努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

三十八話 階層主は五月蝿いだけだった

この階層の敵は水たまりになっているウォータースライムだけらしく、ひたすらファイアボールをウォータースライムに打ち続け、蒸発させていくだけだったので何も面白くなかった。それに、こんなのを倒していたところで瑞希の訓練にもならないだろう。そこで、少しでも早くしたの階層へ行くために少し提案をしてみる。

「なあ、少し走らないか?」

「なんで?」

「今の階層は見ていて面白くないし、瑞希の訓練にもならないから、早く下の階層に行きたいと思って」

「んー、そうだね。少し走ろっか」

瑞希はそう言って軽く走り出した。俺とエリスはその後を追いかける。

15分後、階段をで見つけることが出来た。走ったおかげかな?

俺達は軽く走ったまま下の階層へ降りて行く。すると、下の階層は今までの階層とは全く違うものだった。そこは見える範囲でひたすら一本道が続く階層だったのだ。

「なあエリス、この階層今までとなんか違うくないか?」

「うん、違うよ。この階層は階層主のエリアだよ」

「階層主?」

よくゲームとかであるやつか?と予想をつけつつも念のため聞いてみる俺。

「階層主は5階層毎にいて、その階層は主の部屋まで一本道が続いてるの。しかも、主がいる部屋以外には魔物は湧かないんだよ」

「へー、そうなのか」

ゲームでよくあるようなやつと同じか。
因みに、エリスによると階層主は確認されてるだけでも10体いるそうだ。つまり、このダンジョンは50階層はあるという事だ。
10体もいるとなるとなかなかに面倒だが、依頼なので仕方ない。

「ところで、ここの階層主はどんなのなんだ?」

俺が聞くと、エリスは、んーと唸っている。
階層主を思い出そうとしているのだろうか。エリスの様子を見た瑞希が私の出番だ、とでも言いそうな顔で俺とエリスに近寄ってくる。そして予想通り階層主の話を始めた。

「ここの階層主はミノタウロスだよ。涼太ならどんなのかわかるよね」

「俺の想像してる、人型の牛頭の奴であってるならな」

「うん、あってるよ」

「そうなのか」

俺はファンタジー小説の魔物の知識はこの世界で役に立つんだな、と少し驚いたがスライムもファンタジー小説と一緒か、と思い驚きが半減した。


10分ほど軽く走っていると、目の前にかなり大きな扉が出てきた。扉には大きな文字で5階層とだけ書かれているだけだ。多分この扉の奥が階層主の部屋なのだろう。

瑞希は扉の近くに着くやいなや、扉を押して開き、中へと入っていく。
中は明かりが無く真っ暗だった。

俺達も瑞希に続いて取り敢えず中に入ると、扉が勝手に閉じた。だが俺達は特に気にしない。正直まだ5階層なので心配いらないだろうという考えだ。

中に入ってすぐに俺とエリスは瑞希の邪魔にならないように部屋の端の壁にもたれ掛かる。瑞希の戦闘の邪魔にならないように端へ寄っているのだ。

瑞希は俺達が端へ寄ったのを確認すると、部屋の中央へと進んでいく。
瑞希が部屋の中央のあたりに着いたところで、部屋の壁が光り始め、部屋の中を見渡せるようになった。初めての階層主の部屋なので、挙動不審の人のようにキョロキョロと周りを見てみるとこの部屋はかなり広い闘技場のような場所だった。

俺達が入ってきた扉の方向とは逆にある扉の前には人型の牛頭の魔物が片手に斧を地につけて持って佇んでいる。そしてミノタウロスが斧を掲げると同時に、咆哮する。

『うぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁ』

咆哮は部屋全体に響き渡り、かなりうるさかった。逆に言うと、うるさいだけだった。小説等では相手が怯んだりするが、そんなことはこいつに限ってはなかった。本当にただただうるさいだけだった。

