努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

十二話 レイアはアホだった

俺は、レイアをギルド長室に一旦放置して、エリスを呼びに行く。

受付の方まで出てくると、受付の近くにエリスが座っているのが見えた。

「エリス、ちょっといいか」

「あ、リョウタ」

エリスは俺に気がつくと、すぐに駆け寄ってきた。

「話は終わったの?」

「ああ、それよりも頼みたいことがある」

「頼みたいこと?」

「ああ、実はなーーー」

俺は、レイアと何があったかを簡単に話した。

「王女様が、私達の依頼に同行!?リョウタ何考えてるの!?危険すぎるでしょ!」

これは、エリスが俺の話を聞いた後に、最初に発した言葉だ。

俺もそう思うんだが、レイアが許してくれない。俺はなんとかエリスを説得する。

「仕方がなかったんだ。王女様からの命令だぞ?」

「うぅ」

エリスは小さく唸った。まあ、誰でもそうなるよな。責任が重すぎるしな。

だが、王女様の『命令』というのが効いたのか、エリスは仕方なく納得して、人払いを開始してくれた。

俺はその様子を見て、レイアを連れてきて大丈夫そうだなと思い、ギルド長室へと戻った。

周りで誰が聞いているかわからないので、一応ノックをして、名を名乗ってから扉を開ける。

「涼太です」

「どうぞ」

俺は扉を開けて、レイアに準備が終わったことを伝える。

「そうですか、ありがとうございます」

レイアはお得意の笑顔でにっこりと笑う。
だが、俺には瑞希がいるのでそんなものは効かない。
...まあ、悪い気はしないが。

さて、そんなことは置いておいて、ギルド長室を出る。
もうそろそろ通れるようにはなっているだろう。


受付の方へ出ると、エリスが人払いを終えて待機していた。

「エリス、お疲れ」

「うん、所でさ、依頼は何受けるの?」

あ、完全に忘れてた。何を受けようかと、俺が考えていると後ろから叫び声が聞こえてきた。

「え、え、エリスさん!?」

俺の後ろにいるのはもちろんレイアだ。そんなに叫ぶほどのことなのだろうか。

「リョウタさん、エリスさんとパーティーを組んでるんですか!?」

レイアは俺に詰め寄って質問してきた。
かなり近い。これは瑞希一筋の俺でも少しきついな...。

と、そんなことよりもレイアが叫んだからか、先程まで静かだった遠巻きがザワザワとし始めた。
これはあまり良くないな。

王女様がここにいることがバレるかもしれない。
そしたら大騒ぎになり、必然的に俺が目立つ。

それは本当に良くない。エリスの事は後で説明するとして、さっさと依頼を受けて外に出るか。

俺達は急いで依頼を見に行く。
さて、何を受けるか。
レイアがいるからあまり難しいダンジョンはダメだ。

できるだけ簡単で、それでいてやる意味のあるもの。

そう考えて依頼を探していると、隣でレイアが見つけましたー、と叫んだ。

「何を見つけたんだ?」

「依頼です」

嫌な予感がするが、一応聞いておこう。

「どんなのだ?」

「ヒュドラの討伐です」

予想的中だ。このアホレイアは適正ランクBの依頼を持ってきやがった。

いくらSランクがいるからって王女様をBランクの討伐依頼につれて行けるわけないだろう。

俺が頭の中でそう考えていると、エリスが何を思ったのか、ヒュドラ討伐の依頼を受けに行こうとしていた。

「ちょっと待てー!」

俺は思わず叫んだ。こいつらは馬鹿なのか?

「どうしたの?リョウタ」

「なんで受けようとしてんだよ!」

「王女様が受けたいとおっしゃったからだよ?」

エリスはさも当然かのように言った。そして、当たり前でしょ?みたいな目で俺を見てきた。

「いや、王女様が言ったからと言って、Bランクの討伐依頼に連れていくのは危険すぎないか?」

「でも、王女様が受けたいとおっしゃったから...」

あぁ、もうダメだこれは。
仕方ない、受けるしかないか。

「わかった、受けよう」

「うん、依頼受けてくるね」

俺は大きくため息をついた。
その様子を見ていたレイアが俺に話しかけてきた。

「溜息をつくと、幸せが逃げちゃいますよ?」

レイアのせいだろ!とツッコミたかったのだが、周りの目があるので、何とかこらえる。
俺ってこんなキャラだっけ?

まあ、そこは気にしたら負けか。
俺がもう一度そこでため息をつくと、エリスが依頼を受けて戻ってきた。

「依頼受けたから、早速行こっか」

「あぁ、そうだな...」

こうして俺は、ヒュドラの討伐に向かったのだった───。

「努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く