努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

十五話 御者は面倒だった

なにか言い訳を...と考えていると、先にレイアが口を開いた。

「リョウタさん、リョウタさんはエリスさんより強いんですか...?」

やはりその質問だよな。
どうしようやって誤魔化そうか。
たまたま勝てた、それではダメだ。...いや、いけるかもしれない。

「偶偶勝てたんだよ」

「Sランク冒険者に偶偶で勝てるとでも?」

予想通りそこをついてくるな。

「ステータスを見てみるか?」

「はい、かなり高いのでしょ?」

レイアの言う通り、本当はかなり高い。そのステータスをそのまま見せれば、偶偶ではないとばれる。だが、隠蔽でステータスを変えて表示させれば、誤魔化せるはずだ。


俺はレイアに隠蔽したスキルを見せる。するとレイアは、目を見開いた。

「本当にこのステータスなんですか?」

「ああ、そうだが?」

今の俺の隠蔽スキルのレベルは7なので、そうそう見破られないはずだ。

「鑑定スキルを使っても、このまま表示されていますし、本当にこのステータスなのでしょうけど...」

レイアは鑑定スキルを持っていたのか。たぶん、これで俺がたまたま勝てたと確信してくれたはずだ。

さて、きりもいいしもう1度馬車を走らせるか。
レイア達に馬車に乗るように指示をして、俺は御者台に乗る。
最近、御者をやり続けていて思ったのだが、御者はかなり面倒くさい。地味に疲れるし、1人だし、お尻痛いし。本当に面倒だ。

俺は、そろそろ変わってほしいなと思いながら、馬車を走らせるのだった。



2時間ほどたち、日が傾き始めた頃、どこからか女性の声が聞こえてきた。

「キャーーー!」

完全に叫び声だ。

「リョウタ、今の叫び声だよね」

少し焦り気味に聞いてくるエリス。

「そうだけど、どうしたんだ?」

「この辺りでは、魔物は絶対に湧かないの。となると、叫ぶ理由は二つしかない」

「二つ?」

なんとなく予想はつくが、一応聞いてみる。

「一つ目は、外から来た魔物がいるということ」

もちろんその可能性はあるだろう。だが、この辺りではもう一つの可能性の方が高い。

「二つ目は...人に襲われたという可能性」

小説でよくある盗賊とかそういう部類だ。この世界にももちろん存在し、非道な行為を繰り返している。

「急いだ方が良さそうだな」

手遅れになる前に行かなければ。

俺は声の聞こえた方向へ、馬車を急いで走らせたのだった───。

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コメント

  • ちゃんまん

    エリスがウザイキャラになってきたな。

    2
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