努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

二十六話 住民達は教会だった

教会の周りにいる敵は相変わらずのゴブリンだ。扉をどんどんと棍棒で叩き、中へ入ろうとしている。所々扉に穴が空いており、もう1回り大きな穴が開けばゴブリンが入れる大きさになる。

その様子をみて、間に合ってよかったと安堵しつつもゴブリンへと向かっていく。

軽くゴブリンのところへと走るがやはり俺の速度に反応できる訳がなく、剣を一振りするだけでドサドサと倒れていく。
今回は数が少なかったので数十秒で教会の周りのゴブリンをすべて倒し終えて、馬車の到着を待つ。

「お疲れ様」

御者台のエリスから労いの言葉をかけられる。俺はおう、とだけ返事をして教会の扉をノックする。

「冒険者をしているものです。周囲にいるゴブリン達は倒しました」

中に向かってそう宣言すると、扉がキーと音を立てながらゆっくりと開いた。

開いて少しすると、安心したのか中にいたもののほとんどがペタリと倒れ込んだ。確かに扉をずっと殴られていたら怖いよな。

俺は心の中でお疲れ様、と呟いた。その直後、扉を開けてくれた人が声をかけてきた。

「助けていただき、ありがとうございます」

見た目50代ぐらいの白髪のおじさんが頭を下げた。

「頭を上げてください。私達は当然のことをしただけです」

レイアがおじさんの頭を上げさせる。というか、当然のことをしただけってレイアは何もしていないだろ。

と声に出さずにツッコミつつも、俺もおじさんに頭をあげるようにいう。

するとおじさんはゆっくりとだが頭を上げた。そしてそのまま固まった。理由はまあわかるだろう王女様ーーー

「え、エリス様!?」

じゃなかった。エリスってやっぱり有名なのか。俺はエリスにちらっと視線を向ける。それに気づいたエリスはどこか居心地が悪そうだった。

「様づけは辞めてください」

エリスはおじさんにそう言った。だが、おじさんはその言葉を否定する。

「様づけでないと、皆の恨みを買ってしまいます。なのでこのまま様づけで呼ばせていただきます」

「そんな...」

どこか嫌そうな顔をするエリス。
様付けがそんなに嫌なのだろうか?

「エリス、諦めろ」

「うん...」

エリスは不本意そうだが諦めたようだ。そう言えば、なにか用事があった気が...あ、治療だ。

「すみません、この中に骨折を治療できる方はいませんか?」

「骨折ですか。居ますよ」

「そうですか」

よかった、治療できる人が居て。
居なかったら、治せる者を探すために次の街に移動する間、ロイエの骨折が痛むからな。
やっと治してあげられる。


こうして無事ロイエの治療ができることになったのだった───。

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