努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

五十四話 俺達は馬鹿だった(改稿します)



1時間ほど経ってから、瑞希達が起きた。


「涼太、おはよう」

「ああ、おはよう」

瑞希が目をこすりながら俺に挨拶をしてきたのでしっかり返す。やっぱり瑞希はいつ見ても可愛いな。瑞希の寝顔が見れるなんて、異世界に来てよかった!異世界サイコー!
あ、一応言っておくが、瑞希達には何もしていないからな!本当だからな!
俺がそんなことを考えていると、後ろから誰かが抱きついてきた。
この柔らかな感じ...霧月姉か!


「涼太、おはよう!」

「おはよう、霧月姉」

俺は振り向きながら返事を返す。振り向いた先には、抱きついている霧月姉とその先に立っている、靉麗とエリスの姿が見えた。


「靉麗とエリスもおはよう」

「にぃ、おはよう...」

「リョウタ、おはよう」

俺はみんなと挨拶を交わし終えたので、次の階層に行く準備をする。すると瑞希が俺の方を見て何してるの?みたいな目で見ていた。
どうしたのだろうか?


「瑞希、どうかしたか?」

「涼太は何をしようとしてるの?」

「次の階層に行く準備を...」

「今日は50階層までだよ?さっき言わなかったっけ?」

あ、そう言えばそんなことを言っていた気がするな...。


「そう言えばそんなこと言ってたな、忘れてた」

「忘れん坊過ぎだよ。まあいいんだけどね。まあ、取り敢えず戻ろっか」

そう言って俺達は転移石を使い、ダンジョンの入口に戻る。そこでふと、思ったことがあった。


「なあ、元々戻る予定だったなら白に戻ってから寝れば良かったんじゃないか?」

俺が瑞希にそう聞くと、瑞希はうっ、という声を漏らして少し顔をそらす。


「忘れてたのか?」

「う、うん」

「瑞希も忘れん坊さんだな!」

俺はそう言って笑う。瑞希が忘れん坊だということを知れてラッキーだな。そして、そんな所も可愛い!


そんなことを話しながらしばらく歩いていると、城についた。今日もエリスは自分の家に帰るそうだ。慣れないものなのだろうか?
まあ、苦手なものは苦手だから仕方ないか。
俺は城に帰ったあと、ご飯を食べたり、風呂に入ったりしたあと、すぐに眠った。

次の日もいつも通り朝食を食べて、ダンジョンに向かう。今日で護衛兼アドバイス役は4日目だ。あともう少ししかないので、レベル上げを早くしなければ行けないな。

ダンジョンについてすぐに転移石でダンジョンに戻る。セーブされていた位置は50階層、つまり階層主閻魔がいる場所だ。ここに来て、ファイアドラゴンの時と同じ失敗をしてしまったのだ。前の時と同じで、転移した先に閻魔が佇んでいる。今回は流石に瑞希も冷静ではいられなかったようで、慌てて後退していた。


『ここへ何しに来た?』

閻魔が1度目と同じセリフをいう。
流石に2度目の会話は面倒くさいので、返事を返さず、返事で返そう。俺は閻魔の顔の近くまで軽くジャンプをして、首に回し蹴りを食らわす。すると首が爆発音を立てて跡形もなく消える。今回は何も落とさなかったみたいだ。瑞希が参加していなかったからか?
俺は瑞希の方を向いて声をかける。


「よし、次の階層に行くか」

「す、凄いね、あんなに強い閻魔様を一撃で倒すなんて...」

瑞希が珍しく、口を開けてポカーンとしている。俺は今まで色々と失敗してるから力を隠さなくてもいいかなと思っていたが、これは違う意味で隠した方がいいかもしれない。
まあ、そんなことは後で考えるとして、今は取り敢えず次の階層へ行こう。


「瑞希、次行くぞ」

俺がそう言うとハッとしていつもの瑞希に戻った。


「そうだね。行こっか」

そうして俺達は次の階層へ進むことにした。だがここで重要なことに気がつく。


「そもそも下の階層ってあるのか?」

「「あ」」

あまりこのダンジョンについて知らない靉麗と霧月姉以外の声が揃う。


「まあ、まず階段探しだな」

そう言って俺は適当にあたりを見回し階段を探す。だが、どこにもなさそうだ。見える範囲ではないことが確認できたので次は歩き回ってみる。だがそれでも見つからない。


「無さそう───」

俺は壁にもたれて、瑞希達に階段がないことを伝えようとしたが、もたれていた壁がいきなり崩れてしまい、言葉が途中で途切れてしまった。俺は崩れた壁の奥へと落ちていく。
壁の奥には階段があり、かなり深くまで続いていた。そこをゴロゴロと俺は落ちていっているのだ。見た目痛そうだが、ステータスのおかげで全く痛くはない。

しばらく階段を落ちていったあと、一つの空間に出た。そこには唯々大きな空間があるだけだ。俺は何故か瑞希達が来る前に探索を始める。なにか探さなければいけないものがある気がするのだ。俺は何の迷いもなく、大きな空間の真ん中の地面へと向かう。
そこで俺の意識は途切れてしまった。

              


                       ***


「⋯さい、⋯ください、おきてください!」

俺の鼓膜が破れるのではないかと言うぐらいの大きな声によって俺は目を覚ます。
俺は起きてすぐに辺りを見渡し、俺に声をかけた者の姿を探す。だが、どこにも見当たらない。確かに声は聞こえたはずなんだが...。
俺が少し戸惑っているとまたもや声が聞こえてくる。


「ここです、ここ!」

俺の隣から声が聞こえてくる。だが、やはり姿は確認出来ない。幻聴だろうか?
そんなことより、そもそもここはどこなのだろうか?床は汚れ一つ無く、一面真っ白で、上は一面真っ青である。
俺はそれを見て、雲と空のようだなと思った。こんな状況でもかなり冷静でいられるのは何故なのだろうか?
不思議と不安という言葉が全く浮かんでこない。何方かと言えば安心感・・・という方がしっくりくるかもしれない。


俺はそのおかしな感覚に少し不思議を覚えつつも、現状について整理し始めようとするのだった───。

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