俺がそんなどうでもいいことを考えている間に、叫び終えたミノタウロスが走って瑞希に近寄る。瑞希は剣を構えてミノタウロスが近づいてくるのを待っている。

俺はそこで初めて気づいたが、瑞希の剣をよく見てみると、どこか神々しく、美しい剣だった。俺は小説とかで良くある、聖剣とか神剣とかかな?とか思いながら後で聞いてみようと心に決めて瑞希の戦闘を観察する。

瑞希は自分とミノタウロスとの距離が10mという所で動き出した。瑞希はミノタウロスの正面まで走って移動した。

瑞希が近づいてきたのを確認したミノタウロスは斧を振りかぶり、瑞希を叩き切ろうとする。だが、瑞希は全く気にしていない。瑞希はミノタウロスの首だけを見ている。
瑞希はミノタウロスが斧を振りおろそうとしたタイミングで首をめがけて突っ込んでいき、ミノタウロスの首の前で剣を横薙ぎに払った。その1振りだけでミノタウロスの首は血飛沫を上げて飛ぶ。
俺がその様子を見て瑞希つぇー、と思っていると瑞希が俺とエリスの元へ近寄ってくる。

「終わったよ」

「ああ、そうだな。瑞希強いな」

「なに?嫌味?」

「いや、違うって。普通に思ったことを言っただけだから」

俺は瑞希の頭の上にぽんと手を乗っける。すると瑞希の顔が少し紅く染まった気がした。そんな様子を見ていたエリスが俺と瑞希に話しかけてくる。

「ボスがなんかドロップしてるよ」

「あ、ほんとだ。私ちょっと取ってくるね」

瑞希はそう言ってドロップ品を取りに行った。瑞希はそれを手に持って戻ってくる。
そして手に持った物を見せながら、どんなものかを説明してくる。

「なんか、完治のポーションとかいう名前で、怪我や病気、体力、魔力を全回復させるポーションだって。使い方はポーションを飲むだけだって」

「おお、凄いな。と言うか、なんでそんなの分かったんだ?」

「あれ?涼太はステータス鑑定スキルの能力知らないの?」

「ん?ステータスが確認できるやつだろ?」

「それもあるけど、鑑定と言ったら武器とかアイテムとか他人のステータスも鑑定できるんだよ」

「そんな力があったのか。凄いんだな」

俺がステータス鑑定スキルの力に感嘆していると、エリスが叫び気味に俺と瑞希にうったえてくる。

「なんでポーションの話一瞬で終わらしてるの!」

「いや、ちゃんと反応しただろ」

「そうだね。説明したしいいかな?と思って」

「完治のポーションなんか、伝説の中でしか聞いたことないのよ!そんなものがあったとなればどうなる事か!」

「ふーん。結構凄いんだな、これ」

俺はそう言いながらポーションをじっくりと見つめる。

「凄いどころじゃないんだって!」

「そうは言われてもな、異世界人にとったらあまり凄さがわからない」

「確かにそうだね。凄いことはわかるけど、それだけだね」

俺と瑞希がそう言うと、エリスははぁ、とため息を吐き説明することを諦めたようだ。
俺達は階層主を倒した後に開いた扉の先の階段を降りる。降りた先の6階層は今までの階層とは全く違った。まず、天井までの高さが8m近くある。そしてダンジョンの中に草木が生えているのだ。


俺は飽きつつあったダンジョンが一変したことに少し期待しつつ、エリスと瑞希と楽しく話しをながらダンジョンを更に進んでいくのだった───。


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最近タイトルに改稿します、と書いていますがその理由を少し話したいと思います。
元々この小説は小説家になろうにて連載しており、(改稿します)と付いているものは小説家になろうのものをそのままコピペしているので、少し内容が変だったり、性格が違ったり、必要な話が入っていなかったりと色々不備があります。

それらを修正したいのですが、今は少し忙しいので、取り敢えずタイトルに改稿しますと書いています。

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