努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

四十八話 エリスは結構食べる人だった(改稿します)

ダンジョンを出たあと、俺達は特にすることもないので、適当なお店に入ることにした。
お店を選ぶ基準は精神的ダメージを癒せる場所、これだけだ。俺達は取り敢えず、ペットショップによることにした。心の傷を癒すには、かわいい動物を見るのが一番だろう。
ペットショップには、犬、猫、狼、狐、熊、猪などがいた。
最後の4つはペットに出来るのか?と思いながら、ペットショップにいる動物を観察する。この世界の動物は地球の動物と同じような姿をしており親しみがあった。

俺は猫が好きなので、猫をじっくりと観察した。そして、ふと瑞希の方を見た。いや、見てしまった。瑞希は部屋の隅で蹲り、ごめんなさい、ごめんなさいとなにかに謝罪している。俺は何があったのだろうか、と周囲を見渡す。そして俺は瑞希が何故こうなったかの原因を、瑞希のすぐ近くの冊の中に見つけた。そこにはペンギンがいたのだ。しかも、瑞希が倒した魔物にそっくりな。そっくりと言うより、そのままだ。
俺は店選び失敗したな、と思いすぐさまエリスと瑞希を連れて外に出る。
エリスはいきなり連れ出されたことに不満を漏らしている。だが今はそんなのを相手にしている余裕はない。取り敢えず瑞希を何とかしなければいけないのだ。


「み、瑞希、次はどうしよっか?」

俺は慰めたりするのが苦手だ。だから取り敢えず違う話題に持っていこうとした。
だが、瑞希に反応はない。


「瑞希、魔物と動物は別だって。瑞希は良いことをしたんだよ」

俺がそう言うと少しだけ反応があった。
多分、良いことという所が効いたのだろう。


「そうだよね、私いいことをしたんだよね」

「あ、ああ、そうだ」

「そうだよね?」

「ああ」

瑞希の顔に少しずつ、元気が戻ってきた。
俺は安堵の息を漏らす。そして、1分ほどすると瑞希は完全にいつも通りになっていた。
いつも通りの元気よさ、いつも通りの笑顔、いつも通りの可愛さ。それでこそ瑞希だ。
一応言っておくが、別に暗い時の瑞希を否定している訳では無い。ただ暗い瑞希を見たくないだけである。
俺は元気になりつつある瑞希を見ながら、もう一度同じ質問をする。


「で、次どうする?」

「んー、パフェ食べたいな」

パフェか...、俺はあまり好きじゃないんだよな。まあ、瑞希が行きたいと言っているし行くか。


「よし、行くか」

「うん!でもどこにあるかが分からないの」

「エリスなら知ってるだろ」

そう言って俺はエリスに視線を向ける。
だがエリスは何を言っているのか分からない、というような顔で俺たちをみており、更に視線を向けられたことに少し焦っていた。
そんな様子のエリスがやっと口を開くと、まさかの事実が発覚した。


「パフェって何?聞いたことないんだけど。食べたいって言うから食べ物なんだろうけど」

「「え?」」

2人とも驚きのあまり声が出た上に、ハモった。


「パフェ...ないの?」

瑞希が悲しげな顔でエリスに聞いている。
だがエリスは平然とした感じで、聴いたことがないと言っている。


「うそ...でしょ?」

瑞希の目が死んでいる。
そんなにパフェ食べたいのかよ。
そんなことより、今まで地球にあった食べ物はこの世界にもあったから、パフェもあると思っていたんだが。
今までにあったものといえばパスタのパゼタと...、パゼタ?
そう言えばこの世界の食べ物の名前は地球の食べ物の名前と微妙に違う。ということはパフェも名前が少し変わっているだけであるかもしれない。
パフェを少し変えて、パフィエぐらいでどうだろうか?


