努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

沖 那紗加

五話 パーティー登録は面倒だった

女性が俺に降参することを進めてくるが、俺は降参するわけにはいかない。

俺はまだ捕まるわけには行かないのだ。折角の異世界を牢屋で過ごすなど絶対に嫌だ。
なので俺は女性の提案を断る。

「残念だが、それは無理だ。俺は捕まるわけには行かないんでね」

「でも、武器ないじゃない。どうするつもり?」

確かに俺の剣は真っ二つにされた。だが武器の1つである剣が使えなくなっただけだ。武器は1つだけではない。まだ武器はある。
それはーーー拳だ。素手だ。
俺は武器、いや拳を構えた。

「武器は俺の拳だ」

「いきなりすごいこと言い出すね。馬鹿なの?私の武器は剣なのよ?手で受け止めたら手がなくなるわよ?」

「ならば躱せばいい」

「さっきまで全く躱すことが出来なかったやつが何を言ってるの?」

「さっきはさっきだ。今は違う」

「そう、じゃあ遠慮無く行くから」

女性はそう言った後剣を構え直した。
そして女性はこちらに歩いてきた・・・・・。正しく言うと歩いているように見える、だが。女性は俺の横側に回り、俺を切りつけた。
だが、振り下ろされた剣は俺から見るととてもゆっくりで、簡単に剣を横から殴れた。

するとパリンという音がなり剣が粉々に割れた。パリンと音が聞こえた直後またしても脳内に直接


『スキル 体術 Lv.0を入手しました』

と響いた。
俺はLv.0で入手するのは2度目なので、気にせず戦闘に集中する。

女性を見てみると、何が起こったのか分からないといった顔で粉々になった剣をじっと見ていた。

「何をしたの!?私の攻撃が見えるの!?」

女性はすごく驚いた様子で聞いてきた。だが、俺には説明する義理もないので適当にあしらうことにした。

「偶々だ偶々」

「そんな分けないでしょ!」

「そんなことより、武器無くなったんだから降参しろよ」

「嫌よ」

女性が俺の提案を断ってきたので俺はそうか、と呟き一瞬で女性に近づく。そして相手の喉元に手を突きつける。

「お前の負けだ」

俺は女性の耳元で敗北を告げた。
すると女性は膝から崩れ落ちた。

「あなた、何者なの?」

「さっきも言ったがFランク冒険者だ。それよりそっちこそ何者だ?」

「私も冒険者よ、Sランクのね」

女性は俺の質問にそう答えた。
俺は予想していなかった答えが返ってきたので、口をぽかんと開いて固まった。
数秒後無事復活してSランク冒険者の女性について考える。

Sランク冒険者というのはこの国に5人しかいない。
そしてその冒険者が勝敗で逃がすか逃がさないか決めると言った。

つまり、この女性は元々俺を逃がすつもりは無かったということだ。だが、俺は勝った。
という事で逃げようと思う。俺が逃げる素振りを見せると女性が大きな声で叫んだ。

「待って!」

俺は流石に待たないのも悪いかと思い、立ち止まる。
女性の方を向いて、なんだと聞くと、女性がまたしても予想していなかった答えを返してくる。

「私とパーティー組んでください!」

パーティーとは冒険者が2人以上で組むものだ。
パーティーを組むメリットは、自分の冒険者ランクより高い依頼を受けられる事だ。

例えばパーティー内にFランクとCランクがいたとする。
すると、Fランクの冒険者もCランクの依頼を受けられるのだ。

デメリットは依頼を受ける際必ずパーティーで行動しなければ行けない、という事だ。

何故このようなルールがあるかと言うと、昔パーティーを組むだけ組んで、Fランク冒険者が1人でEランク以上の依頼を受ける人が
いて、自分の強さに合わず死者が続出したからだそうだ。
それを避けるためにこのルールが作られたらしい。

俺は少し悩んだ結果、女性とパーティーを組むことにした。

「分かった。パーティー組もうか」

パーティーを組もうと思った理由は2つある。

1つ目はこの世界についての知識が欲しいからだ。この世界の常識を学んだからといってこの世界について知っている訳では無い。
どこに何があるのかが分からないしな。

2つ目はもっと難しい依頼を受けたいからだ。俺はFランクの依頼を受けたが、全く手応えがなかった。そして報酬もすくない。
俺はちまちまやっていくのは好きではないのだ。

