努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

十六話 敵は森の中だった

馬車を走らせる前からだが、声の聞こえた方向には、森が見えている。

「あの森の中かな?」

独り言のように呟いた俺の言葉にエリスが返事を返してくれた。

「たぶんそうじゃないかな」

俺は、その返事を聞いて森の中へと馬車を走らせる。

普通、森の中に入るなら馬車は置いていくだろと思うかもしれないが、意外と開けていたので、そのまま突っ込んだのだ。


少しの間馬車を走らせていると辺りからバキバキと木が折れる音が聞こえてきた。

「これ、何かいるよな?」

声を潜めてエリスに問う。

「たぶんいるね。しかも、叫び声が聞こえた方向にね」

今回は盗賊じゃなくて、魔物なのか?それならやばいな。

盗賊は人だから殺すまでに時間をかけるが、魔物はそんな事しない。見つけたらすぐ殺す。それが魔物だ。なので、もっと急がなければならない。

だが、馬車に乗っていてはこれ以上のスピードが出ない。

「エリス、御者を頼めるか!」

「うん、リョウタはどうするの?」

「俺は先に行ってくる!」

「わかった!」

俺は馬を止めて、飛び降りる。
馬車から出てきたエリスに馬を渡してから、俺は走る準備をする。
準備と言っても身体強化だけだ。

『身体強化』

これで、さらに早く着くことが出来る。俺は全力で走り始めた。

今、レイアは馬車にいて、多分俺を見ているだろう...たぶん見えてはいないだろうけど。


つまり何が言いたいかというと、俺がステータスを隠蔽していることがバレるということだ。
だが、それでも人の命は救わなければいけない。

ちなみにだが、レイアに見せた隠蔽後のステータスはこれだ。

山田 涼太

Lv.30

HP 33000
MP 3300
STR 3800
DEF 3700
AGI 3300

一応これは、ステータスとレベル、どちらとも下げている。

ちなみに、このステータスの付け方はLv.1の時点のステータスに3を付けた。考えるのが面倒だったのだ。

さて、そんなことよりも早くつかなければ、俺はそう思いさらにスピードを加速させた。


枝木を避けたり、折ったりしながら進むこと数秒、森の開けたところに人の姿が見えてきた。

「まだ生きていそうだな」

俺は安堵の息を漏らす。
だが、その安心も束の間、俺はすぐに戦闘準備に入る。

「これ、俺じゃなかったらやばかったよな...」

誰にも聞こえないような声でつぶやく。
だが、本当に俺じゃなかったらやばかったと思う。

なぜなら、敵の数は50体程。
そして、敵はーーー
 
                     
ーーーワイバーンだ。

ドラゴン種の魔物であり、Bランク冒険者が5人で一体を倒すような強さ。
つまり、キマイラと同等の強さということだ。それが50体、普通なら絶望的だろう。

だが、俺にとっては絶望でもなんでもない。何故なら、あの異常なステータスを見たからだ。


俺はこれから始める戦闘に胸を昂らせるのだった───。

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