幼女転生から始める異世界解読術
第52話妖精と預言少女 後編
それから一時間後、俺とフリスはユウニに連れられて森の中を歩いていた。
「ねえユウニ、どこへ行くの?」
「ついて来れば分かる」
「そう言ってもう長時間歩いていんだけど」
ユウニはただそう答えるのみで、俺達は彼女について行くしかなかった。彼女は俺達が持った疑問、預言書が誰かの意図によって作られたという可能性。
その疑問の答えを見せると彼女が言っていたが、それはつまり預言書がどこから生まれたのかを示すわけだけど、それを教えて大丈夫なのだろうか。
「着いた」
そんな事を考えているうちに、ユウニは足を止める。彼女が足を止めたその場所には、だいぶ古ぼけた遺跡みたいな場所だった。
「ここは遺跡?」
「そう。ここは預言書が一番最初に見つかった場所と言われてる遺跡」
「見つかったって事は、やっぱり誰かが作ったって事?」
「それもこの場所に入れば分かる」
ユウニは何も躊躇わずに遺跡の中に入って行く。俺とフリスは、入る事に少し躊躇いながらも、彼女について行くことにした。
「随分と古い遺跡ねここ」
「うん。こんな森の中に、遺跡があるなんて知らなかった」
その遺跡で預言の書が一番最初に見つかったのも、何となく頷ける。足場はかなり不安定だし、そこら中に苔が生えているし、かなり年季が入っている遺跡だ。
「この世界には私達預言書が三冊ある。でもこの遺跡で見つかったのは、その三冊とは別の物」
「別の預言書?」
「簡単に言うと、私達の全ての源。その本から私達が生まれたということにもなら」
「預言書から」
「預言書が?」
「だからこの遺跡はある意味では私達が生まれた場所でもあって」
ユウニは再び足を止める。目の前は行き止まりになっているが、ユウニはその壁に手を触れると、大きな揺れと共に目の前が開かれていった。
「ここは?」
「この世界の過去と未来、それら全てが記されている場所。そして、一番最初の預言書」
「え? それってつまり、この部屋自体が預言書なの?」
「そう。この部屋自体が預言書」
俺達は足を踏み入れる。壁には見たことのない文字列が綴られていて、部屋の真ん中には厳重に保管されている本が一冊あった。
「この本は?」
「それについては答えられない。ここにも書いてある事も教えられない」
「じゃあどうしてこの場所にわざわざ連れてきたのよ」
突き放した言い方に、イライラしながらフリスは言う。
「私は疑問の答えを教えただけ。私達はあくまで誰かの手によって作られたわけじゃない。自然の形で作られたものなの」
「でも自然で預言書が作られるわけ」
「ないと言うならそれでも構わない。ただ忘れないでほしいのは、未来は簡単には変えられない。ここに書かれているのは、確かな未来だから。望まれた未来が書かれていたというのも、ちゃんと預言されていた事。だからイレギュラーな事が起きる事はないはずだった」
壁をなぞりながらユウニは言う。
「でもイレギュラーな事が起きた以上、ここの預言書が全てではなくなってしまった。この世界はもしかしたら」
「ユウニ?」
「ユウと妖精、聞いてほしい」
ユウニは真剣な面持ちで、こちらを見てくる。そして彼女は俺達二人だけにこう語った。
「預言書が描く未来が変わり始めてる。平和になるはずの未来が、変わる」
「変わるってどういう事?」
「預言書のレールから外れたこの世界は、もうすぐ終わりを迎える。それを止めなきゃいけない」
破滅という名の未来を。
■□■□■□
ユウニが話した事はあまりに規模が大きすぎた。そもそも未来が変わったと言っても、とてもとても小さな事だ。それが世界の破滅に繋がるなんてそんな事考えられない。
「ユウ、もしかして信じられない?」
遺跡から帰ってきてしばらく、先ほどの話をずっと考えていると、ユウニが俺のところへとやって来た。
「信じられるも何も、おかしいでしょ。預言書自体の歴史がそんなに長くないのに、どうして少し違っただけで、そんな未来になるの?」
「未来が変更された事によって、今までと違った未来を私が見たから。それ以外にない」
「見たの? 新しい未来を」
「預言書だから、起きた事が変われば私達の内容も変わってしまう」
「そもそも何かそんなに大きな変化あったの?  望まれた未来と違う未来と違う事が起きたくらいじゃ」
「それだけじゃない。もうこの世界は、既に一度レールを外されている」
「どういう事?」
「それは三冊目の預言者を見つければ分かる。私がさっき言っていた事が、どういう事なのかも」
もう何が何だか分からなかった。彼女は俺達に何を伝えたくて、何をしてほしかったのか。三冊目の預言書を見つければ分かると言っていたけど、その三冊目がどこにあるのかも目星がつかない。
「私がユウ達にこの事を伝えるのも決まっていたと言っても信じられる?」
「え?」
「私が知っている事と違う行動をユウがすれば、未来が変わる事になる。もうすぐこの世界は大きな分岐点に立つ事になる」
「大きな……分岐点」
「その為にはあの妖精の力も必要。私達は三冊目の預言書を見つけて、この世界の未来を少しでも変える」
「つまりこれから先の行動はとても大切な事という事?」
「そういう事」
「そういう事って……」
それはあまりに重すぎないか?
