよ」

「そうなのか?まあ、一応試してみるか」

俺はそう言って壁に近づく。俺の後ろでは精霊が危ない!やら、怪我するからやめてください!やら叫んでいるがまあ大丈夫だろう。
俺はそんなことを考えながら思い切り壁を殴る。すると手が壁についた瞬間壁の表面になにか透明な壁のようなものができた。
俺の手がその壁に当たった瞬間、その壁はパリンと音を立てて粉々に砕けた。
そしてそのまま壁を突き破り、元々あった壁も粉々に砕ける。


「こ、こわせた?」

精霊達が困惑しすぎて、壊せたことすら疑問形になっている。だが、正直いってあまり固くなかった気がするんだがな。まあ、そんなことはどうでいいので、とりあえず外に出るか。


「おーい、取り敢えず外に出るぞー」

「わ、わかりました」

俺が声をかけると大体の精霊が現実へと戻ってきて部屋から出ようとする俺についてくる。まだ現実に戻ってきていない精霊たちは無理やり叩き戻されている。

外に出ると階段から落ちた時にあった部屋に出た。場所はちょうど部屋の真ん中辺たりだ。そして、その部屋の中には、瑞希達がいた。


「涼太!どこに行ってたの!」

瑞希が叫び気味にそう言いながら俺の元へと近寄ってくる。
そのままとびこんできてくれないかなー、なんてことを俺は考えながら瑞希に謝る準備をしていると、なんと!瑞希が俺の方へと飛び込んできた。


「いきなり消えたからびっくりしたんだよ!涼太がいなくなっちゃったかと思ったんだよ!」

瑞希は俺に抱きつきながら、涙を流した。
え?そんな泣くほどのこと?30分ぐらいしか経ってないよね?
俺はそう疑問に思って少し戸惑っていると、瑞希からよくわからない言葉が飛び出した。


「3日間もどこに行ってたの!本当に心配したんだから!」

瑞希はそう言ってさらに涙を流し始める。
更には霧月姉、靉麗が泣きながら俺に抱きついてくる。エリスはと言うと、泣きまではしないものの、よかった、というような顔をしている。
俺は皆に謝りつつ、皆を優しく抱きしめた。

しばらくした後、みんなが落ち着きを取り戻し、俺から離れる。もう少しそのままでもいいんだけどな。皆可愛いし(靉麗と霧月姉に関しては家族愛的な意味のはず)。
まあ、抱きついてもらうのはまたの機会にするとして、今は俺が三日間もいなくなっていたという疑問を解消していこうと思う。
だが、それは思うだけで終わり、すぐに答えが分かった。


「私達が閉じ込められていた部屋は何故か時間の流れ方が違うんですよ」

精霊は俺達がさっきまでいた部屋の方を指さしてそう言った。どういう理由なのかは分からないのは不思議だが、そういうことだと納得しておこう。

俺はこうして無事に外に出ることが出来たのだった───。

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