努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

二十七話 イケメンによる治療は一瞬だった

骨折をしている人が馬車にいると伝えると、おじさんが骨折を治療できる人を呼んできた。

「骨折している人はどなたですか?」

かなり若めの男性だ。しかもイケメン。何なんだこいつ爆発しろとでも言ってやりたいが、治療してもらう側なのでそんなことは言えない。

「馬車の中にいます」

「分かりました」

イケメンはそう言って馬車へと入っていく。ロイエ以外は馬車の外に出ているので、誰が骨折しているかはすぐにわかる。男性はロイエの近くに座って魔法名を唱えた。

「ハイヒール」

イケメンボイスで唱えられた魔法名がみんなの耳に届くと同時、ロイエの体が光に包まれる。
数秒後、光が徐々に収まっていく。

「どうですか?」

その言葉を聞いて、ロイエは足を曲げたり伸ばしたりしている。
何度かそうして、うんと呟いた。

「痛くないです。治療してくださってありがとうございました」

「いえいえ」

イケメンは治療が完了したのを確認すると、馬車を降りた。

「治療は終わりましたので」

「ありがとうございます」

俺達は頭を下げる。流石にレイアは下げていないが。

さて、治療は終えたし、次は街のことだな。街の人は教会内に全員いるのだろうか?
教会に来るときも、ゴブリンとの戦闘に行く向かっている時もしっかりと確認していたが、街の人はいなかった。ほかの場所に居るのなら助けにいかないといけない。

「住民は皆ここにいますか?」

「はい、全員いますよ」

それなら良かったと安堵する。
聞いておいてなんだが、こんな小さな教会に全員入るのだろうか?
ここの教会の大きさは土地が余っているからか、かなり大きいがそれでも人数はそんなに入らないだろう。
俺のそんな考えが伝わったのか、おじさんが口を開いた。

「この街はそこそこの広さがありますが住民が少ないんですよ。どちらかと言うと中継地点として使われているんです。なのでこの教会内に収まっています」

「そうだったんですか」

なるほど、そういうことか。
住民は少ないが、中継地点として人が来てくれるのならお金は稼げるというメリットがあるな。

まあそんなことは置いておいて、この後どうするか考えよう。
この街の手伝いをするのもありだが、依頼にも行かなければいけない。

「エリス、用事は済んだがどうする?」

「そうだね...この街の復興も手伝いたいけど、依頼にも行かないといけないし…」

「そうなんだよな。どうしたものか」

どうしようかと悩んでいると、ロイエが声をかけてきた。

「リョウタさん達は依頼へ行ってください。私達はここでお手伝いしておきますので」

「いいのか?」

その提案は嬉しいが、ロイエ達もする事はあるだろう。
だがロイエがみんなに確認をとると、即答でいいよと皆が言った。
いいパーティーだなと思う。

「それじゃ、頼んでもいいか?」

「はい、任せてください」

「じゃ、頼むな。ありがとう」

いい人達だな、俺と違って。
さて、頼んでもいいと言われたしヒュドラの討伐に行くか。
俺は馬車の方へと歩き出す。
すると後ろから待ったがかかる。

「リョウタさん!頼み事があるんですが...」

「なんだ?」

「私達、馬車がなくなってしまったので、依頼の帰り迎えに来てもらうことって出来ないですか?」

この街のことを頼んでるし、それぐらい全然いいだろう。エリス達にも確認するがもちろん全然いいよ、という返事が返ってくる。

「わかった、迎えに来るよ」

「ありがとうございます!」

俺はロイエ達にまたな、と一旦の別れの挨拶をしたのだった───。

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