「なあエリス、パフィエみたいな食べ物ないか?」

「ん?パフィエならあるよ」

「あるのかよ!?」

てきとうに言ってみただけなのに、本当にあるとは...。まあパフェがあった訳だしいいか。


「そのパフィエって食べ物だよな?」

「うん、そだよ」

「じゃあ、パフィエが売ってる店に連れて行ってくれないか?」

「うん、いいよ」

エリスはそう言って、俺と瑞希の前に立つ。
俺はとりあえず瑞希にパフェがあるかもよと伝える。すると瑞希は目を輝かせながら俺に詰め寄ってきた。
そんなにパフェ食べたいのかよ...。
瑞希が元に戻った(いつもより目が輝いている)ところで、パフィエがある店へと歩き出す。しばらく歩いていると、エリスがとある店の前で止まった。店の名前はそのままパフィエ屋だ。パフィエ屋の中は若い女性がほとんどだった。というより、男性が一人もいない。俺はそんな中に勇気を振り絞って突っ込んでいった。

店の中に入ると店員さんが俺達の方に来て、席へ案内してくれるが、時々俺をチラチラと見てくる。更に、周りの客も俺の方を珍しいものでも見るかのように見てくる。
そんなにパフェパフィエを食べに来る男珍しいの?
俺はそんな視線をあまり気にしないようにしながら、案内された席に座る。気にしたら恥ずかしくて死にそうだ。そういえば言っていなかったかもしれないが、俺は恥ずかしがり屋だ。舞台に立つと死ぬ系男子である。

このお店にはかなりの種類のパフェパフィエがあり、瑞希はかなり悩んで選んでいた。だが俺はすぐに決まった。
その名も───ちかぅわパフィエだ。
日本語訳するとちくわパフェである。
俺は1度はちくわパフェを食べてみたいと思っていたので、すぐさまそれを選んだ。

なぜ元の世界で食べなかったかと言うと、ちくわパフェのある場所が遠いからである。
俺は東京に住んでいたのだが、ちくわパフェのある場所は鳥取県なのだ。まあまあの距離があるのだ。しかも俺はまだ高校生だったので、行くとしても大学生になってからにしようと思っていたのだ。
そんなどうでもいい話は置いておいて、早速ちくわパフェを食べる。俺の想像ではあまり美味しくなさそうなイメージである。じゃあなぜ食べるのかと言うと興味本位である。
皆もちくわパフェって聞いたら食べたくなるよね?俺は食べたくなるぞ。
だが食べてみたいが味に期待はしていない。
なんと言ってもパフェにちくわが刺さっているのだ。どう考えても美味しそうとは思わないだろう。だがこのちくわパフェちかぅわパフィエは俺のイメージを覆してきた。


「何これ、おいしい!」

このパフェパフィエはすごく美味しかった。俺の語彙力の無さのせいで説明はできないが、普通に美味しい。今まで不味そうと思っていたことを謝罪します。
すみませんでした、ちくわパフェ様。見た目だけで判断してはいけませんよね、普通に美味しいです。...ここら辺で辞めておこう。完全に変な人である。
俺はそんな馬鹿なことを考えながら、パフェパフィエをぱくぱく食べていった。急がなくてもいいのに、急いで食べたせいで、頭がキンキンする。俺が頭いたーいと独り言を呟いていると、瑞希とエリスに笑われた。というより、周りの客にもくすくすと俺に聞こえないぐらいの声で笑われた。
恥ずかしい、死にたい。俺は顔を真っ赤にして、顔を俯けながら瑞希とエリスの完食を待った。

瑞希とエリスがパフェパフィエを食べ終わってから次にすることを相談する。


「次は何する?」

「今お昼の時間だけどいる?私いらないんだけど」

瑞希はお腹を押さえながら、パフェパフィエがかなりボリュームあったからね、と付け加えた。


「俺も要らないな」

俺もパフェパフィエだけで充分である。


「私は食べたいかな」

「やっぱりみんな要らないよーーーて、エリスさん食べたいの!?」

「え、だってパフィエっておやつだよ?」

「そうだけど、かなり量あったじゃん!?」

瑞希の言葉にエリスはそうかな?と返したあと、指を三本立ててながら後3杯は行けるかな。と言っている。エリスはかなり食べる子のようだ。知らなかったな。俺がエリスの新たな1面に少しだけ驚いていると、俺とは違いかなり驚いた様子の瑞希がエリスに少し叫びぎみに喋る。


「あと3杯って、エリスさんの胃どうなってるの!?これかなりの量だよ!?」

そういえば、さっきからかなりの量や、ボリュームがあった、と曖昧なことを言っているが、具体的に言うと横10センチ、縦20センチぐらいの大きさである。しかもエリスが頼んだパフェパフィエは、アイスの上に果物が沢山トッピングされているのだ。それをあと3杯もいけるというのだ、瑞希の驚きようも分からないでもないのだ。というかそれが普通だ。じゃあなぜ俺は驚かないかと言うと、元の世界にもっとやばい奴がいたからだ。たぶんこれぐらいなら10は余裕で行けるのではないだろうか。
まあそんなことよりも、今はお昼の話だ。


