努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

五十二話 アンデット系の魔物は気持ち悪いだけだった(改稿します)

俺達は階層主を倒し終えたあと、次の階層へと降りた。ここからは少し早く進むことになった。理由は今の階層の敵はあまり強くなく、更に護衛兼アドバイスの期間が今日を合わせて5日だからだ。一応靉麗と霧月姉のレベルをあげながら進むが、とにかく下の階層に行くことを目的にした。レベル上げなかったら下の階層に行った時に危ないからな。
まあ俺が助ければいいんだけど。
というかそのための俺だし。
瑞希は強いし、敵が弱いくて俺の仕事ないから、受けてる仕事の内容、忘れてたわ。
まあ、助ける時はちゃんと助けるしいいか。

俺達はダンジョンをひたすら進み続けた。
今回の階層のコンセプトは砂漠のようだ。
一面砂で埋め尽くされている。
砂で埋め尽くされた階層では、特に問題が起こらず、順調にレベル上げを出来ていた。
その時俺は仕事なさ過ぎて暇だわー、みたいなことを考えていたが、仕事がないということは、みんなが危険になっていないということなので、暇でよかったのか?と考え直す。

2時間ほどダンジョンを探索したところで30階層に着く。もちろん一本道だ。中に入り、俺とエリスはいつもの場所に行く。どうでもいいが、歩いた感じだと地面は砂で埋め尽くされている。
瑞希はいつも通り真ん中へと歩いていく。
これだけ聞くとすべていつも通りだが、今までと少し変わった点がある。靉麗と霧月姉がいる事だ。その2人は瑞希のうしろをついていっている。今回は3人で戦うみたいだ。真ん中まで行ったところで明かりがつく。戦闘が始まる合図だ。
みんながどんな風に戦うのか楽しみだな。

今回の敵は砂の中から出てきた。
敵はモグラのような姿をしている。
姿は、だけどな。今回の敵も顔が違う。目は殺意に溢れており、何故か口が異常に大きい。そしてその口には大きく尖っている歯が生えている。
どのくらい尖っているかと言うと、鉄ぐらいなら簡単に貫通できそうなくらい尖っている。

その敵を前にして、あとから召喚された組が少しびびっている。だが瑞希はあまりびびっていないようだ。流石は瑞希。
あまりびびっていない瑞希はあとから召喚された組に的確な指示を出している。
まずは靉麗がファイアバレットを敵の鼻をめがけて放った。敵は何故か動かなかったので、靉麗の魔法は無事にあたり敵の鼻を貫いた。だがやはり敵は倒れない。鼻を貫かれた敵は怒りの声をあげる。


『キューーーーーー!』

怒りの声がキューという高い声だったからか、怖いというよりただただうるさい。鼓膜が破れそうだ。俺と一緒で瑞希もうるさかったのだろう。泣き出してすぐに敵の元に走り、相手の首を切り落とした。今回は霧月姉の活躍はなしか。多分瑞希は霧月姉にも攻撃させようとしていたのだろうけど、うるさすぎて倒してしまったって感じかな?
まあ、確かにうるさかったから倒してくれてよかったんだが。
俺は戦闘が終わった瑞希の元に近づくと、瑞希は霧月姉に謝っていた。


「ごめんなさい、霧月さんにも攻撃に参加してもらう予定だったんですが、うるさすぎて倒してしまいました」

「そんな、全然いいよ!それよりも敬語はやめてよ!小さい頃から友達なんだから!」

「ほんとにごめんなさい」

「うんん、全然いいよ!」

「ありがとうございます」

相変わらず敬語だな、と俺は少し笑ってしまう。すると俺の笑い声が聞こえたのか瑞希が俺の方を見てくる。


「なんで笑ってるの?」

「敬語やめないんだな、と思って」

「やめた方がいいかな?」

「うん、やめてくれた方が助かる!」

霧月姉が横から入ってくる。まあ確かにずっと敬語を使われるのはきついよな。これからは勇者仲間として行動することが多いだろうし。


「わかりました。じゃあこれからは敬語を使わないようにするね」

「うん!」

霧月姉が嬉しそうに返事をする。姉ながら、なんていい笑顔なのだろうか。弟じゃなかったら即告白していたレベルだ。
まあ俺の中では瑞希が一番だがな!
そう言えば、最近妹と姉を可愛いとか綺麗とか言ってばかりだな。