「ねえユウニ、どこへ行くの?」
「ついて来れば分かる」
「そう言ってもう長時間歩いていんだけど」
ユウニはただそう答えるのみで、俺達は彼女について行くしかなかった。彼女は俺達が持った疑問、預言書が誰かの意図によって作られたという可能性。
その疑問の答えを見せると彼女が言っていたが、それはつまり預言書がどこから生まれたのかを示すわけだけど、それを教えて大丈夫なのだろうか。
「着いた」
そんな事を考えているうちに、ユウニは足を止める。彼女が足を止めたその場所には、だいぶ古ぼけた遺跡みたいな場所だった。
「ここは遺跡?」
「そう。ここは預言書が一番最初に見つかった場所と言われてる遺跡」
「見つかったって事は、やっぱり誰かが作ったって事?」
「それもこの場所に入れば分かる」
ユウニは何も躊躇わずに遺跡の中に入って行く。俺とフリスは、入る事に少し躊躇いながらも、彼女について行くことにした。
「随分と古い遺跡ねここ」
「うん。こんな森の中に、遺跡があるなんて知らなかった」
その遺跡で預言の書が一番最初に見つかったのも、何となく頷ける。足場はかなり不安定だし、そこら中に苔が生えているし、かなり年季が入っている遺跡だ。
「この世界には私達預言書が三冊ある。でもこの遺跡で見つかったのは、その三冊とは別の物」
「別の預言書?」
「簡単に言うと、私達の全ての源。その本から私達が生まれたということにもなら」
「預言書から」
「預言書が?」
「だからこの遺跡はある意味では私達が生まれた場所でもあって」
ユウニは再び足を止める。目の前は行き止まりになっているが、ユウニはその壁に手を触れると、大きな揺れと共に目の前が開かれていった。
「ここは?」
「この世界の過去と未来、それら全てが記されている場所。そして、一番最初の預言書」
「え? それってつまり、この部屋自体が預言書なの?」
「そう。この部屋自体が預言書」
俺達は足を踏み入れる。壁には見たことのない文字列が綴られていて、部屋の真ん中には厳重に保管されている本が一冊あった。
「この本は?」
「それについては答えられない。ここにも書いてある事も教えられない」
「じゃあどうしてこの場所にわざわざ連れてきたのよ」
突き放した言い方に、イライラしながらフリスは言う。
「私は疑問の答えを教えただけ。私達はあくまで誰かの手によって作られたわけじゃない。自然の形で作られたものなの」
「でも自然で預言書が作られるわけ」
「ないと言うならそれでも構わない。ただ忘れないでほしいのは、未来は簡単には変えられない。ここに書かれているのは、確かな未来だから。望まれた未来が書かれていたというのも、ちゃんと預言されていた事。だからイレギュラーな事が起きる事はないはずだった」
壁をなぞりながらユウニは言う。
「でもイレギュラーな事が起きた以上、ここの預言書が全てではなくなってしまった。この世界はもしかしたら」
「ユウニ?」
「ユウと妖精、聞いてほしい」
ユウニは真剣な面持ちで、こちらを見てくる。そして彼女は俺達二人だけにこう語った。
「預言書が描く未来が変わり始めてる。平和になるはずの未来が、変わる」
「変わるってどういう事?」
「預言書のレールから外れたこの世界は、もうすぐ終わりを迎える。それを止めなきゃいけない」
破滅という名の未来を。
■□■□■□
ユウニが話した事はあまりに規模が大きすぎた。そもそも未来が変わったと言っても、とてもとても小さな事だ。それが世界の破滅に繋がるなんてそんな事考えられない。
「ユウ、もしかして信じられない?」
遺跡から帰ってきてしばらく、先ほどの話をずっと考えていると、ユウニが俺のところへとやって来た。
「信じられるも何も、おかしいでしょ。預言書自体の歴史がそんなに長くないのに、どうして少し違っただけで、そんな未来になるの?」
「未来が変更された事によって、今までと違った未来を私が見たから。それ以外にない」
「見たの? 新しい未来を」
「預言書だから、起きた事が変われば私達の内容も変わってしまう」
「そもそも何かそんなに大きな変化あったの?  望まれた未来と違う未来と違う事が起きたくらいじゃ」
「それだけじゃない。もうこの世界は、既に一度レールを外されている」
「どういう事?」
「それは三冊目の預言者を見つければ分かる。私がさっき言っていた事が、どういう事なのかも」
もう何が何だか分からなかった。彼女は俺達に何を伝えたくて、何をしてほしかったのか。三冊目の預言書を見つければ分かると言っていたけど、その三冊目がどこにあるのかも目星がつかない。
「私がユウ達にこの事を伝えるのも決まっていたと言っても信じられる?」
「え?」
「私が知っている事と違う行動をユウがすれば、未来が変わる事になる。もうすぐこの世界は大きな分岐点に立つ事になる」
「大きな……分岐点」
「その為にはあの妖精の力も必要。私達は三冊目の預言書を見つけて、この世界の未来を少しでも変える」
「つまりこれから先の行動はとても大切な事という事?」
「そういう事」
「そういう事って……」
それはあまりに重すぎないか?
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