「エリスがお昼食べたいらしいし、どっかの店に行くか?」

「んー、そうだね。これからすることも特にないから行こっか。エリスさん、どんなお店行くの?それによっては私も食べよっかな?」

「どこでもいいんだけど...リァーメン屋がいいかな」

「リァーメン?」

瑞希が首を傾げているが、俺にはすぐになにか分かった。多分ラーメンだ。パフェパフィエの後にラーメンリァーメンって...。まあ本人エリスが食べたいのならいいんだけど。俺は瑞希にリァーメンは多分ラーメンだよ、と言って席を立つ。それに続いて2人も立ち上がり、パフィエ屋を出る。次に向かうはリァーメン屋だ。
リァーメン屋はパフィエ屋から、徒歩1分ほどの場所にあった。リァーメン屋は店というより、屋台のような場所だった。てきとうな場所に座って、ラーメンリァーメンを注文する。さっきの店と同じでこの店もかなりのメニュー数がある。俺はラーメンが結構好きなので、この世界のラーメンリァーメンの味を確かめておきたいので食べてみることにした。
味噌、醤油、豚骨、その他いろいろな味があるが、俺は味噌が好きなので、味噌を頼むことにした。


「すみません、味噌ラーメン下さい」

「ラーメン?なんだそら」

店主に何言ってんだこいつ?みたいな目で見られた。マジで恥ずかしいです。死にそうです。普通に間違えました。ごめんなさい。
俺は顔を真っ赤にしながら小さい声で味噌リァーメン下さい、と言った。
店主は、はいよと言ってリァーメンを作り出す。そして、2人分のラーメンリァーメンが出来た。俺とエリスの分だ。エリスは豚骨ラーメンリァーメンだ。俺は熱そうなラーメンリァーメンをふうふうしてから、口に運ぶ。それはとても美味しかった。噛み心地から、味の濃さ、湯がき具合まで完璧だ。俺は興奮してラーメンリァーメンをふうふうすることも忘れて一気に口の中にラーメンリァーメンを啜っていく。


「あっち!」

ふうふうせずに啜ったせいか、舌を思いっきり火傷した。するとそんな様子を隣で見ていた瑞希が俺に回復ポーションを渡してくる。


「早く飲んで!火傷治さないと!」

瑞希は一々大袈裟である。だが、心配してくれていることがわかるので少し嬉しい。
取り敢えずポーションを飲み瑞希にお礼を言った。ポーションを飲んだことによって火傷は治っており、ラーメンリァーメンの続きを食べることが出来る。俺は今度はゆっくりと、毎回ふうふうして食べることにした。そこで俺は火傷を治してもらった対価という訳では無いが、瑞希に味噌ラーメンリァーメンを食べてみないか聞いてみた。


「なあ瑞希、このラーメンリァーメン食べてみないか?凄い美味しいぞ」

すると瑞希はすごい勢いで食べたいと言ってきた。そんなに食べたいのなら頼めばいいのに。俺はそんなことを思いながら瑞希にお箸を渡す。だが、瑞希は受け取らず可愛らしい口を開いてあー、と言っている。
まさかこれは...、伝説のあーんではないだろうか!?そうだよな!?俺がやっていいのか?いいよな、いいってことだよな!?
俺は少し興奮気味にラーメンリァーメンをお箸でとって瑞希の口へと運ぶ。


「瑞希、あーん」

「あーん」

瑞希は真っ赤になった顔で嫌がる素振りをせずに俺のお箸からラーメンリァーメンを食べている。 もう一度言おう、俺のお箸からだ。やばい、俺、あの瑞希にあーんってしてる。生きてて良かった!そしてもう死んでもいいかも。ついに念願叶って、あーんができた!これは一生忘れない良い思い出だ。死ぬまで覚えているだろう。いや死んでも覚えているかもしれない。


俺はそんな馬鹿なことを考えながら関節キスをしているとも知らずに、残りのラーメンリァーメンを食べたのだった───。

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四十三話、四十六話、修正しました

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