努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

四十四話 魔法師団長は伝授スキル持ちだった(改稿します)


「リョウタさんの勝ちです!」

魔法師団長が大きな声でそう言った。
勝利宣言がされた後、戦闘不能になった騎士団長が部屋に運ばれて行った。
俺はその様子を見て少しやりすぎたかな、と思ったがまあ死んでいないのでセーフだろうと考えを変えた。

俺はまた暇になったなと思い何をしようか、と考えていると魔法師団長が近づいてきた。そして俺に話しかけてくる。


「リョウタさん、強くなりましたね。最後の攻撃全く見えませんでしたよ」

「ありがとうございます」

「ところで、魔法は上達しましたか?」

「はい、少しだけ」

俺はそう言ってファイアボールを撃つ。
なぜファイアボールかと言うと、1番わかりやすいからである。MP量が多ければ多いほど、魔法の威力が上がる。そして、魔法の威力がわかりやすいのがファイアボールなのである。
魔法師団長は俺が撃ったファイアボールを見ておぉ、と言っている。俺はファイアボールを消す。


「凄いですね!かなりの威力でした!本当にこの1週間ちょっとの間に何があったんですか?」

「まあ、色々ですよ」

魔法師団長は俺の魔法に感嘆しているが、俺としては苦労せずに手に入ったものなので、素直に喜べない。
だから、魔法師団長の質問への返答も曖昧なのだ。真面目に努力して手に入れたら言ってたかもしれないんだけどな。
だが、魔法師団長は俺の返答に、ものすごい事が起こったんでしょうね、と言ってそれ以上聞いてこなかった。
魔法師団長はしばらく考え事をした後に、何故か俺に


「何かスキルを教えて欲しい、とかありませんか?私伝授スキル持ちなんですよ」

と自慢げに言ったきた。
俺は何のスキルが欲しいだろう、と考える。欲しいスキルは結構あるが、全部教えてもらうわけには行かないので、今最も必要なスキルを考える。

俺は今の所、困ったことはほとんど無い。
そしてダンジョンで魔力を感じ取れなくて困ったが、それは瑞希が教えてくれるので今教えてもらう必要は無い。
俺はんー、と唸りながら考える。そこで俺は一つ覚えたいものがあったのを思い出した。


「魔法師団長さん、俺伝授スキル覚えたいです」

そう、俺は伝授スキルを覚えたいのだ。伝授スキルを覚えていれば、俺の欲しいスキルを持っている人に伝授スキルを教えて、伝授スキルを使って俺が欲しいスキルを教えてもらうことが出来る。スキルを教える商人は涙目である。


「伝授スキルを教えて欲しいですか...、教えてもいいですが、1つ条件を出させてもらいます」

「条件ですか?」

俺は首を傾げながら尋ねると魔法師団長は、はいと短く答えて条件を提示してくる。


「伝授スキルを他の人に教えないことです」

「え!?」

魔法師団長の条件では俺がしようとしている事ができなくなる。


「なんでダメなんですか?」

「伝授スキルを持つ者が増えたら、伝授スキルで商売をしている人が職を失ってしまう。それを避けるためですね」

俺はなるほど、と頷く。確かに伝授スキルを色んな人に教えたら、商売をしているものが職を失ってしまうだろう。

俺はなんとかして人に教えられないかな、と考えていたが無理そうだなと思い条件を飲むことにした。


「分かりました。他の人には教えません」

「そうですか、ならば教えても大丈夫でしょう」

魔法師団長はそう言って俺に伝授スキルを教えてくれた。伝授スキルを覚えて初めて知ったのだが、スキルを覚えるためには魔力を使って何かするらしい。

例えば、前に覚えた隠蔽スキルは魔力で全身を覆った。今回の伝授スキルは魔力を脳内に集中させると入手できた。その他のスキルの取得方法を解析してみても、全て魔力関係だった。そこで俺は思った。

 魔力をてきとうに使ってたらスキルを入手出来るのではないか、と。

俺は魔法師団長にこのことを話すと、そんなこと考えたことがなかったからわからない、とだけ言われた。もしかすると出来るかもしれない。今度暇な時に試してみようかな。

俺は残りの時間は魔法師団長とずっと話していた。魔法師団長には話せることは話し、面倒くさくなりそうな事は隠す戦法をとっていた。
しばらく話していると、瑞希とエリスが近づいてきた。どうやら練習が終わったらしい。
俺は魔法師団長にありがとうございました、と言ってエリスと瑞希の方へ行く。
エリスは近づいてきた俺に気がついたのか、俺の方へ来て、感心したような声で話し始めた。

「ミズキさんすごい強いんだね」

俺は内心
(当たり前だ、なぜなら瑞希だからな)
と思ったが、言葉に出したのは


「へー、凄いな」

である。俺がそう言うと瑞希が少し頬を膨れ上がらせていたのでもう少ししっかりとコメントをする。


「流石は瑞希だな。うん、流石だ」

俺がそう言うと瑞希は嬉しそうになった。
だが、俺はそんなことを言うために瑞希達の所に来たわけではない。
次の予定を聞こうとしたのだ。


「瑞希、次は何をするんだ?」

「夕飯を食べに行こうと思うの」

「早くないか?」

「早くはないでしょ。もう7時だよ?」

「もうそんな時間なのか」

俺の気分ではまだ3時である。
正直ちょっと驚いた。
だが魔法師団長との話がそれだけ楽しかったということなので、俺はまた今度魔法師団長と話すかと考えた。


俺はそんなことを考えながら、瑞希にじゃあ夕飯食べに行くか、と言って練習場を出ていくのでだった───。

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三十六話、修正完了しました

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