それに、強い魔物と戦っていたら瑞希と魔王討伐に参加できるようになるかもしれないしな...。

俺の返事を聞いた女性は表情を見るからに明るくさせた。

「やった!私はエリス・フレイア、エリスって呼んで」

そう言えばまだ名前すら知らなかったな。俺は自己紹介してきた女性をじっくりと見てみる。

戦うことに必死になっていたからか気づかなかったが、エリスはとても綺麗な女性だった。

目の色はエメラルドグリーンで、身長は170センチ前後。
胸は大きく、腰は引き締まっている。顔立ちも整っていてかなり綺麗なほうだろう。
だが、瑞希の方が上だ。
俺はエリスをじっくり見た後、自己紹介をする。

「俺は山田 涼太、呼び方はなんでもいいぞ」

「リョウタ・ヤマダじゃなくて、ヤマダ リョウタなの?」

「まあ、どっちでもいいだろ」

エリスに言われて思い出したが、この世界では名字と名前を反対にするのが一般的だと城で教えてもらった。
次から名乗る時は気おつけよう。だが、エリスは全く気にせずに返事を返してきた。

「まあ、良いけど。よろしくねリョウタ」

「ああ、よろしくエリス」

「それでなんだけど、パーティー登録いつ行く?」

「明日行けるか?」

「うん」

「じゃあ明日行くか」

俺達は明日何時にどこで待ち合わせるかを決めて、俺は宿にエリスは家に戻っていった。

俺は宿に戻ってまず、ステータスを確認してみると、ステータスがおかしくなっていた。

山田 涼太

Lv.7

HP 24806
MP 22106
STR 22606
DEF 22506
AGI 22106

まず、桁が増えていた。
レベルが5上がっただけで全ステータスが5倍近く上がっている。
だが、これがどのくらい凄いか分からない。

Sランクに勝てたのでかなり高いとは思うが、何せ冒険者登録してから1日目なので他の人のステータスを知らない。
知っているとすれば瑞希だけだ。

でも瑞希のステータスを見たのはLv.1の時なので今は俺より高いかもしれない。
何故なら瑞希は勇者だからだ。
俺はステータスを確認した後、すぐに寝た。



朝になり俺はまず身体強化を使う。スキルポイントを入手するためだ。そして、朝食を取り冒険者ギルドに向かった。

冒険者ギルドまでは約15分だ。
冒険者ギルドに向かっている途中脳内に直接

『体術がLv.1に上がりました』

と響いた。俺は気にせずに冒険者ギルドに向かう。
身体強化を使っていたおかげか10分程でついた。
冒険者ギルドの中に入ると、理由はわからないがいつもよりざわついていた。