誰かに、瑞希が一番じゃないのか?とか思われてそうだから言っておくけど、勿論瑞希が一番だぞ?
というか、血縁と異性に対する好きを比較するのはよくないと思うんだ。血縁に対する好きと、異性に対する好きは別物だと思うんだよ、俺は。え?別物だよな?

まあそんなアホな考え置いておくとして、次の階層へと進む。到達階層の最高記録である、50階層までの道は遠いな。ということでさらに進むスピードを上げてみた。
だが、靉麗は俺の背中にいる。理由は俺達のスピードに付いてこれないからだ。
霧月姉はどうしているかと言うと、俺達に余裕で付いてきている。霧月姉は勇者の特権を持っていてレベルが上がりやすいし、元々スピードが早かったから余裕なのだろう。

そんな感じで少し早めに走ることによって次の階層主がいる35階層へは、1時間でつくことが出来た。一応言っておくと、今回のコンセプトは墓地だった。道中はアンデット系の気持ち悪い魔物ばかりだった 。しかも弱い。なので瑞希は躊躇うことなく倒していた。

まあ、そんな過去の話は気にせず今の話をしよう。今は階層主との戦闘をしている。今回の階層主はグールだ。正直いって気持ち悪い。だがまあ、俺が戦うわけじゃないからいいか。俺が戦わないといけなかったら最悪だったけどな。

俺が気持ち悪、とか考えていると、戦闘が始まった。まずは靉麗が前の先頭と同じで、ファイアバレットを撃つ。だがグールにはあまり効かなかったようだ。
次に霧月姉が敵にかなりのスピードで接近して、剣を振るう。だが、霧月姉の振るった剣は簡単によけられた。
グールは避けたあと、霧月姉へ噛み付こうとした。だが霧月姉は持ち前の速さで、急いで後退した。それと交代するように瑞希が敵に駆け寄る。そして、霧月姉と同じように剣を振るう。今回もグールは攻撃を避けた。
瑞希は攻撃を避けられた後、噛みつかれまいと、急いでグールから離れた。そして次の攻撃へと移った。瑞希は剣を振りかぶり、グールへと走り寄る。もう少しで、攻撃範囲内になる、という所で瑞希がいきなり消えた・・・。そう、消えたのだ。ステータスによって、凄くなったこの動体視力でさえ見えないのだ。俺は驚愕に表情を変えずにはいられなかった。そして、すぐに瑞希を探そうとする。だがその必要はなく、瑞希は消えてからすぐに現れた。グールの後ろ側にだ。瑞希は振りかぶった剣をそのまま振り下ろし、敵を真っ二つに切り裂いた。敵はそのまま倒れて、いつも通り何かがドロップした。
俺は取り敢えず皆に労いの言葉をかけたあと、瑞希にさっきの戦闘のことを聞く。


「なあ瑞希、さっき何やったんだ?」

「さっき?」

瑞希は首をかしげている。本当に分かっていないようだ。


「最後の攻撃の時、消えただろ?」

「あー、それね。あれはね、空間魔法の短距離転移だよ」

空間魔法?あー、瑞希が最初から持ってたスキルか。それに靉麗も持っていたやつか。
めっちゃ便利じゃね?すごい欲しいんですけど!今度靉麗に伝授スキルを覚えさせて教えてもらうか。
そう言えば今更だけど、瑞希強すぎじゃね?
何したらそんなに強くなれるんだ?
なんか俺がこんな事言ったら嫌味に聞こえるな。まあ、今は取り敢えず進むか。


そうして俺達はまた少し進むスピードを上げて、次の階層へと進むのだった───。

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