努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

二十話 皆の中ではしっかり王女様だった

ロイエがエリスと話せるということに浮かれている中、ほかの3人のパーティーメンバー達はずっと黙っている。

「どうしたの?なんか、すごい静かじゃない?」

流石に疑問に思ったのか、ロイエが皆に問いかける。だが、誰からも返事がない。
このままでは誰からも返事が返ってこないと悟ったのか、ロイエがラウラの耳元に顔を近づける。

「なんで返事してくれないの?」

そんな言葉を聞いたラウラが今度はロイエの耳元へと顔を近づける。

「今、前に王女様がいるんだよ」

「王女様?」

ロイエはそう呟きながら視線をラウラから移していく。
そして、前を向ききった瞬間、すごい速度で口元を両手で覆い、目を見開いた。

「お...王女様...」

細々とした声がみんなの耳に届く。

「やっと気づいてくれましたか」

レイアは悲しそうに呟き、小さくため息をつく。

「わたくし王女なのに、すごい空気だったんですけど」

「そんなことないだろ」

「いえ、そんなことあるんですよ」

レイアはまた小さくため息をつく。
確かに空気だったが、レイアは何もしていないし仕方なく無いか?

というか、さっきからみんなが静かなのはレイアのせいだったのか。確かに王女様が近くにいたら緊張するわな。
じゃあ皆に少しでも気を楽にしてもらえるようにしよう。

「レイア、今はみんな気を楽にしていいよな。いくら空気だからといって、みんなが緊張しない訳では無いからな」

「全然いいですけど...リョウタさん酷いですね」

「まあまあ」

と言うより、レイアは気を楽にしていいと言ってくれるとは思ってたけど、やっぱりなんか軽い気がするな。まあ、気にしてはいけないだろう。

「レイアの言った通り、皆気を楽にしていいぞ」

俺はみんなの緊張を解くために言ったつもりなのだが、皆は相変わらずカチンコチンだ。

少し変わったとすれば、少しこそこそ話が聞こえるようになったところだ。
そんな様子を見かねた王女様が口を開いた。

「楽にしてください。これは命令です」

馬車に乗っている俺を除いた皆が、命令という言葉を聞いた瞬間、皆楽な姿勢をとり、緊張を緩めた。

「さて、皆の緊張がほぐれたところで、少し質問をしたい」

「質問ですか?」

「ああ、ワイバーン達の話だ」 

「あぁ、なるほど」

俺の言葉にパーティーメンバー全員が納得する。

「何であんなにワイバーンがいたか分かるか?」

これがとても不思議で仕方ないのだ。ワイバーンは普段沼地に住居を置いていて、ほとんどそこから離れることがない。
なので、ワイバーンは基本このように森に来たりすることは無い。

だが、稀に沼を抜け出して森に来たり、街を襲ったりすることがある。これは本当にたまにしかない。

逆に言うと、たまにはあるのだ。
なら、今回の件もたまにあることでは?と思うかもしれないが、今回はそんなものとは違う。
何が違うかと言うと、ワイバーンの特徴と合わないというところだ。その特徴は二つある。

一つは、ワイバーンは一つの沼に多くて10体しかいないというところ。

一つは、ワイバーンは基本1体で行動するというところ。

この二つの理由から、今回は何かが違うと分かったのだ。
普通に考えても、ワイバーンが50体いれば普通ではないとはわかるけども。

普通ではないからこそ、俺はこのワイバーン達が、どこから湧いてきたのか、何故集団行動をしているのか、不思議で仕方ないのだ。

だが、やはりと言うべきか、ロイエ達は首を左右に振った。

「私達もわかりません。あそこの森で薬草を採取していたら、なにか聞こえてきたので、森の開けた方へ出たらワイバーン達がいて、襲われたんです」

ロイエはその時の様子を思い出したのかブルりと震えた。

俺は疑問を解消できないことに、少し不満を覚えながらも、仕方ないかと諦めるのだった───。

「努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く