「リョウタ、おはよう」

周りをキョロキョロしてエリスを探していると、彼女から声をかけてきた。探す手間が省けてよかった。

取り敢えず俺はおはようと返事をしておいた。
エリスは正面から来たので俺より早く来ていたのだろう。

早く来ていたのだから、ざわついている理由を知っているかもしれないな。

「なあエリス、なんでこんなにざわついてるんだ?」

「さあ?なんでだろうね」

「分からないならいいか。早速パーティー登録しに行くか」

俺はそう言ってエリスと受付に向かう。
俺は1番近くにいた受付嬢に話しかける。

「すいません、パーティー登録しに来たんですが」

「パーティー登録ですね、どなたとでしょう?」

「この人です」

俺はエリスを指さしながら答える。
すると受付嬢がいきなり叫びだした。

「エリス様とですか!?」

受付嬢が叫んだ瞬間ギルド内がさらにざわついた。俺は気にせず返事をする。

「はいそうですが」

「わ、分かりました。少しお待ちください」

そう言って受付嬢は受付の奥へと入っていった。
受付嬢が奥へ行った直後、身長2m程の大柄な男が近づいてきて、俺の肩をがしっと掴んだ。

「おい、お前なにエリス様とパーティー組もうとしてんだよ。お前と組むぐらいなら俺の方がましだろ」

俺は心の中でこう思った。
(うわー、テンプレのやつだー、めんどくせ)
と。俺は面倒なので無視することにした。

「おい!聞こえてるなら返事するのが常識じゃねぇのか!」

「いきなり他人に喧嘩腰で絡んでくる奴に言われたくねーよ」

「あ?てめー調子のってんじゃねーぞ?おい。ただのFランクの餓鬼がよ!俺はCランクだぞ!」

「さよですか」

俺は面倒なので適当に返事する。
すると、男は完全にイラッと来たらしく怒鳴り始めた。

「痛い目見ないと分からないようだな、怪我しても知らねぇからな!」

男はそう言うと、俺に殴りかかってきた。
俺は男の方を見ないで思い切り男がいる方にテキトーに手を伸ばす。
すると男がうぉ、と叫びながら吹っ飛んでいった。そして、ギルドの壁に衝突してやっと止まった。

飛んでいく間に何人か巻き込んでいたが気にしない。
そしてギルドが静寂に包また。
数秒後受付嬢が戻ってきた。
そして周りの様子を見て俺に質問をしてくる。

「何かあったんですか?」

「いえ、何もありませんよ」

「そうですか」

「そんなことより、パーティー登録をしたいんですが」

俺がそう言うとハッとしたような顔になり、すぐに話し始めた。

「あのですね...、今回パーティー登録する人がFランクの方とSランクの方なのでリョウタさんには試験を受けていただくことになりました」

「分かりました」

俺は面倒だなと思いながらも了承した。受付嬢はおれが了承したのを確認すると試験会場に向かうと言って奥へと向かった。
俺は面倒くさがりながら、受付嬢の後ろをおった。

受付の奥には書類などが置いてある場所と受付嬢の休憩場所がありその間に通路がある。俺達はその通路を歩いていった。

しばらく歩き、開いた場所についた。そこには闘技場があった。
受付嬢は闘技場につくと俺達の方を向き口を開く。

「ここが試験会場です。普段はDランクとAランク以上の冒険者のランク上げ試験に使われます」

「そうなんですか」

「では、試験を開始したいと思います」

「分かりました」

「それではゴードランさんお願いします」

受付嬢さんが名前を呼ぶと1人の男が俺達が通った道からでてきた。

「俺はゴードランだ。冒険者ランクはBだ。Sランク冒険者とパーティーを組むなら、俺ぐらいは簡単に倒さないとダメだ。もしお前が負けたらパーティーは組めないからな」

「そうですか。それは困りますね」

俺は適当に返事をして、受付嬢に試合の開始を求める。受付嬢はそれに気づきルールの説明を開始する。

「ルールを説明します。武器はギルドで用意した木刀のみとします。魔法の使用は許可しますが致命傷を与える魔法は禁止です。
制限時間は無し、降参するか審判の判断によって勝敗が決まります。よろしいですか?」

「はい、大丈夫です」

俺が返事を返した瞬間、脳内に直接

『言語理解がLv.2に上がりました』
『身体強化がLv.2に上がりました』
『火属性魔法がLv.2に上がりました』
『水属性魔法がLv.2に上がりました』
『木属性魔法がLv.2に上がりました』
『風属性魔法がLv.2に上がりました』

と響いた。本日2度目である。そして数秒後また脳内に直接


『土属性魔法がLv.2に上がりました』
『闇属性魔法がLv.2に上がりました』
『光属性魔法がLv.2に上がりました』
『剣術がLv.2に上がりました』

と響いた。身体強化を使用し続けていたので、レベルが2に上がったのだ。俺は気にせずに受付嬢から木刀を受け取り、試合開始の合図を待つ。そして受付嬢が手を挙げてーーー

「試合開始!」

と叫びながら手を勢いよく下げた。
俺は試合が始まった瞬間全速力で相手の近くに走り、相手の鳩尾を殴る。するとゴードランは100m程吹っ飛んだ。
そこで受付嬢を見ると呆然と立ち尽くしていた。俺は受付嬢に確認をとる。

「俺の勝ちですよね?」

すると受付嬢は慌てて勝者を宣言する。

「しょ、勝者リョウタさん。パーティー登録を認めます」

そうして俺は無事パーティー登録をすることが出来たのだった───。

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